(原題:The Devil Wears Prada)
2006年/アメリカ
上映時間:110分
監督:デヴィッド・フランケル
キャスト:メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ/エミリー・ブラント/スタンリー・トゥッチ/エイドリアン・グレニアー/サイモン・ベイカー/トレイシー・トムズ/他
最高峰のファッション業界で生きる女性と、その世界を垣間見た一般女性を描いたヒューマン・ドラマ。
世界的に有名なファッション雑誌「ヴォーグ」で、アシスタントを務めていた女性による小説が原作です。
(本作との関連は否定しているようですが)
本作でメリル・ストリープ演じる鬼編集長は「ヴォーグ」の編集長を務め、ファッション業界では知らぬ者はいないであろう女傑アナ・ウィンターをモデルにしているとか、いないとか。
そのアナ・ウィンターという女性ですが、編集者にも関わらず、業界での動向で常に注目を浴びる本物の”神”です。
38歳で「ヴォーグ」の編集長に就任し、それから20年以上もの間、頂点に君臨する凄まじい手腕の持ち主でもあります。
魑魅魍魎のファッション業界。
基本的には女性目線の映画ではありますが、”ファストファッション”に慣れきっている昨今、ファッションの本当の意義を知る上でメンズにも観てほしい作品です。
さっくりあらすじ
報道記者を目指し、ニューヨークへと上京したアンドレアは、人気ファッション雑誌の「ランウェイ」に面接に行くことに。
ファッションに興味の無かったアンドレアは社員に馬鹿にされるものの、偶然にも編集長のミランダの目に留まり、彼女のアシスタントとして働くことになる。
そして始まったアシスタントとしての仕事。
世界のトレンドの発信地となるランウェイの中で、アンドレアはミランダの度を超えたワガママと横暴に晒されるのだが、、、
うっかり就職しちゃったアンドレア
地獄が待ってる
知的で傲慢な編集長
この人相手に「No」とは言えません
名誉の代わりに失うもの
よっぽどのマニアでない限り、言うても個人のファッション好きなんてたかが知れているものでしょう。
ブランドやデザイナーの名前を全て暗記し、生地の産地や特性を調べ、歴史的なファッショントレンドを研究する人はアマチュアではさすがにいないだろうと思います。
しかしながら、そんな我々の預かり知らぬところで当然ながらトレンドが生まれ、デザインが生まれ、商品としてのランクが下がって僕らの手元にやって来る。
当たり前のことではあるが、そういったファッショントレンドの源流を辿っていくと、これがなかなか興味深いわけですね。
生地やデザインはもちろんのこと、無限にあり得る色味まで、一流のファッション業界人は感心してしまうほどのこだわりを見せてくれます。
普段は縁の無いハイブランドの価値と、トレンドを作る人たちがどれほどに凄いことをやっているのかに、注目して見ると面白いかもしれません。
鬼編集長・ミランダを演じるメリル・ストリープは良い意味でハマり役でした。
もともと知的な印象が強い彼女ですが、大きな責任感がもたらす完璧主義と、気難しく傲慢な女傑を完璧に演じきっていますね。
強く、賢く、偉大なキャリアを誇る人物として、この人の下で働ける喜びは理解できますが、筆者はきっと心がもちませんね(汗)
ちなみに本作で14回目のアカデミー賞ノミネートとなっています。
対するアン・ハサウェイも素敵なんですが、、田舎出身の設定でも頭は小さいし、手足は長いし、可愛いし。
そのへんはお約束なんで仕方ないんですが、、流石に説得力には欠けますかね。
でも散々ミランダに振り回され、困り泣きする姿は本当に疲れてるっぽくて良かったかな。
物語の軸は田舎からやってきた女の子の話。
厳しい編集長に揉まれながらも、同僚の助けもあり彼女は徐々にファッションに目覚めていくわけですが。。
多忙を極める仕事にやり甲斐を感じたのも束の間、友人や彼氏、そして両親との距離がどんどん開いていきます。
価値観を分け合うような時間を取れず、ギクシャクする人間関係。
周りから見ればアンドレアはつまらない奴になり、アンドレアからすれば理解してくれない人たちになってしまいます。
これって現実にもよくあることですよね。
仕事を評価され、出世街道を昇ると周りがついて来れなくなってしまう。
相対的に、自分達のステージにいない友人と共に過ごすのは難しいのかもしれません。
まとめ
知ってるようで知らない世界を覗くのは、実に興味深く面白いものです。
ハイブランドに手が届かなくとも、すこしだけ身なりに気を使ってみようと思わせる説得力があります。
人生において本当に大切なものは何なのか?
全てが上手く回っていくほど人生は甘くはないでしょう。
誰だって何かしら捨てるものがあるのが人生です。
アンドレアの場合も何かを捨ててしまったわけですが、あなたはどう評価するでしょうか?
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。