ポリス・ストーリーREBORN


(原題:机器之血)
2017年/中国・香港
上映時間:109分
監督:レオ・チャン
キャスト:ジャッキー・チェン/ショウ・ルオ/オーヤン・ナナ/エリカ・シアホウ/カラン・マルヴェイ/テス・ハウブリック/他

 




 

「ポリス・ストーリー」ユニバース(意味不明)の10本目を飾る記念的作品と称される、ジャッキー主演のSFアクション。

ジャッキーの最高傑作の一つと言われる作品を銘打ち、エンディング曲も同作から起用されるなど、同一の世界観を意識しながらも全くの別物です。

 

何気なく前情報無しで観たため、あまりにも「ポリス・ストーリー」とはかけ離れた内容に置き去りにされる筆者。

何故ならば「ポリス・ストーリー」とは全く関係の無い単体作品であり、というかSFアクションであり。

そもそも原題が「机器之血」ですしね(ポリス・ストーリーは「警察故事」)過去の人気作になぞらえて、明らかに違う作品をさもシリーズの様に語る商売根性には呆れるばかりですよ。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

荒い運転で病院を目指す刑事・リンは白血病により危篤状態に陥った娘にも会えず、遺伝子工学者・ジェームズの警護に向かう。

しかしジェームズの実験体だった謎の男・アンドレの襲撃を受け、数々の仲間たちも含め、リンは決死の特攻で大爆発を起こし、その後の消息は不明になった。

13年が経過し、かの事件を元にした小説が出版されベストセラーとなるのだが、、、

 

 

 

 

相変わらず体張ってます

 

敵は無敵の人造人間

 

部下を演じるエリカ・シアホウが素敵

 

 

 

 

落差

冒頭から非常に悲しい雰囲気に飲まれたかと思えば、目が覚めるほどにド派手な銃撃戦で幕を開けます。

壮絶なスタートを切ったかと思えば、落差の激しすぎるコミカルな演出が次々と投入され、さらにオーバーテクノロジーなギミックの数々もあって、観ているコッチ側のスタンスがどうにも定まりません。

開始5分で特殊部隊の警察がバンバン撃ち殺され、手榴弾を持っての自爆を繰り返し、あまりにも多くの死傷者が出た。

 

かと思えば、生意気な小娘がちょっかいを出した相手を殴り始め、チンピラに絡まれては股間を蹴飛ばす。

かと思えばヘリキャリアのような飛行船が登場し、人造人間のラスボスはサイボーグへとジョブチェンジ。

何だかシリアスとコミカルとSFの繋げ方がチグハグ過ぎて、どういうテンションの映画なのかを判断するまでが難しいですね。

 

 

というか、全編に渡りMCUを意識しているというか、オマージュしているというか、マーベルが培ってきたヒーロー映画のノウハウを何とかカンフー・アクションに落とし込もうとしている姿勢が透けて見えます。

その結果、明らかにダダ滑りしている印象が否めませんし、ハリウッドに憧れる監督の感性が悪目立ちしちゃってますね。

脚本も色々とおかしいですし、ムキになってツッコむほどの映画ではないにしろ、かといってスルーできるレベルは大きく踏み越えているかなと。

 

冒頭からして歩道を車で暴走するジャッキー。

何の脈絡も無く遺伝子工学博士が開発した「人造人間が脱走した」

何やらハルクになりそうなヤバい薬を注入する博士。

逃走経路をまともに確保しない(一般人すぐそこ)SWAT隊員の皆様。

明らかに少数な敵を相手に、簡単に警護車を爆破されるSWAT隊員の皆様。

全身プロテクトスーツ(後に分かるが人間だった)に歯が立たず、網で捕獲したのに自爆特攻するSWAT隊員の皆様。

生身の武装で余裕こいてたのに車で轢かれ、あえなく負傷する人造人間。

開始15分くらいでこの感じですからね、正直この時点で疲れた&見飽きた感に襲われましたが、最後まで観るのが礼儀というもので。

 

 

映像面もまた然り、SFだけに存分に使えるVFXの技術もジャッキーのスタントに噛み合っているようには思えません。

いかにCGを使い迫力ある映像を作ろうが、今までジャッキーがやって来た無謀なスタントを上回ることが無いからですね。

できることだけで良いんです、衰えたジャッキーのアクションを観たところで、今さら誰が文句を言えましょうか?

 

恒例のNG集を見れば一目瞭然、未だにワイヤーアクションと爆発を使う香港映画の危険度は相当なものですよ。

今風な映画を考えるのは決して悪いことではないですが、かつては世界中を風靡した香港アクションの神髄を、今一度考えて欲しい気もします。

 

 

物語としては、生き残ったリンが自身の経験を本として出版され、その真相を探っていく流れ。

ジャッキーは言わずもがな、娘のシーシー役を務めるオーヤン・ナナは何とも小生意気で可愛らしく、コメディ・リリーフな謎の男・リスンを演じるショウ・ルオも中々の存在感。

 

しかし特筆すべきは少ない出番ながらも抜群の輝きを放つエリカ・シアホウ。

リンを支える有能な部下・スーを演じますが、ショートカットが似合う知的な美人の上、数少ないアクション要因としても実に素晴らしい。

終盤ではリンと明らかに上司&部下の域を超え、何だかアダルトなイチャつきっぷりを披露する魔性の妖艶さまで感じ取れます。

強く、賢く、可愛らしく、そしてエロく、本当にこんな部下が欲しいと思わせる魅力的な人物像ですわ(最低)

唯一彼女の存在だけが、本作を観た収穫と言っても良いかもしれません。

 

 




 

まとめ

言うてもジャッキー映画好きだから観るんだけどさ。

スタントは本当に危険な仕事であり、演者の頑張りには文句などあるわけもなく、むしろ感嘆の意を表します。

問題なのはそれらを活かせず、中途半端な設定と演出と構成で台無しにする製作陣であり、意味の分からん作品を産み出す配給会社なんでしょうな。

 

とてもオススメできる内容ではありませんが、格安レンタルならば十分に観る価値はあるとは思います。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

おまけ

オマケ映像の最後にジャッキーが「続編を撮ろう」と言ってますが、マジで止めとけ。

会社潰れるぞ。

 

 

 



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