フライト・ゲーム


(原題:Non-Stop)
2014年/アメリカ・フランス
上映時間:107分
監督:ジャウム・コレット=セラ
キャスト:リーアム・ニーソン/ジュリアン・ムーア/ネイト・パーカー/バー・パリー/アンソン・マウント/スクート・マクネイリー/他

 




 

不審なメールに翻弄されながらも、飛行機内で起きた殺人事件を解決する航空保安官の活躍を描くサスペンス・アクション。

ほとんどが機内での出来事なので、ソリッド・シチュエーション・スリラー風な印象が強めです。

 

恥ずかしながら本作を観るまでは航空保安官という存在を知らず、敵性行動や事件を防ぐために事前に調査・制圧するという特異な性質にロマンを感じます。

そんな作風に演技派俳優リーアム・ニーソンの渋みが重なり、なかなかに奥深い良作だと思いますよ。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

酒と煙草に溺れるビル・マークスは一般客を装いニューヨーク発ロンドン行の飛行機に乗り込み、乗客を守るため、いつもと同じように任務を開始する。

しかし離陸後にビルの携帯電話に差出人不明の「指定の口座に1億5000万ドルを振り込まなければ、20分毎に乗客を殺す」とのメールが届く。

本気かイタズラか判断できないビルは念のため、秘密裏に調査を開始するのだが、、、

 

 

 

 

飛行機は無事離陸
しかし不審なメールが届く

 

予告通り犠牲者が出てしまい
乗客にも戦慄が走る

 

犯人は乗客の中にいると睨み
強硬手段に出るが、、

 

 

 

 

 

意外性は良し

離陸後の飛行機内にて、乗客150~200人くらいの中で巻き起こる犯人探しと言うことで、序盤の掴みは非常に魅力的です。

航空保安官・ビルに絡もうとする人や無視しようとする人、誰もが怪しく見えてきますし、尻尾が掴めそうで掴めないもどかしさが良い味を出しております。

20分で誰がどうやって死ぬのかの予測がつかないだけに、サスペンス性はユニークで面白く、漂う緊張感は良く出来ていますね。

 

また、主人公であるビル自体が正義の味方かどうかも怪しく、乗客を含め主人公までもが容疑者の対象になる作りはアイデア賞。

登場人物はもちろん、観ているコチラ側としてはビルも信用に値しないという感覚は非常に斬新で面白かったと思います。

 

 

ただし荒い部分もチラホラと散見し、アイデアが先行した結果、中盤を過ぎてからは色々と無理が出てきてしまうのは少々残念なところ。

犯人がターゲットを殺す手段なんかは特に、医者が調べれば一発で分かりそうなものですし、その後の隠蔽工作も説得力に欠けてますし。

推理が難しいというよりは「それはセーフなのか?」という感じで、推理をする上でのセーフティラインが見当たらないという感じ。

まるで犯人に導かれているかのようにドツボにハマる主人公の行動は首を傾げるものもありますし、最終的な展開も含めスッキリ感はあまり無いかもしれません。

 

それに加え、使命と怒りを胸に秘める主人公に対し、やたらと牙を剥く乗客たちの存在も今一つ。

主人公の味方となるのか、敵に回るのかが微妙にハッキリせず、演出としてひと捻り足りない印象です。

 

しょーもない秘密を後生大事に抱え、主人公の周りをチョロチョロするジュリアン・ムーアもまた然り。

皆が団結して悪を挫くのか、とことん敵に回って主人公の孤軍奮闘を促すのか、もう少しどちらかに寄せても良かった気がします。

ついでに言うと犯人の主張も良く分からず、重大な事件を引き起こした理由もこじつけ気味で魅力に欠けます。

 

 

しかし、それらを一蹴し魅力溢れる映画になっているのはリーアム・ニーソンの存在感によるところが大きいですね。

むしろ脚本&演出の穴を考えれば監督の頑張りではなく、リーアム・ニーソンのおかげで及第点に届いていると言って良いでしょう。

とある理由からくたびれた雰囲気の中年男性ですが、トラブルに見舞われ、徐々に使命感や正義感に燃えてくる流れは実に素晴らしいもの。

 

途中からは完全に世間の敵のような扱いになってしまいますが、それでも犯人を捜し、最悪の事態を防ごうと懸命に戦います。

思えばジェダイの時しか彼のアクションは観たことない気がしますが、思ったよりも動けているのでビックリ。

長身から繰り出される重たい打撃は十分に見応えがありますし、個人的には「強いおじさん」に憧れがあるので非常に魅力的でした。

 

 

ちなみに実際の連邦航空保安官は孤立無援の状態で職務を遂行するため、格闘術や射撃、飛行機の特性や安全確保などを習得するそうです。

超カッコいいよね。

 

 




 

 

まとめ

序盤は非常に面白く、中盤過ぎてからは失速、総じて及第点な作品かと。

すごく面白いとまでは言いませんが、至って普通に最後まで観られる内容ですし、ハッピーエンドで終わるので後味も良いと言って良いでしょう。

割とドキドキ、割とハラハラさせる構成は良く出来ていますし、重箱の隅をつつくような人でなければ十分に楽しめると思いますよ。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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