ドラゴンクエスト ユア・ストーリー


2019年/日本
上映時間:103分
監督:山崎貴/八木竜一/花房真
キャスト:佐藤健/有村架純/波留/坂口健太郎/内川蓮生/山田孝之/田中美央/他

-Warning!!-

本日の「観れんのか」は
オススメ映画の紹介ではありません。

素敵な映画をお探しの方は
他の記事を参照くださいませ。

 




 

みんな大好き国民的RPG「ドラゴンクエスト」、その中でも人気の高い「天空の花嫁」をベースに作られた3DCGアニメーション。

日本のVFXの第一人者である山崎貴が総合監督を務め、最近ではこの手の映画製作を一手に引き受ける白組が製作に当たりました。

 

個人的には山崎貴&白組の映画は相性が悪く「ドラえもん」でマジで懲りたので、全く興味がありませんでした。

山崎監督自身がゲームの映画化に否定的なスタンスだったようですが、ラストシーンのアイデアを思いついてオファーを受けることになったそうな。

もうこの時点でネガティブな印象が拭えませんでしたが、言うてもドラクエだもんね、観たくはなっちゃうよね。

 

 

 

さっくりあらすじ

父・パパスと少年・リュカは魔物に連れ去られた母を取り戻す旅を続けていた。

魔物を率いるゲマと遭遇し激しい戦闘を繰り広げるも、リュカを人質に取られ抵抗できなくなったパパスはそのまま殺されてしまう。

そのまま魔物に連れ去られ、奴隷として働かされていたリュカは魔物の拠点から脱出し、10年振りに故郷へと帰ることができた。

そして「天空の剣と勇者を見つければ、母・マーサを救うことができる」と書かれたパパスの日記を発見し、再び冒険の旅に出るのだが、、、

 

 

 

 

主人公・リュカ
父の遺志を継ぎ、再び冒険に出る

 

フローラか、ビアンカか、、
お決まりの流れ

 

ゲマは良い
すごいゲマっぽい

 

 

 

 

不毛な時間

現在の30代~40代であれば、殆どの人がプレイしたであろう「ドラクエ5」

当時はゲームを買うために長蛇の列を作ったり、大人が会社を休んでまで買いに行ったりと、文字通り社会現象になっていたわけですな。

それ故に個々の思い入れが極めて強く、賛否が分かれやすい下地があったことは容易に想像がつきます。

 

 

先に良い点を挙げると、まず背景が細部に至るまで極めて美しく作りこまれ、コレだけ見たら海外の大手アニメーション会社にも全く引けを取りません。

誰もが思い描いたであろう戦闘シーンもドラクエらしく、尚且つユニークさも感じられ「実際に戦うとこんな感じなのか」と思わず笑みがこぼれます。

困ったらとりあえずバギマだね。

 

さらにドラクエ5の代名詞とも言える「結婚」ですが、これもヒロインが悶絶するほど可愛らしく、マジでこんな嫁が欲しいと思ってしまうほど。

フローラか、ビアンカか、その顛末には賛否が分かれる内容だと思いますし、終盤に繋がる無茶苦茶な伏線もあり、ちょっとリアクションに困る演出ではありますが。

個人的には迷ったことすら無いビアンカ派でしたが、もうマジでビアンカの可愛さったら悶絶もの(キモい)

彼女の魅力の掘り起こした事だけは、手放しで絶賛して良いと思います。

 

 

で、ここからが長々とマイナス点。

まず綺麗な背景とは裏腹に、キャラクターの造形には過去作からの進化が見られず、相も変わらず血の通っていない微妙な仕上がり。

どうにも表情が固く、肌の質感が陶器っぽく、何だか人造人間みたいな感じなんですよ。

ついでに「ドラえもん」の時と同じで背景の住人が少なく、城でも街でも、どこに行っても集落のようで寂しげな違和感が止まりません。

 

対してモンスターの数は驚くほどに多く、「コレもう侵略終わってんじゃないの?」と思うほどに気合が入っています。

動くキャラクターを作る大変さは容易に想像できますが、気合を見せる所が違うというか、どうも白組のアニメって詰めが甘いような気がします。

 

 

で、最大の問題点となるラスボスの件ですが。

コレどうしちゃったんだろうね?

山崎監督が言う「良いアイデア」がコレなのであれば、取り返しのつかない大失態だと言わざるを得ないでしょう。

 

物語の真相にもガッカリですが、それ以上に主人公と黒幕の「これは現実だvs虚構だ」の不毛な争いは本当に辟易としましたよ。

誰が何で楽しもうと、それを見て周りの人間が「くだらない」と罵ろうと、それは全て個人の自由であり他人がバカにして良い領域ではありません

誰もが夢中になった「ドラゴンクエスト」という虚構の物語(ゲーム)は、プレイした人の心で現実の物語(感動)となるわけで、そもそもの論点が破綻してるんですよ。

 

ゲームで遊んだ楽しい時間や感動した時間、全滅してイラついた時間やクリアした満足感に浸る時間は、虚構とか現実とかでなく「思い出」です

人が懐かしむ思い出をバカにする権利は誰にも無いですし、誰もが期待した国民的RPG映画をこんなに意地悪く改変して1800ゴールド(円)も奪い取る製作会社&配給会社の方をバカにすべきじゃないかなと。

最新の映像技術に、豪華な声優陣に、予算をかけまくったマーケティングに、これだけ束になっても20年近く前に発売されたスーファミに勝てないんだからね。

 

 




 

 

まとめ

本作を観て、正直に思ったのは「映画館で観なくて良かった」ということ。

もし1800円払って観てたら憤慨し、映画好き仲間に悪口を言いまくってたことでしょう。

 

映像的にもそれなりな完成度を誇り、普通に面白い作品になり得た映画だと思います。

良い面をかき消し、大いにマイナスに振ってしまう山崎節さえ無ければ普通に楽しめるエンターテイメントになり得たでしょう。

色々思うところはあるにしても、感想としては「余計なことするから、つまらなくなる」の1点に尽きますね。

面白い作品を作ろうとした製作スタッフの努力も、多くの人に観てもらおうとした広告スタッフの努力も、待ち望んで観に行った客も、何より国民的とまで言われるゲームを世に残したエニックスも。

各々の努力の結晶を、いち監督のエゴで改悪しちゃうんだからね、擁護のしようも無いってものです。

 

それでも駄作だとは思いませんし、先述したように映像や戦闘の演出などには一見の価値はあるでしょう。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。



ブログランキング参加してみました。
良ければポチっと押しちゃってください。