(英題:Tankers)
2018年/ロシア
上映時間:90分
監督:コンスタンティン・マクシモフ
キャスト:アンドレイ・チェルニショフ/オルガ・ポゴティーナ/ウラディミール・エピファントセフ/セルゲイ・ゴロブチェンコ/他
第二次世界大戦中にドイツ戦車部隊と戦った、ソ連戦車兵たちの実話を元に作られた伝記的戦争アクション。
最強と名高いティーガー重戦車部隊を相手に、KV-1戦車部隊が決死の覚悟で挑みます。
「フューリアス」を観てからロシア産の映画にも興味が出てきまして、文化が大きく異なる古今東西でも”戦争”をテーマにしたエンタメ作品ならば安定感はあるだろうと思い視聴。
先に結論を言えば思ったより斜め上な仕上がりであり、つまらなくはないけれど、面白かったとも言い難い何とも微妙な完成度。
かかった予算が桁違いだから仕方ないにしても、どうしても「フューリー」と比べると色々と残念な部分が多いかなと感じました。
とはいえ、それなりに見応えもありますし、何より戦車兵の実話を元にした奇跡の物語は観て損は無いでしょう。
さっくりあらすじ
ドイツ軍からの攻勢を防ぎ切ったソビエト軍だったが、南方へと進軍したドイツ軍によりソビエト第15戦車旅団は激戦の最中にいた。
コロワノフが指揮官を務めるKV-1戦車はドイツ軍の戦車を撃破した後、ぬかるみにハマった友軍戦車の脱出を助けるため、周囲を警戒する。
近場の林の中にいたドイツ軍戦車を発見するも時すでに遅く、砲撃を受けたKV-1戦車は大破しコロワノフは負傷、そして部下を全員失ってしまうのだが、、、
戦車兵・コロワノフと整備兵・パブラ
共に伝説の兵士
ソ連軍のKV-1戦車
対するドイツ軍の4号戦車
無敵のKV-1
正直ミリオタではないので、戦車の差異はあまりよく分かりません。
大きさや形の差くらいは素人目にも分かりますが、性能や装備の差なんぞは本当にサッパリですな。
それでも、不謹慎ながらもワクワクドキドキしてしまう鉄の塊=戦車には満載な魅力があるもので、やはり戦車同士の戦いには男のロマンが溢れていると思います。
実際に第二次世界大戦で投入されたKV-1戦車は当時としては破格の重装甲を誇っていたそうで、実際にドイツ軍の砲撃をことごとく跳ね返したそうな。
ただし装甲が厚い=重量が重いということで、照準装置やギアチェンジなどは極めて劣悪だったそうで、運用する際には余分な人員も必要だったそうです。
戦闘で大事なのはあくまで”効率”であり、リスクは少なくリターンは大きく、そう考えると強力な兵器という概念は大きさや頑丈さだけではとても計れるものではないんですね。
物語としては、コノワロフ中尉と新たな部下たちが戦車を修理し、再び戦地へと向かうという流れ。
実話ベースとはいえ、恐らくは大幅に脚色されているだろう感じは否めませんが、ドラマ性に於いては違和感を覚えるほどではないと思います。
実際にどういった戦闘があり、コノワロフ中尉がどの程度の戦果を挙げたのかは知る由もありませんが、ちょいとプロパガンダ的な匂いも漂います。
時間が経ってさらに神格化されたというか「さすがにコレは無理じゃない?」的な演出が少々気になるところでしょうか。
とはいえ、目玉とも言える戦車vs戦車の迫力は中々のもの。
とにかく分厚い装甲で覆われたKV-1戦車の頑丈さ、それに伴う機器的な弱点など、後に伝説に繋がるであろう姿には感動すら覚えますよ。
感覚的にはドイツ戦車の駆逐に半分、故障に泣かされ修理に奔走するのに半分といった構成で、いかに精密で繊細な平気なのかが垣間見えます。
敵の砲弾による危険に晒されながらもKV-1の装甲を信じ、極めて冷静に索敵に努め、反撃していく姿がカッコいいんですわ。
素人的にも十分楽しめますし、戦車マニアやミリオタにはきっと堪らないんでしょうね。
まとめ
事実かどうかは分かりませんが、劇中で語られるコノワロフ中尉の戦果は戦車×16台、装甲車×2台、車両や砲台×8台と、にわかには信じがたいものではあります。
まぁちょっとした笑いのエッセンスやロマンスなども挟まれるので、大真面目に観るというよりかは純粋に戦車の戦いを楽しんだ方が良いのでしょう。
戦争の意義や正義を謳うのではなく、あくまで戦車が中心となった構成にも好感が持てます。
本当に戦車が好きな人、もしくはロマンを感じる人が観るべき映画ですな。
それ以外の人は多分つまらないと思いますが。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。