
(原題:Cocktail)
1988年/アメリカ
上映時間104分
監督:ロジャー・ドナルドソン
キャスト:トム・クルーズ/ブライアン・ブラウン/エリザベス・シュー/リサ・ベインズ/ローレンス・ラッキンビル/他
一攫千金を夢見て、ニューヨークで仕事を探す青年を描いた青春ロマンス・ドラマ。
現在ではアクションスターとしての地位を確率したトム・クルーズのアイドル性と、観て楽しいフレアバーテンディングのパフォーマンスが魅力的な映画です。
いち作品としては色々と粗が目立ち、決して完成度が高いとは言えない本作ですが、未熟な人間が自分の道を見つけるまでの過程を描いた映画として、これもまた味になるのかなと。
基本的にお酒(というか酔っ払い)が心底嫌いな筆者から見ても明るく、楽しく、賑やかなバーテンダーの風情は素直に面白いなと思いますね。
さっくりあらすじ
兵役を終えた青年・ブライアンは成功を夢見てニューヨークへとやって来るが、就職活動は上手くいかず、専門学校へと通いながらバーテンダーのアルバイトを始める。
そこで出会ったベテランのバーテンダー・ダグラスとの派手なパフォーマンスは評判を呼び、いつしかブライアンは自分たちの店を持つことを夢見るが、ダグは気乗りしないでいた。
さらに女性を巡っての喧嘩を経て、仲違いをしたブライアンはニューヨークを離れ、ジャマイカのビーチで再びバーテンダーとして働くのだが、、、
就職活動が上手くいかず
バーテンダーのダグと出会う
ブライアンもバーテンダーになり
メキメキと頭角を現し人気者に
ブライアンと恋に落ちたムーニー
もう超可愛い
雰囲気メロドラマ
トム・クルーズが演じる青年・ブライアンが様々な人々と出会い、物事の価値観を学び、失敗を繰り返し、幸せを見つけていく物語ですな。
バーテンダーという仕事を背景にしているだけに、そこには悲喜こもごも、あらゆる夢や挫折が落ちています。
ある意味で社会に生きる人が素直になれる場所でもあり、また違う自分を気分良く演じれる場所でもあり、嘘と本音が交差する場所でもあるわけです。
兵役というキャリアはホワイトカラーの社会では何の意味も持たず、ぼんやりと一攫千金を夢見ていたブライアンはさっそく挫けます。
叔父が経営している古ぼけたバーを内心的に見下し、根拠の無い自信を持って企業の面接を巡るも、全くもって相手にされず。
仕方なしにバイトをしながら勉強し、再びビジネスマンを目指そうとした際に出会ったバーテンダー・ダグに人生の価値観を教わることになります。
言ってみれば世間知らずの若造が社会の現実に打たれ、水商売を通じて色々と経験してきた兄貴分に感銘を受けるということですな。
とにかく若き日のトム・クルーズがイケメンでして、文字通り「甘いマスク」という感じで、こりゃ30~50代の女性はイチコロですわ。
当時は売り出し中の若手俳優といった感じで、ギラギラした雰囲気も役柄にあっていたのではないでしょうか。
不景気で明るい未来が見出しづらい昨今ですが、ここまで清々しく成功を謳う姿は何とも微笑ましいものです。
若人よ、大志を抱け。
そんな彼の師として、兄の様な存在として人生を解くダグを演じるブライアン・ブラウンもまた素敵。
日々のパフォーマンスに一抹の疲れを見せながらも、将来的な一攫千金の道筋を着々と探す狡猾さはまさに兄貴という感じですな。
上手くいかない日々をどうやってひっくり返すかを考え続け、いざ成功すると上手くいかないという点も実にリアル。
成功を目指すより、成功を維持する方が遥かに難しいものですからね。
傍から見れば自業自得な結末だとは思いますが、貧乏は貧乏なりに、金持ちは金持ちなりに不安や悩みがあるのもまた事実。
ほんの束の間の夢に生きて、線香花火のように消えていく人生には少々ロマンを感じますよ。
個人的に特筆すべきはヒロインとなるムーニーを演じるエリザベス・シューの可愛さ。
トム様のイケメンぷりもさることながら、エリザベスの可愛さも本当に素敵。
何とも愛らしく、でもどこかに色気があり、滝つぼでイチャつくシーンなんかは素直に羨ましい。
(病気)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のジェニファー役が有名な彼女ですが、本作でも悲しみを乗り越え、勇気を持って前に進む強い女性としての存在感が抜群です。
やはり女性は肝っ玉ですよ。
まとめ
最初に述べたように色々と粗のある映画ではありますが、ノリノリなバーテンダーの演出や、それに伴う苦悩や悲哀を描いた作品としての見応えはあります。
「皆で孤独という名の酒を飲み干す、でも一人で飲むよりはマシだ」というピアノマンの一節のように、刹那的な人生の休息にはドラマがありますね。
また、何を以て成功と言うのかという哲学にも触れていますし、将来に悩む若者には響くものもあるかもしれません。
たまにはちょっとだけ足を止めて、こんな映画に興じるのも良いのではないでしょうか。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。