(原題:Fantastic Beasts:The Crimes of Grindelwald)
2018年/アメリカ・イギリス
上映時間:134分
監督:デヴィッド・イェーツ
キャスト:エディ・レッドメイン/キャサリン・ウォーターストン/ダン・フォグラー/アリソン・スドル/エズラ・ミラー/ジュード・ロウ/ジョニー・デップ/他
前作はコチラ。
ご存知ファンタジー映画の金字塔「ハリー・ポッター」のスピンオフ「ファンタスティック・ビースト」シリーズの2作目。
前作終盤に唐突に現れたグリンデルバルド=ジョニー・デップに加え、最高の魔法使い・ダンブルドアの若き姿として、ジュード・ロウが起用されたことで話題を呼びました。
元々あまり肯定的に捉えた作品ではなかったので不勉強でしたが、どうやらこのシリーズは5部作なんですね。
今後の続編も2020年、2022年、2024年頃に公開される予定です。
さっくりあらすじ
”闇の魔法使い”ことグリンデルバルドは、ニューヨークからヨーロッパへの移送中に脱獄に成功した。
ロンドンに戻ったニュートは旅行禁止命令が出ており、命令を解除するため魔法省への入省を打診されるも難色を示す。
ニュートは海外への渡航に制限を付けられながらも、恩師・ダンブルドアからの依頼により、クリーデンスとグリンデルバルドの追跡をすることになった。
そんな折、クィニーとジェイコブがロンドンの自宅に現れ、非魔法族との婚姻を認めない社会に苛立ちを隠せないクィニーはジェイコブと口論に発展、去ってしまった。
ニュートはクリーデンスの後を追うティナを探すため、ジェイコブはクィニーを探すため、秘密裏にパリへと向かうのだが、、、
ニュートと兄のテセウス
同級生で兄の婚約者リタ・レストレンジ
魔法省に睨まれながらも
ダンブルドアの依頼を受けることに
”闇の魔法使い”グリンデルバルド
いうてもジョニデは良い
ファンムービーとしては及第点
だと思います。
若き日のダンブルドアや、改めて描かれるホグワーツの描写など、歴代作品を愛する人からすればニヤリとさせられそうな演出は多数見受けられました。
しかし、それが映画として面白いかどうかはまた別の話でして、ファンに対するパフォーマンスは良くとも、いち作品として考えれば正直かなり微妙な仕上がりだなと思います。
新シリーズの1作目として公開された前作は新たなキャラクターに加え不可思議な動物の数々が非常に魅力的で、新たなアプローチで描かれる魔法の世界は十分な内容の濃さがありました。
ニュート・スキャマンダーという風変わりな若者を中心に、個性のある仲間や非魔法族も加わり、その上で楽しいエンタメ性を感じさせた秀作だと思います。
それに対しての本作は悪い意味でドラマ性が強く、急な設定の追加やご都合主義な脚本で物語の整合性が取れていないんですな。
改めて暗躍するグリンデルバルドの目的が、非魔法族(多数派)に対抗するために魔法族(少数派)を蜂起させるというものだったり。
極めて強い潜在能力を誇るも、不安定なメンタルを利用されるクリーデンスの描写だったり。
どこか「X-Men」や「スターウォーズ」を髣髴とさせる脚本には目新しさは無く、ハリポタシリーズの独特な雰囲気でも誤魔化しきれないのが演出としては致命的か。
むしろ根幹となるはずのプロットがこういった具合に既視感たっぷりで、正直見飽きたと言っても良いくらいの内容です。
さらに、前作であれだけ感動を呼び起こした非魔法族・ジェイコブとの別れも無かったことに。
何の前触れもなく「思い出した」で説明が終わり、何事も無かったかのように今回も旅に参加する姿は何とも言えない憤りを感じます。
こんなにあっさり復帰させるなら前回で記憶を消す演出はいらなかったし、一度でもこういう”都合の良い感動”を見せられると今後に感動しなくなるよね。
ついでに前回は心優しかったクィニーのキチ〇イっぷりにもドン引きでして、人の心が聞こえてしまう苦悩を加味しても、コレは病院行きが妥当じゃない?
あまりにもキャラ変の温度差があり過ぎて、どう見ても同一人物を描いてるようには見えないですし、マジでキャラ崩壊一歩手前といった印象です。
総じてシリアスな内容にもっていくための演出が強引であり、楽しいエンタメ作品からダークなドラマ作品への移行がスムーズだとは言えません。
ジョニー・デップ&ジュード・ロウという2大スターをぶっこんできたことから、骨太なドラマを意識したのも分からんではないですが。
細かなご都合主義も山積してますし、映画として作りが雑な感じですね。
あとは毎度のことですが、悪のカリスマが非常に強く賢いのに比べ、どうにも魔法省(闇祓い)が無能でマヌケでモヤモヤしますな。
誰でもなれるわけではないエリート風な割にはプライドが高く無能で、ニュートへの勧誘を考えれば全員のコネ入社を疑いたくなりますね。
しかし、当然面白いエッセンスも多々あります。
前作に比べ、多岐に渡る魔法の数々はユニークで面白いものですし、終盤の戦闘シーンでは大迫力で息を飲む大掛かりな魔法が印象的です。
ちょっと少な目で不満ではありますが、新たに描かれる魔法生物の姿もまた然り。
彼らがもたらす危機や脱出劇など、目まぐるしいアクション性にはもはや欠かせない存在になっております。
それ故に、登場する魔法生物の数に物足りなさを感じるわけですが、、河童???
まとめ
5部作の2作目ということで、導入部から中盤への構想を考えればまさに”繋ぎ”の立ち位置となる本作。
先述した通り、1作目と比べかなり毛色の違う仕上がりになっていますし、筆者のように前作のノリを期待するとガッカリしかねない内容です。
とはいえ映像は相変わらず目を見張るものがありますし、ユニークで可愛らしい動物たちの活躍も楽しいですし、決して退屈な作品ではありません。
それにしても、繋ぎだとしてもコレはちょっとなぁ、、退屈ではないけれど特別面白くもない、そんな感じ。
正直なところ、個人的には「今後は映画館では観ないかもなぁ」という感想です。
ただ薄々気付いているけれど、そもそも捻くれた人間には向かない作品ですね(泣)
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
しっかしね、世界観の基本となる「魔法」について、湧き上がる疑問が抑えきれません。
いつかまとめて、疑問を全て挙げてみたいと思います。