(原題:Watchmen)
2009年/アメリカ
上映時間163分
監督:ザック・スナイダー
キャスト:マリン・アッカーマン/ビリー・クラダップ/マシュー・グッド/ジャッキーアールヘイリー/ジェフリー・ディーン・モーガン/パトリック・ウィルソン
「フロムヘル」や「Vフォー・ベンデッタ」で有名な、アラン・ムーアのコミックを映画化したSFアクション・ドラマ。
ちなみに監督は「300」のザック・スナイダー。
先にいっておきますが、かなり人を選ぶ映画です(・Д・)ノ
いわゆるヒーローものですが、深すぎる架空の時代を背景に「もしスーパーパワーを持つヒーローが現実に存在するならば」という視点で描いた作品ですな。
ヒーローの意味や価値、戦う敵は誰なのか?
何のために戦うのか?
そんな概念をを再現してみた映画だと思ってください。
パッケージ通りの独特の世界観+微妙に悪者に見えるキャラクター像による物語は、勧善懲悪とはかけ離れた内容となっており、その辺を期待してはいけません。
ちなみに原作者アラン・ムーア氏ですが、これが相当な変人。
高校生の時に合成麻薬の密売したり、古代ローマの蛇神様を崇拝(黒魔術的な)してたりと天才が一周まわって色々とおかしくなっている感じです。
しかし漫画=子供の読み物だったコミックに哲学や文学、自由意志や倫理観などの要素を盛り込み、アメコミというものと共に確固たる地位を確立した偉人でもあります。
さっくりあらすじ
架空の歴史上、キーン条例によりマスクをかぶったヒーロー行為が禁止された世界。
ニクソン大統領が未だに実験を握っており、アメリカは世界に対して絶対的な権力を有していたものの、ソビエト連邦との確執により核攻撃を含む緊張が高まっていた。
1985年、ヒーローの一人、コメディアンが何者かに殺害される。
一体誰が?そして何のために?
ロールシャッハは誰の助力も得られぬまま、独自に捜査を開始するが、、、
一応、主人公のロールシャッハ
彼の視点で物語は進みます
シルクスペクターⅡ
エロい
Dr.マンハッタン
超絶チート能力の持ち主
ヒーローとは?
まずは軽く登場人物のご紹介。
ロールシャッハ
白地に黒い模様が浮き出る不気味なマスクを着用、悪人は容赦無くガンガン殺す。
武器は己の正義に一切の妥協を許さない最強の精神力、ちなみに35歳、童貞。
ナイトオウルⅡ世
実家がお金持ち。
豊富な資金で武器とか乗り物を制作。ボディスーツのせいか一番ヒーローっぽいのに影が薄い。
仲間の彼女を寝とるもEDに悩む。
Drマンハッタン
キーン条例施行後もヒーロー活動を許された一人、事故により核の放射能に飲まれ、あらゆる原子を支配するほぼ神。
ぶっちぎりで最強。
シルクスペクターⅡ
Drマンハッタンの彼女、やはり影が薄め、でも普通に強い。
もはや人間でない彼氏に愛想が尽きてナイトオウルに乗り換える。
エロい。
オジマンディアス
ヒーローだった自身の正体を公表し、引退した人気者。
知名度を利用して起業、成功して大金持ちに。
Drマンハッタンの能力をエネルギー開発に有効利用するために奮闘中。
コメディアン
キーン条例施行後もヒーロー活動を許されたもう一人のヒーロー。
粗暴で野蛮でおよそヒーローとは程遠い気がするが、ヒーロー=アメリカに利益をもたらすもの、な側面がある模様(´・ω・`)
世界の真実に気付いたため、冒頭で死亡。
というわけで、ヒーローとは何でしょうか?
創作における日本とアメリカのヒーロー像って少し違っているように思いますが、アランムーアはヒーローについてこのように答えています。
「俺達はすごい力を持っているんだが、ソファに座って、ビール片手にテレビを見ているだけだ。
スーパーパワーがあったって、やっぱりソファに座って、ビール片手にテレビを見ているだけだろう。
馬鹿がコスチュームを着たところで、変な格好をしたおかしな奴が一人増えるだけだ。
ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着ているってことじゃない。
自らの意思でもって、世界を良くしようと戦う人々のことを言うんだ」
つまりヒーローになるには、強い力ではなく強い意思こそが大切だということですね。
己の持つ可能性を人のために使うのか、はたまた私利私欲に走るのか。
軍人や警官、消防士や救急救命士、スポーツ選手やボランティア、果ては一般人の俺たちまで。
誰にだってヒーローになり得る可能性を秘めていることになります。
それ故に自分の正義を信じて疑わない人たちがケンカになったりもするんですけどね、、、人間て本当に複雑な生き物です。
まとめ
ストーリー自体は割と単純なんですが、ちょいと時代背景や設定が複雑に感じるかもしれません。
が、それを遥かに上回る魅力的な映画なので、食わず嫌いせずに一度試してみてください。
狂人と紙一重なる、強靭な精神。
何を以て正義を定義するのか。
そんな哲学性が興味深い映画です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
オマケ
ロールシャッハ役のおじさん、なんと芸歴48年!
熱狂的なロールシャッハのファンだったとか。