ファイティング・ファミリー


(原題:Fighting with My Family)
2019年/アメリカ・イギリス
上映時間:108分
監督:スティーヴン・マーチャント
キャスト:フローレンス・ピュー/ジャック・ロウデン/ニック・フロスト/レナ・ヘディ/ヴィンス・ヴォーン/他

 




 

 

プロレス団体を営む一家に生まれた少女が、アメリカのプロレス団体・WWEで成功する軌跡を描いた伝記的ドラマ。

モデルとなったペイジ(サラヤ・ジェイド・ベヴィス)は実際にWWEで活躍する女性レスラーであり、現在は現役を引退しGMとして活動しているそうな。

 

実際に彼女らの姿を追ったドキュメンタリーに感銘を受けたドウェイン・ジョンソンが製作に参加し、本人もザ・ロック役として出演しております。

イギリスの片田舎から世界最大のエンターテイメントの世界へ、栄光がもたらす光と、挫折が生む闇をストレートに描いた本作は非常に興味深いものでした。

 

 

 

さっくりあらすじ

プロレス団体を営むナイト家に生まれたサラヤも成長するにつれレスラーとなり、一家の興行に参加している。

しかし団体の資金繰りは常にギリギリの状態であり、金策に困った両親は団体の名前を売るためにサラヤとサラヤの兄・ザックにWWEのトライアウトを受けさせることにした。

トライアウトの結果、ザックは落ちたもののサラヤは合格し”ペイジ”というリングネームで単身アメリカへと渡ることになるのだが、、、

 

 

 

 

仲良し兄妹のザックとサラヤ
夢と家族の為にWWEを目指す

 

しかし現実は厳しく
一握りの者だけが栄光を掴む

 

こちらはご本人
超可愛い

 

 

 

 

感動のサクセスストーリー

そもそもはドウェイン・ジョンソン大好きな嫁が観たいからと、半ばお付き合いな感じで観てみたわけですが、コレが非常に感動ものなドラマだったわけですよ。

ドウェインが出てくるシーン自体は極めて少なく(というかカメオ出演ぽい)思ってたイメージとはかけ離れた映画にも関わらず面白くて感動したんですからね、本作がいかに魅力に溢れた映画を如実に表わしていると思います。

女子プロレスラーを主人公に据えたスポ魂ものって珍しいですしね、そんな物語を彩る友情や家族愛はストレートに涙を誘うものです。

 

物語としてはWWEの壁に挫けそうになるサラヤ、WWEの夢を諦めきれないザック、そして現実にWWEを通して自分の団体を有名にしたい両親の姿が描かれます。

主人公が夢に挑み、挫折し、周りの支えによって奮起し、やがて栄光を掴む。

その陰で夢に破れ、挫折を乗り越えられず、自らの周りにある大事なものを思い出し、己の道の意味を知る。

片や成功までの道のりを、片や挫折からの復活を、相反する2つの道を描く脚本は極めてベタなものであります。

 

そんなベタベタな作品を彩るのが、WWEを通じて描かれるヒューマン・ドラマ。

ただ1人だけ選ばれ、思いがけず単身アメリカへと渡ったサラヤですが、家族や自分自身の夢とホームシックの狭間で揺れ動く年相応の女の子なわけですよ。

周りにいるのは大人ばかりで、キツい練習や女子同士の軋轢に疲れながらも、それを分かち合える人が傍にいない環境はやはりつらいものです。

 

しかし、その周りにいる人々も各々がスターダムを昇るために必死なわけで、彼女と同等の苦しみに耐え続けているという事実が物語に深みをもたらします。

肉体的にも精神的にも未熟で脆弱だと判断され、一時は解雇扱いになってしまうサラヤですが、選手をケア&マネージメントするマネージャーの言葉にも重みがあり、経験から得たその言葉にもドラマが見え隠れするわけで。

派手なショーパフォーマンスの影で、誰の記憶にも残らず消えていく儚さや寂しさ、それでもWWEに関わって生きようとする熱意こそが世界最大のプロレス団体としての感動を呼び起こすわけですな。

 

さらに、復帰して少しだけ大人になったサラヤと、彼女と犬猿の仲だった女子グループが少しずつ打ち解けていく様は実に微笑ましいもの。

友達として、ライバルとして、そしてチームメイトとして、徐々にマブになっていく過程が本当に感動的で素晴らしい。

この女子特有の絆というか、「タイマン張ったら親友」的な流れはいつ見ても良いものですよ。

 

 

サラヤを演じるフローレンス・ピューは中々の演技力。

数こそ少ないものの、出演した映画ではかなりの評価を受けており、若手の実力派女優として最近注目を集めてますね。

MCUの続編「ブラック・ウィドウ」にも出演しているそうで、今後ますます期待できる女優の1人だと思います。

 

そんな彼女の家族を演じる俳優陣も実に個性的で味があり、特にニック・フロストは途中まで本物のプロレスラーだと思い込んでましたよ。

この馴染みっぷりは流石ですな。

 

で、本作で最も輝きを見せるのが、鬼教官を演じるヴィンス・ヴォーン。

虫唾が走るほどのクズから感動を誘うドラマまで、何を演じさせても納得の演技力を発揮するヴォーン氏ですが、本作でもその実力を遺憾なく発揮しております。

何故に彼が厳しいのか、何故にWWEのマネージャーを務めるのか、そして何故にサラヤだけを選んだのか。

少しずつ紐解かれていく彼の真意は本当に感動の一言です。

 

 




 

 

まとめ

興味の無い人には全く分からないであろうプロレスの世界、ましてWWEという海外のプロレス団体。

ショーパフォーマンスなので全てが幻想であり、いわゆる「やらせ」ではありますが、その幻想を作るためにどれだけの人々が関り、また努力を重ねているのかがよく分かります。

人々に笑いや感動を届けるという意味では映画や舞台と同じエンターテイメントであり、観る人を魅了するだけの内容があるわけです。

 

そんなWWEの世界に触れる良い機会になり得る良作だと思います。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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