ファーゴ


(原題:Fargo)
1996年/アメリカ
上映時間:98分
監督:ジョエル・コーエン
キャスト:フランシス・マクドーマンド/ウィリアム・H・メイシー/スティーヴ・ブシェミ/ピーター・ストーメア/ジョン・キャロル・リンチ/他

 




 

妊婦の警察署長を主人公に、狂言誘拐と殺人事件の解決を描くサスペンス。

アカデミー賞4部門を受賞した「ノーカントリー」をはじめ、数々の映画に携わるコーエン兄弟が監督・制作・脚本を務めます。

 

珍しく大ヒットを記録した本作は「ノーカントリー」と並び、コーエン兄弟の代表作とされているようです。

ちなみに2014年からはリブート作品としてTVシリーズも放送されているみたいですね。

ちなみにちなみに、冒頭で実際に起こった事件かのような文章が映されますが、思いっきりフィクションだそうです。

 

 

 

さっくりあらすじ

ミネソタ州ミネアポリス、自動車販売店で営業を担当するジェリーは多額の借金に頭を悩ませ、狂言誘拐の計画を思いつく。

自身の妻であるジーンを誘拐させ、実業家である義父から8万ドルを奪うため、ジェリーはノースダコタ州ファーゴでカールとゲアと名乗るチンピラ2人を雇うのだった。

自分の借金や不正がバレるタイムリミットが近づく中で、カールとゲアはジェリーの家に押し入り、手こずりながらもジーンを誘拐する。

ジェリーが用意した車に監禁し、2人がアジトへ向かおうとする途中、警官に車を止められ職務質問を受けるのだが、、、

 

 

 

 

借金に悩むジェリー
狂言誘拐を企む

 

練った計画を実行するため
2人のチンピラを雇う

 

しかし誘拐は殺人事件となり
警察の捜査が入ることに、、

 

 

 

 

 

強い女性の理想像

些細な原因から始まったケチな事件が殺人事件にまで発展し、取り返しのつかない事態に陥ってしまう。

そんな壊れていく人間性を描くサスペンス性もさることながら、事件の解決を目指す女性警察署長のマージ・ガンダーソンという人物の魅力がとにかく目を引きます。

 

妊婦でありながら、日も昇らぬ早朝に呼び出されても真面目に事件に向き合い、その卓越した知識と経験を活かし捜査に当たる姿勢。

明るく元気で人当たりの良い性格もあり、とにかく可愛らしく、また良く働く素晴らしい人物ですな。

ある意味で、女性が社会で活躍する理想像のようにも思えます。

 

演じるフランシス・マクドーマンドはアカデミー賞・エミー賞(TVドラマのアカデミー賞)・そしてトニー賞(演劇のアカデミー賞)を全て獲得した超一流の女優。

美人かどうかは何とも言えませんが、表情豊かに振る舞う仕草のひとつひとつが全て可愛らしく、知的で勇敢な魅力に溢れています。

女性としても社会人としても、人に好かれる見本のようなキャラクターです。

 

 

物語としては、借金で首が回らないディーラーが義父から金をせしめるため、わざと妻を誘拐させるという流れ。

素人の思い付きで始まる一連の事件は当然上手くいくわけもなく、雇った2人のチンピラが事件をよりヤバい方向へと持っていってしまいます。

借金を背負い狂言誘拐を実行したディーラーやチンピラが一番悪いのは言うまでもないですが、、ケチで強欲な義父も決して善人とは言えないあたりがキモですな。

 

結果的に誘拐された妻と、その息子だけが取り返しのつかない被害者になってしまう結末もリアルで後味が悪いもの。

本作で一気に知名度を上げたコーエン兄弟ですが、人の内なる狂気や、それに伴う人間の愚かさなどをコミカルに描く手腕はすでに健在だったようです。

 

あくまで郊外の小さな事件を扱った物語なので地味なお話ですし、天才的な犯罪者や武闘派な警官が出てくるわけでもなく、アクション性は皆無と言って良いでしょう。

それでもなお興味深く感じるドラマ性は味わい深く、些細な日常の一コマに隠れているようなちょっとした笑いもまた面白いものです。

 

 

改めて観返してみると、少ない登場人物ながらも結構なキャスティングなんですよね。

ウィリアム・H・メイシーは舞台監督や脚本家としても活躍する名俳優。

エミー賞(主演男優賞&脚本賞)にも輝いたことのある、素晴らしいキャリアの持ち主です。

 

スティーヴ・ブシェミはそのクセのある顔立ちを武器に、あらゆる映画に出演する名脇役。

ちなみに売れる前は消防士として働いており、かのアメリカ同時多発テロの際も現役の消防士に混ざって救助活動をしていたそうな。

ですな。

 

ピーター・ストーメアはスウェーデンの舞台役者からハリウッドに転身した実力派俳優。

スウェーデンではシェイクスピア俳優として有名なんだそうで、悪人顔の印象が強いですが実は知的で紳士なお方。

ちなみに日本語が喋れます(奥様が日本人)

 

そしてジョン・キャロル・リンチも独特な存在感を誇る名脇役。

こちらも舞台役者出身の本格派であり、やはり数々の映画に出演しております。

「ウォーキング・デッド」では棒使い・モーガンの師匠として、なかなかインパクトのあるキャラを演じておりました。

 

総じて非常に味のある役者が揃っており、脚本を活かすキャスティングであり、キャストを活かす脚本であり、極めてよく完成された映画だと言えるでしょう。

 

 




 

 

まとめ

練られた脚本、先の読めない演出、そしてキャストの演技力。

どれを取っても隙の無い、素晴らしい完成度を誇る傑作です。

いわゆる大作映画ではないので、地味なサスペンスではありますが、小粒な作品でここまで内容のある映画はそう多くはありません。

 

一度は観ておくべき映画の一つだと思いますよ。

オススメです。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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