
(原題:Das Experiment)
2002年/ドイツ
上映時間:119分
監督:オリヴァー・ヒルシュヴィーゲル
キャスト:モーリッツ・ブライブトロイ/クリスチャン・ベルケル/オリヴァー・ストコウスキ/ヴォータン・ヴィルケ・メーリング/他
かの有名なスタンフォード監獄実験をモチーフにしたシチュエーション・スリラー。
1971年に実際に行われた、心理学の実験ですな。
結構有名な話なので説明するまでもないですが、一般人を看守グループと囚人グループに分け、2週間の間それぞれの役割を全うするというこの実験。
5日目にして看守グループが暴力的になったことで実験中止となり、心理学的に人間は権力を持つことで理性に歯止めが利かなくなる可能性が見出されたとなっております。
ちなみに現在ではこの実験の信憑性は限りなく疑わしくなっているようで、実験を行った心理学者フィリップ・ジンバルドー氏による実験結果もかなり怪しいそうですよ。
さっくりあらすじ
かつては雑誌記者を務め、現在はタクシー運転手として働くタレクは、ある日実験者募集の記事を目にする。
それは模擬刑務所内での実験の被験者となれば、2週間の拘束でで4000マルク(約26万円)の報酬が支払われるというものだった。
この実験に何かキナ臭さを感じたタレクは、記者時代の上司に実験内容を記録すれば高額で買い取ってもらえる約束をこぎつける。
簡単なテストや面接を経て、タレクを含む様々な男達が実験に臨むのだが、、、
とある実験に志願したタレク
金欠気味
番号を割り振られ
囚人生活がスタート
看守と囚人に分かれる
あくまで”フリ”のはずなのだが、、
立場が人を作る
日常とは異なる状況下に於いて、人間は不道徳で暴力的になる可能性を秘めるというのが現代心理学の基礎になるそうです。
今でこそ「まぁ、そうなる人もいるよねー」くらいの感覚で我々も捉えていると思いますが、この時代にはかなりセンセーショナルでショッキングな話だったのでしょう。
しかし、現在ではこの実験を考案&実行したフィリップ・ジンバルドー教授の結論の正当性には疑問符がついているそうな。
ジンバルドー教授の主張には数々の矛盾点が生じていたり、また意図的に看守役に横暴に振る舞うよう誘導したりと、彼の研究結果に否定的な意見も少なくないようです。
実際に他の研究者が同様の実験をしても全く違う結果となったことから、なおさら信憑性に欠けるようになっているのでしょう。
「あまりにショッキングな出来事があると、いかなる情報でも人間は鵜呑みにしてしまう」という方が正しいような気もします。
話が逸れましたが、物語としては監獄実験に参加した主人公が色々とトラブルに見舞われるという流れ。
有名な話が元ネタだけに、色々と脚色はしてあるものの大体の人が知っている話ですな。
ただし、気楽な看守&囚人の実験をピリつかせたのは他でもない主人公のタレクです。
実験が終わったら体験談を記事にして売ろうと目論み、だからこそ平凡ではつまらないと敢えて騒動を起こそうとします。
丸刈りにされたり、自分の服でトイレ掃除をさせられたりと、嫌がらせの数々に苦しむわけですが、これが殆ど自業自得なわけで。
理不尽で横暴な暴力と言えなくもないですが、そもそものトラブルの元はタレクにあるように見えますし、自分が囚人サイドなら迷わず彼を殴るでしょう(笑)
しかし、徐々に看守サイドにも遠慮がなくなった辺りからが物語の本番。
だんだんと横柄になり、目つきや顔つきが高圧的になっていくサマは素直に怖いものですな。
一部を除く看守たちは誰もが意地悪くなり、気に入らないことは権力&暴力で抑え込もうとします。
圧倒的な地位の差があると対話は無くなり、力が支配するという点だけは非常に説得力を感じさせられますね。
難点としては、一応は物語にも絡むものの、全く意味不明なタレクの彼女のシーン。
最終的には彼女の活躍もありタレクも無事にシャバに戻れるわけですが、それ以外の彼女のシーンが全て無駄。
何を演出しているのか、何を訴えているのか、何を表現しているのかが全く見えず、どう見ても削って良い部分にしか見えません。
というか、むしろ無い方が良いかな。
あ、あとついでに女医の先生がやたらセクシーです。
美人とは思いませんが、終盤は彼女もトラブルに見舞われ、色気たっぷりなサービスをお見舞いしてくれます。
(最低)
まとめ
かの悪名高い「スタンフォード監獄実験」の雰囲気を掴む作品としては、それなりに面白い作品だと思います。
実際の実験結果とは剥離した演出ですし、そもそも大幅に脚色した内容ですし、あくまで雰囲気を掴む映画だということで。
人間の心の闇が垣間見える、興味深い作品です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。