
(原題:Dummy)
2002年/アメリカ
上映時間:92分
監督:グレッグ・プリティキン
キャスト:エイドリアン・ブロディ/ミラ・ジョヴォビッチ/イリーナ・ダグラス/ヴェラ・ファーミガ/ジャレッド・ハリス/ロン・リーブマン
会社をクビになった青年とその家族、そして周囲の人々との関係を描くロマンス・ドラマ。
冴えないメンズとイカれた幼馴染、そしてワケあり未亡人が紡ぐ心温まる物語です。
そしていきなりですが、まず最初に上っ面の大事さというものに触れたいと思います。
この世の中、表面的なことだけでは何も真理は掴めない。
んなこた分かってる。分かってるんだけど、見た目って大事じゃない?
おいしそうな料理、綺麗な包装、素敵なお店、イケメン、美人、、、、
食べてみないと、開けてみないと、試してみないと、付き合ってみないと分からない。
でもね、その「○○してみよう」って魅力的なきっかけがあって初めて成立するわけで、だからこそ我々はカッコいい服を買ったり、車を買ったり、髪を切ったりするわけで。。
表面的な部分を磨くのは時として下らなく感じることもある。
でも大事なことでもあると声を大にして言いたいわけですヽ(`ω´*)ノ
何でこんなつまらん話をしているのか。
それはこの名作の日本版パッケージがあまりにもひどいからです。
見てよコレ?
ホラーじゃん。
しかもバイオハザードの人気にあやかってかミラ・ジョヴォビッチ主演て(主演はエイドリアン・ブロディです)
ちょいちょいあることですがハリウッド級の大作を除き、特に劇場未公開(ビデオスルー)の作品はこんなしょーもない扱いをされることがあります。
売れてる映画は面白い、それはある意味正しいと思います。
でもね、たまには日陰でくすぶってる映画にも目を向けてあげてください。
本当にいい映画だよ、これ。
さっくりあらすじ
無職で模型以外に興味を示さない父。
過保護だけど空気が読めない母。
そして婚約を破棄してキャリアに生きようとする姉に囲まれ、自分の人生に思い悩んでいたスティーブン。
内気な彼はTVで見た腹話術に憧れを持ち、会社を辞め、腹話術のエンターテイナーを目指す。
職安の担当職員であるロレーナに一目惚れした彼は、親友のファンゴラに相談してみるもなかなか上手くいかず、、、
新米腹話術士のスティーブン
どこに行くにも人形は必須
ミラ・ジョヴォヴィッチ
超可愛い
小さな暖かいお話
「戦場のピアニスト」でオスカー俳優となったエイドリアン・ブロディ。
いまや超有名大作「バイオハザード」シリーズでゾンビをぬっ殺しまくってるミラ・ジョヴォビッチ。
さらに「マイレージ、マイライフ」でアカデミー助演女優賞にノミネートされたヴェラ・ファーミガ(多分当時はまだ無名)と低予算な映画なのにかなり豪華な組み合わせ。
特にミラさんはマジで超絶かわいいです。
なんつーかね、本当にほっこりします。この映画。
ナヨナヨして内気な男、スティーブンは自分の本音を腹話術を通じてしか言えない情けないヤツなんです。
そんな彼が人として、男として成長していく姿はほっこりと感動します。
ガキ大将がそのまま大人になったようなボーイッシュな女の子・ファンゴラもまた素敵。
自分の伝えたいことや、人に親切にしたい気持ちが空回ってうまくいかない不器用な女性です。
素直になれず、もどかしい人の心のすれ違いを上手く演じるミラ・ジョヴォヴィッチの好演が光ります。
美人なのに何となく影のある女性・エレーナも繊細さと包容力を兼ねそえていて、本当に魅力的です。
ヴェラ・ファーミガの幸の薄そうな顔(失礼か?)もあり、強く生きようとする繊細な心が垣間見えますね。
また娘の女の子が可愛いんだ、コレが。
あんな娘がいたら自分の血を引かずとも、目に入れても痛くない程の親バカになりそうです。
物語としては「自分の思い描いた将来とは異なる現実」が軸となります。
社会生活に疲れた姉弟にフォーカスし、またその周りにいる人々を描いた群像劇だとも言えます。
社会的に”普通”でいることの大変さ。
かつて描いた夢を、胸の奥に押し込める苦しさ。
好きな人に対し、胸を張るための努力やプライド。
どこにでもありそうな社会の一端を切り取ったかのように、狭い世界の話でありながらも深い味わいのあるお話です。
大人になるにつれ色々と諦めるのが人生というものですが、心のどこかで燻り続ける夢を片付けるため、または思い起こすために観て欲しいなと思います。
まとめ
そのへんの日常に転がってそうな、小さな小さなお話です。
勝ち組だ負け組だと、上を見て、120点満点を目指すような人生も良いでしょう。
それでも自分を理解してくれて、愛する相手と分かち合える人生も相当に幸せだと、そう思わせてくれるような素晴らしい映画です。
不器用でひたむきな、心を暖かくしてくれる愛のお話。
オススメです、ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。