(原題:Triple Threat)
2019年/タイ・中国・アメリカ
上映時間:96分
監督:ジェシー・V・ジョンソン
キャスト:トニー・ジャー/イコ・ウワイス/タイガー・チェン/スコット・アドキンス/マイケル・ジェイ・ホワイト/ジージャー・ヤーニン/他
東南アジアを舞台に、3人の男と犯罪組織との戦いを描くアクション映画。
「マッハ!」のトニー・ジャー。
「ザ・レイド」のイコ・ウワイス。
そして超大作「マトリックス」でアクション指導を担当したタイガー・チェン。
ムエタイ・シラット・カンフーと、アジアが誇るアクションスターを惜しみなくつぎ込んだ、中々の良作アクションでございます。
さっくりあらすじ
捕虜となっていた傭兵・コリンズを救出するため、アジア系のパユとロンは部隊を先導し、とある村を襲撃した。
突如として銃撃の雨に晒され、爆薬で村を吹き飛ばされ、さらに妻を失ったジャカは復讐を誓う。
怪我を抱えながらも、ジャカは違法な地下闘技場で金を稼ぐパユとロンを見つけるのだが、、、
トニー・ジャー!!
イコ・ウワイス!!
タイガー・チェン!!
10年前に観たかった
先に言っておきますと、色々と粗めな作品ではありますが結構面白かったです。
タイの武術・ムエタイ。
インドネシアの武術・シラット。
そして中国の武術・カンフー。
それぞれの国のアクションスターが終結し、小柄なアジア人が大柄なアメリカ人と真っ向から戦う姿は往年のアジア映画を観ているようで、非常に見応えがあります。
惜しむらくは、トニー・ジャーが当時43歳、イコ・ウワイスが36歳、そしてタイガー・チェンが44歳と、肉体的な全盛期を過ぎてしまっていること。
それでも年齢を感じさせないアクション・スタントは感嘆の一言ですが、彼らの全盛期に同じ作品が作れたらと思わざるを得ない、何とも勿体ない気持ちにさせられます。
とはいえ、それを差し引いても十分に堪能できるアクションの数々であり、久しぶりのアジア系アクションスターの雄姿は一見の価値ありと言って良いでしょう。
物語としては、因縁ある3人のアジア人が、いかにも悪そうなアメリカ系傭兵部隊と戦う流れ。
コッテコテな内容ではありますが、それでも上手に纏まってはいる印象です。
トラブルに見舞われた女性と逃亡を余儀なくされるパユとロン、そして復讐のために彼らを利用し戦いに臨むジャカと、それなりに練られた物語と言えます。
特に目を引くのが、言語の分け方が上手いんですな。
英語、ダガログ語、中国語が入り混じる展開には工夫を感じますし、何でも無理やり英語圏な演出にする昨今では斬新にすら感じます。
各俳優も英語ベースではありながらも母国語を話す上で自然な演技となり、ある意味で純粋な演技力が光ります。
強いて言えば、割と豪快な展開には賛否が分かれるところか。
無茶苦茶な作戦で東南アジアを蹂躙する傭兵部隊にしても、自ら撃たれに行っているとしか思えないアジア警察にしても、演出的に無理があるところがチラホラと目につきます。
明らかに武装し、どう見ても浮いた存在感を放つ大柄な白人が市場を走り回る姿などは顕著なもので、シリアスというよりかは滑稽に見えてしまうのが勿体無いですな。
あとは中国資本が入っているからか「人道的に世の悪と戦う中国人」の描写がやや露骨というか、現実の中国と剥離した雰囲気が気になるところでしょうか。
アクション性は文句無し。
国の枠を超えた異種格闘戦は胸が躍りますし、各々が活躍しているアクションスターの共闘には思わずニヤリとさせられます。
比較すれば規模は小さめですが「エクスペンダブルズ」に通づるコクがありますよね。
ただし、流血や人体破壊の描写がやや強めなので、何気なく見てると少々ビックリするかもしれません。
あとは余談ですが、敵の傭兵役で登場するジージャー・ヤーニンがもう、超可愛い。
どっかで見たことあると思ってたら「チョコレート・ファイター」の方だったんですね、あまりにも役柄が違うので気づきませんでしたよ。
タイ出身ながらもテコンドーの達人だそうで、健康的で可愛らしいビジュアルも素敵ですし、今後も頑張って欲しいものです。
まとめ
色々と粗はあれど、素直にアクションを堪能するのが正しい姿勢でしょう。
ドウェイン・ジョンソンやジェイソン・ステイサムが活躍する影で影が薄くなっているアジア勢ですが、今後の躍進にも大いに期待したいところで、こういった作品が増えることを切に願うばかりですな。
特筆すべきものはないですが、普通に面白い佳作だと思います。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。