エグザム


(原題:EXAM)
2009年/イギリス
上映時間:101分
監督:スチュアート・ヘイゼルダイン
キャスト:ルーク・マブリー/ジェンマ・チャン/ジミ・ミストリー/ジョン・ロイド・フィリンガム/チュク・イウジ/ナタリー・コックス/他

 




 

破格の報酬を約束する企業試験に臨む、8人の男女を描くソリッド・シチュエーション・ミステリー。

ザ・低予算映画という感じな上、支離滅裂なエンディングが賛否を呼ぶであろう迷作ですな。

 

「圧迫面接」なんて言葉も生まれる昨今で、非常に興味深い作品だとは思います。

しかし捻りがあるようで無い、そして斜め上なエンディングは何とも溜息が漏れる仕上がりです。

 

 

 

さっくりあらすじ

とある企業の最終選考試験、殺風景な部屋に8人の男女が集められた。

「試験監督や警備員に話しかけてはならない」

「いかなる理由があれ、試験用紙を破損してはならない」

「いかなる理由があれ、試験会場から出てはならない」

受験者に質問が無いことを確認すると、80分のタイマーを起動し試験監督は退出するのだが、、、

 

 

 

 

試験会場
窓も無い息苦しい部屋

 

試験問題の意味が分からず
受験者は協力しあうことに

 

しかしライバル同士はまとまらず
裏切りと疑心暗鬼が生まれる

 

 

 

 

とんち

「高額の報酬」「80分の制限時間」「3つのルール」という、実に魅力的な雰囲気を醸し出す本作。

何も書かれていない試験用紙を相手に”問題”を探すことから物語が動き始めます。

あるはずなのに見当たらない”問題”を相手に、あれやこれやと策を講じては失敗し、勝手に解釈を広げては理解した気になるような試行錯誤が主に描かれるわけですな。

密室系ということで映像的な変化に乏しい閉塞感故に、この手の映画はいかに焦燥感を煽るかがキモとなりますが、そこが微妙に欠けている印象です。

 

というか何というか、これが全くもって納得いかない試験内容なんですよ。

どうやらCEOのワンマン会社だということが劇中で語られ、彼が必要な人材を選ぶということで、かなりクセのある選考基準なのは容易に想像できます。

が、いかに年収が上がろうとストレスで病気になりますよ、絶対。

 

 

そもそも「質問は1つ、答えも1つ」だと宣言したわりには、答えはいくらでも生み出せる解釈ができちゃうんですよね。

頭が固いと言われればそこまでの話なんでしょうけど、企業的に「人間性を備えつつ、冷静で仲間想い」な人を探そうとする上で何の役にも立たない試験内容でしょう。

さらに言えば、最終選考まで残った人達もあまり優秀には見えず、各々の専門性も十分に活かせたとは言い難いのも残念なところ。

 

協力し合うにしても裏切るにしても、結局は暴力がモノを言う展開はアリなんですが、企業の選考という舞台を考えればかなり無理のある脚本かなと。

最終的に選ばれた人は活躍したわけでもなく、何かに特化しているわけでもなく、ただ傍観していたような印象ですし、何度思い返してもやはり納得いきませんて。

映画としてのアイデアは非常に魅力的なんですけどね、組み立て方が違うというか、演出の方法が違うというか、どうにもチグハグな印象が否めません。

ついでに、8人の中で心理学者が登場しますが、やけに当たりが強いんですよね。

ちょっと考えすぎかもしれませんが、脚本も担当したスチュアート監督がいかに心理学が嫌いか良く分かります(笑)

 

で、唯一印象的で面白かったのが警備員の存在。

寡黙で職務に忠実な警備員のおじさんですが、活躍する場面は少なめながらも存在感は抜群。

受験に来てもらった人を過剰なまでに強く追い返す姿。

ポケットをまさぐられようと微動だにしない姿。

携帯した拳銃を握らせられ、打ちやすい姿勢に動かされても真顔で黙っている姿。

個人的には彼こそが最も必要な人材じゃないかと思うくらいのインパクトです。

 




 

 

まとめ

悪い意味で「むーん」と唸る映画ですな、決して退屈ではないけれど、手放しで面白いとも言えない難しい作品です。

まぁ世の中納得いかないことなんて掃いて捨てるほどあるにしろ、ここまで幼稚な企業試験は珍しいですからね、そういった意味では興味深いと言えなくもないですが。

ただし、いかに納得いかなかろうが、いかに腹立たしい会社だろうが、報酬を考えれば筆者的には余裕で我慢できる内容ではありますが。

 

あまりオススメできる作品とは思いませんが、何となしに観てたら意外と楽しめるかもしれません。

100円レンタルでどうぞ。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。



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