
(原題:Boys Don’t Cry)
1999年/アメリカ
上映時間:118分
監督/脚本:キンバリー・ピアース
キャスト:ヒラリー・スワンク/クロエ・セヴィニー/ピーター・サースガード/ブレンダン・セクストン3世/アリシア・ゴランソン/ジーネッタ・アーネット/マット・マクグラス/アリソン・フォランド/ロブ・キャンベル/他
-WARNING-
本日の「俺の映画が観れんのか!」は
ものすごくテンションの下がる作品をご紹介しています。
生半可な気持ちで観ると後悔しますので
お気をつけください。
月曜日の26時、というか火曜の午前2時から日テレの「映画天国」という番組があります。
毎週観てるわけではないですが、自分の知らないの映画が放映されることがあります。
番組表をチェックせずに観ると意外と面白い映画に出会えるため、やんわりと楽しみにしてるんですね。
映画好きを自称しながらも実際のところ、知らない&観たことのない映画もたくさんあるわけです。
で、久しぶりに不勉強を反省させられた作品でもあります。
2~3年ほど前に邂逅してしまったこの映画。
実話を元にした作品ですが、とにかく考えさせられます。
性同一性障害という言葉が世に認知されてからしばらく経ち、完璧には程遠いにしろ世間は受け入れ始めているのではないかと思います。
少なくとも僕は受け入れています(詳しくは後述)
しかし物語の舞台は1993年、まだ障害についての理解が無かった時代だと推測されます。
日本国内でも2001年頃の「3年B組金八先生」あたりがきっかけで知れ渡ったとも言われていますし、未だに解決できていない根深い問題です。
女性の身体で生まれてしまった男性の悲劇をテーマにした本作は、観たからには一人の大人の責任として、何かを考えなければいけません。
さっくりあらすじ
1993年、ネブラスカ州フォールズ・シティの町外れにある農家で、2人の”女性”の死体が発見される。
被害者の1人、ブランドン・ティーナと犯人達の関係性がハッキリするにつれ、事件の背景が想像よりも遥かに複雑で根深いものだと判明する。
町外れの小さなコミュニティーに、突如として現れた小柄な青年・ブランドンは澄んだ瞳に綺麗な顔をした、女性の憧れとなる魅力的な青年だった。
しかし”彼”はティーナ・ブランドンという名の女性だった。
女性の体に閉じ込められた”ブランドン”の心は男性として生きることを選び、フォールズ・シティでラナと出会い、恋に落ちた。
そしてラナもまたブランドンの秘密を理解し、愛したのだが、、、
男性として生きるブランドン
人並みに恋もするが、、
演じたヒラリー・スワンク
普通に綺麗なお方
鬼気迫る、本物の演技
とにかくブランドン・ティーナを演じたヒラリー・スワンクの圧巻の演技、これに尽きます。
実際にブランドンの気持ちに近づくため、約4週間をメンズのように振舞って過ごしたと語っていたそうな。
普通だったら女性が生理的に嫌がりそうな、難しい役どころを完璧に演じきっています。
本作でアカデミー主演女優賞をはじめ、20個以上の映画賞を総ナメにした高い演技力はハンパじゃありません。
後に「ミリオンダラー・ベイビー」でも2度目のアカデミー主演女優賞に輝くなど、まごうことなき本物の女優さんです。
でも暗い作品ばかり出演している印象で、かなり不幸な子供時代を過ごしたそうですから、その辺が独特の影になっているんでしょうか。
映画としての内容は、男性として生きる女性の、淡々とした日常を描きます。
新しい文化や未知の経験なんかは、基本的に否定されやすいものではありますが、田舎町になるとそれがより顕著になるもんだと思います。
保守的なフォールズ・シティではなおさらのことだったのでしょう。
「性同一性障害」と「同性愛」の区別がはっきりとされていない時代の話ですから、男性のように振舞う女性は、ある種の性的倒錯者と判断されてしまったんだと思います。
実際は全く違うものなはずなのにね。
これは人間としてのお話なので、僕らも少しは理解しようとする姿勢を持たなくちゃいけませんね。
知ったから何ができるわけでもないですが、それでも無知は罪だと思います。
まとめ
余談ですが、筆者の仕事の後輩に一人GID(Gender Identity Disorder=性同一性障害ね)の子がいました。
最初はボーイッシュな女の子という感じ、元気はつらつで面白い子で、僕もけっこう可愛がっていました。
筆者が転職して2年後、唐突に「相談がある」と呼び出されカミングアウトされました。
全く予想してない展開に、さすがの筆者も素になってしまい「え、、マジ?」というつまらないリアクションしかできませんでした。
ホルモン注射のおかげか、喉仏まであって声も低くなっていた後輩。
言われてみればなんとなーく体の丸みも減って男性的というか、美少年な印象になっておりました。
でもスンナリ受け入れられましたけどね、あっちはどう言おうか悩んでいたみたいですけど。
むしろショックだったのは、男だったことよりもチャラかったことですね。
性別の束縛から解き放たれ、いざ人生を謳歌している後輩の姿は微笑ましいものではありますが、あちらこちらの女性に手をつけるのは頂けませんなぁ。
そっちはマジでガッカリしましたが。。
この映画に関しては娯楽要素は全くありません。
ゼロです。
よってオススメできる作品ではないんですが、知っていることは受け入れられることに繋がります。
そして、これはとても大事なことです。
つらい結末なので、見るに堪えない部分もありますが、性的マイノリティの心の叫びに耳を傾けてみましょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。