(原題:Eternal Sunshine of the Spotless Mind)
2004年/アメリカ
監督:ミシェル・ゴンドリー
脚本/原案/制作総指揮:チャーリー・カウフマン
キャスト:ジム・キャリー/ケイト・ウィンスレット/イライジャ・ウッド/キルスティン・ダンスト/マーク・ラファロ/ トム・ウィルキンソン他
1つのストーリーをぶつ切りにして、繋ぎ合わせたラブストーリー。
時系列がチグハグなため、やや上級者向けな内容で、映画慣れしていない方には複雑に感じるかもしれません。
深く愛した女性とうまくいかず、泣く泣く付き合いを断念した経験は誰にでもあるものでしょう。
大体は良い思い出になったり、時間と共に忘れてしまったりするものですが、どれだけ相手にのめり込んだかが心の空白の面積に比例するものでもあります。
良い思い出も、嫌な思い出も、もし自在に消すことが可能であれば、自分が本当に消し去りたい記憶はあるものでしょうか?
さっくりあらすじ
平凡で退屈な男・ジョエルは、個性的で自由奔放な恋人・クレメンタインと大喧嘩をしてしまう。
仲直りをするべく、プレゼント片手にクレメンタインの働く本屋へと赴くジョエル。
しかし彼女はまるでジョエルを知らない人のように振る舞い、ジョエルの前で新しい彼氏とイチャつく始末だった。
深く傷ついたジョエルはクレメンタインが記憶を消す手術を受けたことを知り、自分も彼女の記憶を消すことを決意する。
消されて行く記憶の中で、改めて彼女を想い、無意識の中で記憶除去に抵抗するのだが、、、
地味な男と自由奔放な女の出会い
つらい思い出を消せるとしたら、、
演技派俳優が織り成す、不思議な恋愛
ジム・キャリーの地味で平凡な男っぷりが意外や意外、すごくハマってて素敵です。
生粋のコメディアンであるジム・キャリーがつまらない男を演じるという異色の演出は、予想以上に良い味を出していますね。
コミカルな演技を持ち味として笑いを取りにいく男が、真面目な演技するとこんなにレベルが高いのかと感心してしまいます。
ギラギラした笑顔を封印し、冴えない男に徹した演技力に脱帽です。
「タイタニック」のイメージが強かったケイト・ウィンスレットもなかなかはっちゃけた役で、セクシーで魅力的だけど面倒くさそうな女を完璧に演じています。
独特のファッションセンスに身を包み、どこかミステリアスな雰囲気だけれども、割と普通の女子というギャップ。
感情表現がダイレクトであり、喜怒哀楽が激しめであり、子供っぽさと色気が混同するその魅力は現実にもよくある話ですよね。
でもね、その手の女性に手を出すと色々と大変ではありますが。
(経験談)
脇役も地味にゴージャスでスパイダーマンの彼女だったり、ミスター・フロドだったり、ハルクだったり。
見たことのある俳優がいっぱい出てます、そしてみんな若いっすね。
あとは下世話ですが、キルスティン・ダンストがやけに色っぽくて素敵です。
ブサカワで有名な彼女ですが、筆者も決して美人とは思わないですが、何とも言えない魅力に溢れてますね。
良く言えば親しみやすいというか、その辺にいそうな可愛らしさが光ってます。
天才と評される有名脚本家チャーリー・カウフマンが脚本を担当し、アカデミー脚本賞を獲得した今作。
彼の得意な多重構成ストーリーは現実と記憶の描写を交互に挟んでくるので、集中して観ていないといつの話をしているのか、頭がこんがらがります。
監督のミシェル・ゴンドリーはビョークをはじめ、大御所アーティストのMV製作で有名なメディアクリエイター。
ほのぼのした田舎町が舞台にも関わらず、どことなく洒落たカットや演出、滲み出るアート性に独特なセンスを感じます。
まとめ
通常の恋愛映画とはかなり色が異なる作品なのは間違いありません、良くも悪くも人は選ぶ映画かなと。
ただ、難解だからと敬遠するのはすごくもったいない。
じっくり観て、感じて、理解して、その先に何か得るものがきっとあると思える素晴らしい作品です。
良い思い出も、嫌な思い出も、記憶には全て価値があります。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
ごちゃごちゃとシーンが切り替わる本作ですが、クレメンタインの髪の色が時間軸の目安になるよ。