
(原題:Blade)
1998年/アメリカ
上映時間:120分
監督:スティーヴン・ノリントン
キャスト:ウェズリー・スナイプス/スティーヴン・ドーフ/クリス・クリストファーソン/ウンブッシュ・ライト/ドナル・ローグ/他
吸血鬼と人間のハーフがヴァンパイアハンターとして戦う姿を描くSFアクション。
マーベル・コミック原作のキャラクターであり、ゴーストライダーやスパイダーマンと共演したこともあります。
主演は演技にもアクションにも定評のあるウェズリー・スナイプス。
悪質な脱税容疑で告発され、実際に連邦刑務所への禁固刑まで課せられたこともありましたが、近年は「エクスペンダブルズ3」への出演などが話題を呼び、俳優活動も続けている様子。
かつてはヴェネツィア国際映画祭で主演男優賞を獲得するなど脚光を浴びたスターであり、まだまだ今後の活躍にも期待したいですね。
さっくりあらすじ
人々に知られることなく、闇に潜みながらヴァンパイア達は人間との共存を続けていた。
そんなヴァンパイア達を刈るブレイドは人間とヴァンパイアの混血として生まれ、ヴァンパイアが恐れる日光が影響しない”デイウォーカー”として恐れられている。
野心に溢れるヴァンパイアのフロストは、吸血鬼に伝わる古文書を解読することで無敵の力を得て人間との共存を終えようと目論んでいるのだが、、、
”デイウォーカー”ことブレイド
人間と吸血鬼のハーフ
ブレイドを支えるウィスラー
戦友であり、親でもある
過激派ヴァンパイアのフロスト
吸血鬼による人間の支配を企む
ウェイ系吸血鬼
人より長い寿命を持ち、人間を遥かに凌駕する身体能力と博識な知性を持つ吸血鬼という存在。
昭和世代としては人里離れた洋館で生活を送り、紳士な態度で生娘の生き血を啜っているようなイメージを持ちますが、本作での吸血鬼は全く違う姿で描かれます。
ナイトクラブでトランスミュージックを聞きながら踊り狂い、ビルの屋上に設置されたプールで遊び、何ともパーティーピーポーでオシャレな雰囲気。
オラオラしてそうな吸血鬼が多数見受けられますし、仮に彼らが人間だったとしてもお近づきにはなりたくないタイプですな。
そんなセレブの火遊びみたいな場所へと出向き、片っ端から吸血鬼をぬっ殺しまくるのが我らが主人公・ブレイドであります。
銀で作られたピカピカの武器を手に、パワーとスピードを兼ねそえた体術を駆使し戦う姿は格好いいの一言。
その割にはやたらポージングにこだわったり、絶対に崩れなさそうな髪形を気にしたり、ガッツポーズを取ってみたりとお茶目な一面もまた魅力的です。
厚みのある防弾プロテクターの上に纏ったロングコートをはためかせ、次々と吸血鬼をやっつけるアクションは実にスタイリッシュ。
黒人ならではのしなやかでパワフルな肉体美も素晴らしいですし、寡黙で悲哀を感じさせるウェズリー・スナイプスの演技も相まって、味のあるキャラクターだと思います。
公開されたのが1998年なので、もう20年以上(2019年現在)前の作品になりますが、そこまでの古臭さは感じません。
脚本的にも野心的なラスボス・フロストの暴走を止めようと奮闘する長老的な吸血鬼の存在もあり、古きを壊し新しいものを築こうとする気概が見えてきます。
闇に潜み、ひそかに人間社会に溶け込むことで共存してきた伝統的な吸血鬼と、古文書に記された神を我が身に宿し人間の支配を狙うフロストと。
世代交代や伝統の変化に伴う諍いを、さりげなく物語に盛り込む構成は素晴らしいアイデアですね。
またフロストを演じるスティーヴン・ドーフのセクシー&ワイルドな風貌もキャラクター性に噛み合っており、知的ながらも暴力性を感じさせる言動がまた素敵。
味方によっては、投資を募って得た大金で博打に出るベンチャー企業の若社長にも見えますし、敵ながらも考え方は現代にも通ずるものがあると思います。
マイナス点としては、フロスト打倒の鍵となる女医と、フロストを裏で支えるウィスラーの立ち位置が不安定なこと。
本作では気になりませんが、続編ではその扱いがやや強引な感じになっており、本作で得た感動は微妙に無かったことになっているのがちょっとだけ不満。
逆に続編の存在を無視すれば、良く完成された作品だと言えますが。
まとめ
迫力溢れるアクションと、それなりに練られた脚本と、当時ではかなりハイレベルなCG演出と、総合的に良く出来たSFアクションだと言えます。
先述したように、既存の価値観を壊し新たな吸血鬼映画の見本とも呼べる作品ですし、内容以上の価値があると言っても良いかもしれません。
すごく面白い映画とまでは言いませんが、そこそこに面白いですよ。
ちなみにR-12だそうですので、お子様との鑑賞の際はご注意を。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。