(原題:Hope Springs)
2012年/アメリカ
上映時間:100分
監督:デヴィッド・フランケル
キャスト:メリル・ストリープ/トミー・リー・ジョーンズ/スティーヴ・カレル/エリザベス・シュー/ジーン・スマート/他
熟年夫婦がお互いの関係を見つめ直すため、カウンセリングを受けるロマンティック・コメディ。
ジジババの色恋なんざどうでも良いんですが、メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズという2大演技派俳優の魅力に負け視聴。
ちなみに「プラダを着た悪魔」や「素晴らしきかな、人生」を手掛けたデヴィッド・フランケルが監督を務めます。
夫婦とは文字通り十人十色、歳を重ねてもラブラブな夫婦もいれば、ビジネスライクな夫婦もいて、憎み合うような夫婦もいたりします。
そんな多種多様な夫婦関係のほんの一例として、こんな夫婦もいるのかなといった程度の映画です。
日本では一般的ではないカウンセリングを通し見えてくる様々な問題ですが、多少は皆さんの心に引っ掛かるものもあるかもしれませんよ。
ちなみに筆者は超愛妻家です。
(どうでもよい)
さっくりあらすじ
ケイとアーノルドの夫婦は結婚して31年になるが、ゴルフ番組を見たらさっさと自室で寝てしまうアーノルドの態度にケイはモヤモヤを隠せない。
すっかり無くなった夫婦の営みも含め、ケイはこの事態を解決するために定期預金を解約し、2人で心理カウンセラーのフェルド医師を訪ねようとする。
露骨に嫌がるアーノルドを連れ、不穏な雰囲気の中フェルド医師のカウンセリングが始まるのだが、、、
すれ違う熟年夫婦
意を決してカウンセリングを受ける
しかし順調には進まず
夫のアーノルドはみるみる不機嫌に
2人は嘗ての輝きを取り戻せるのか、、
老いと家庭と男と女
「長年連れ添った中年夫婦が、見過ごせなくなったすれ違いを埋めようと奮闘するドラマ」のような雰囲気ではあるものの、内容はかなりの差異を感じます。
あれこれとそれっぽい原因を匂わせてはいるものの、結局は「セックスしてない」に収束してしまい、端的に言えば欲求不満なおばちゃんのトラブル解決物語になってしまっているんですな。
最初から至って普通の幸せな夫婦に見えるだけに、夫婦関係が冷めている=性交渉が少ないという短絡的な考え方があまりフィットしていないというか、どうにも共感できる部分が少ないというか。
これが若夫婦の話だったらまだ多少の理解もできるってもんですが、それなりにいい歳こいたおっさん&おばさんの話ですからね。
「ボディータッチが少ない」くらいでギャアギャア騒いでんじゃねえよと、ついついそう思ってしまうわけです。
これ映画だからいいけどね、近所のおばさんに相談されたら嫌悪感を抱いてしまいそうです。
そんなくだらない熟年の性の話を、それなりに面白くしているのはやはり主演2人の頑張りによるもの。
妻・ケイは夫に抱いてもらえず欲求不満を抱えるも、自身は奥手で性的に相手に尽くすことができない女性です。
男性目線で見れば、もうこの時点で何故にボディータッチが減るのかも頷ける気がしないでもないですが、自身がすべき努力をカウンセラーに委ねるあたりに彼女の人柄が垣間見えます。
育ちが良いというか、奥ゆかしいというか、自分が解決できなかったことは誰かが助けてくれる、またそれに甘んじて生きてきたんだろうなぁと。
もちろんソレが悪いとは言いませんが、夫婦の繊細な問題まですら他人に委ねる女性に興奮しろというのも難しい話じゃないすかね、実際。
そんなウザめなオバさんですが、どこか愛らしく見えてくるのはやはりメリル・ストリープの好演があってこそ。
夫に抱きしめられ目を覚まし、嬉しさが弾けるように笑顔になるシーンなんかは普通に胸キュンものです。
対して夫・アーノルドは不器用で鈍感、しかめっ面が良く似合う頭の固い人物。
仕事にも家庭にも不満らしい不満は無く、妻の悩みを他所に安定した日々を送っていると信じているおっさんですな。
普段は表わさないケイに対する愛情を少しずつ吐露し、素直に愛する妻に向き合う過程はそれなりに魅せるものがありますね。
カウンセリングを終え、すっかり素直になったエンディングには思わず笑みがこぼれますよ。
世界有数のしかめっ面俳優として、トミー・リー・ジョーンズ以上の適役は難しかったでしょうし、彼のキャリアの中でもこういった役は珍しいと思います。
まとめ
一応断っておくと、あくまで性的な悩みをきっかけとした、長年連れ添った夫婦の愛情を再確認するハートフルなロマンス・コメディであります。
正直に言えば「面白いか」と言われると実際そうでもなく、かと言って「退屈か」と言われるとそうでもなく、恐らくは観る世代によって評価が大きく変わるであろう映画ですな。
何せ中年の性事情がテーマだけに、世代によっては両親くらいのおっさん&おばさんがセックスで悩む姿は極めて複雑に映ることでしょう。
逆に夫婦生活が長い人が観れば、それなりに響くものもあるかもしれません。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。