(原題:The Butterfly Effect)
2004年/アメリカ
上映時間:114分
監督/脚本:エリック・ブレス
キャスト:アシュトン・カッチャー/エイミー・スマート/ウィリアム・リー・スコット/エルデン・ヘンソン/メローラ・ウォルターズ/エリック・ストルツ/他
一匹の蝶の羽ばたきが地球の裏では竜巻を起こす、というカオス理論の一つである”バタフライ効果”。
転じて一人の人間の些細な記憶が、後の人生に大いなる変化をもたらすという斬新な作品です。
アメリカで観たのでやや記憶もおぼろげですが、日本でもヒットしたんすかね?
日米のあらゆる評論家が「傑作」の太鼓判を押し、映画通がオススメする映画の筆頭とも言える本作ですが、個人的には大ヒットまではいかなかったのが正直なところ。
いや、すごく面白かったんですけどね、当時はまだ英語の理解力も低かったしなぁ、、まぁもう一回観ろという話ですね。
さっくりあらすじ
精神病院に収容された青年・エヴァンは医師や警備員から逃げ延び、閉じこもった部屋の中でノートに何かを書きなぐっていた。。
13年前、短期的に記憶を喪失することがあった少年・エヴァンは治療の一環として日記を書き始める。
大学生になったエヴァンはすっかり記憶喪失の症状も無くなるが、過去の日記を読むことで、その過去に戻ることができるということに気づく。
自身の過ちのせいで幼馴染・ケイリーの人生を狂わせてしまったことを知ったエヴァンは、過去に戻り運命を変えることを決意するのだが、、、
ところどころ欠けている
少年時代の思い出
大学生になったエヴァン
過去の思い出を振り返ると、、、
全ては幼馴染・ケイリーのために
「破鏡不照」の物語
「はきょうふしょう」と読みます。
読んで字の如し、一度失敗したものは元に戻らないということですな。
もうシナリオは本当に秀逸で、SFサスペンスとしては一級品なのは間違いないでしょう。
端的に言えば”タイムリープ”ものであり、SF映画の代表的なプロットではありますが、独自に組み込んだカオス理論や代名詞とも言える”バタフライ効果”を実に魅力的に構成してあります。
またその構成を肉付けしていく役者も実に素晴らしい演技だったのも忘れてはいけません。
ついでに言っておきますが、タイムスリップ(タイムトラベル)は”過去や未来の世界”に自分が向かうことであり、タイムリープは”過去や未来の自分自身になる”概念のことを指します。
エヴァンが忘れていた記憶が”現在”の環境の分岐点になっているわけですが、自身も含め、幼馴染である女性を幸せに導くために過去を改変していくというのが大まかな流れ。
なので、SFサスペンス風に味付けしたラブストーリーの方が近いような気もします。
さらに言えば過去を変えようと決心するのも幼馴染の自殺がきっかけとなるわけで、ある種の罪滅ぼしを描いたヒューマン・ドラマとも言えてしまうのが複雑なところです。
しっかし因果とは難しいものですね。
大事な幼馴染を幸せにするため、それに準じて自分も幸せな未来を掴むために過去の改変を繰り返すのですが、これがなかなか上手くいきません。
先ほど言った”分岐点”での選択を間違えると自身も周りの人間も悲惨なことになってしまうし、仮に上手くいったところでそれを取り巻く第三者により再び悲惨なことになってしまう。
人を幸せにするための些細な選択が巡り巡って大きな余波となり、最終的に自分の元へと返ってくるということなんでしょうけど、なんだかなぁ、、ため息が出ちゃう。
シナリオがフォーカスされ過ぎて日が当たってないですが、主演のアシュトン・カッチャーも、ヒロインを演じたエイミー・スマートも素晴らしい演技で魅せてくれます。
気がつきませんでしたが、何気にエイミー・スマートは「スタスキー&ハッチ」にも出演していたんですね。
当時から可愛かったですが、良い女優ですね。
まとめ
ちなみにエンディングに違和感を感じていたらいくつかのパターンがあるそうですね。
どうりで映画好きの集いでも話が合わねぇわけだ!
まぁどちらもなかなか余韻の深い結末となっておりますので、ある種のパラレルワールド的なとらえ方で観ればどちらも興味深いものかなと思います。
非常に練りこまれ、完成度の高い物語です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。