おじいちゃんはデブゴン


(原題:我的特工爺爺)
2015年/中国・香港
上映時間:99分
監督:サモ・ハン・キンポー
キャスト:サモ・ハン・キンポー/アンディ・ラウ/ジャクリーン・チェン/ビル・コン/チャイ・プイワー/アイビー・ホー/他

 




 

香港映画を牽引してきた、大御所サモ・ハン・キンポー監督&主演のアクション・ドラマ。

20年ぶりとなるサモ・ハン主演ということで、製作にはアンディ・ラウも参加し、ユン・ピョウもカメオ出演するなど、マニアにはたまらん豪華なキャスティングとなっております。

 

かつてのコミカルな立ち位置から一転し、深い(というか重い)ドラマ性を軸に、なかなかに魅せる内容になっております。

アクション自体は全盛期と比べ、さすがに見劣りは否めないところですが、それを補って余りある感動がある映画だと思います。

結構好きな映画です。

 

 

さっくりあらすじ

軍を退役し、初期の認知症を患うディンはロシア国境に近い故郷の村で、一人暮らしをしている。

かつては孫娘のいたディンだったが、一緒に郊外へと出かけたある日に孫娘を見失ってしまい、その後に行方不明となってしまったことで娘との関係も破綻したままだった。

 

隣家に住む少女・チュンファはディンの家に入り浸り、またディンが唯一心を許せる相手にもなっている。

しかしチュンファの父・レイは定職に就かず、酒とギャンブルに明け暮れチャイニーズ・マフィア相手に多額の借金をしており、そのせいでロシアン・マフィアから宝石を盗んでくるように強要されていた。

トラブルに見舞われつつも何とか宝石を盗み出したレイだったが、そのままバッグを持ち出し逃走してしまう。

マフィアのボス・チョイはレイの所在を掴むため、チュンファの元へと手下を送るのだが、、

 

 

 

 

チュンファとディン
友達のような、家族のような

 

御年66歳!
サモハンのアクションを堪能せよ

 

ダメ親父のレイ
アンディ・ラウも良い味出してます

 

 

 

 

ハートフルなカンフー・アクション

のっけから笑い無しな真顔を披露し、サモハンっぽいコミカルな演出が無く、得体の知れない違和感を感じていましたが、まさか痴呆症のおじいちゃんを演じるとは。。

アクション部分もさることながら、物語の構成も良く出来ており、やや重めなスタートから暖かみ溢れるエンディングへと導くプロットは素直に素晴らしいものだと思います。

 

老いたとはいえデブゴン、つまりサモ・ハン・キンポーという達人のアクションを期待してしまうわけですが、その期待を上回るドラマ性や演技力に感動を覚えるのは凄いことだと思います。

だって、アクション映画の脚本で感動するようなことってほぼ無いですしね。

意見は人それぞれだとは思いますが、殺伐とした重苦しい物語を包み込むハートフルな演出は観るに十分に値すると言えます。

 

とはいえ、やはりデブゴン映画なので当然アクションにも注目したいところ。

さすがに年齢的な衰えからか、嘗てのような軽快なフットワークは見る影もありませんが、丸々と太った体を活かしたカンフーアクションは未だに健在です。

 

型としての動きは相変わらず素晴らしいものがありますし、元軍人という設定からか、覚悟を決めた上で戦う際には相手を完全に戦闘不能にするような破壊力は迫力がありますね。

特に相手の骨や関節を破壊する技が多く、X-Rayアクション(レントゲン的な)を多用した演出が多いのは個人的に結構好み。

ただ動けないサモハンをカバーするために、結構な手ブレが多かったのが難点かな。

 

 

 

あとは物語のきっかけを作る人物として、アンディ・ラウが良い仕事をしています。

深み、凄味のある演技もさることながら、こちらはまだまだ現役だと言わんばかりのアクション・スタントは十分に見応えがありますね。

お坊ちゃんからチンピラまで、何をやらせても説得力を生む演技力はさすがですな。

 

そして特筆すべきは、チュンファを演じるジャクリーン・チェン。

年相応に無邪気でワガママな少女ではありますが、自身の境遇(父:チンピラ、母:家出)を理解した上で隣人のディンに甘える姿。

これから先もディンに寄りかかって、またディンを支えて生きていこうと子供ながらに考えている姿。

 

もう絶妙に愛らしくてね、あのくらいの子の親世代としてはどうにも目尻が下がります。

エンディングにて、寝ているディンのまわりで無邪気にはしゃぐ姿は涙を誘いますし、それと同時に頬が緩むような暖かみのある名シーンだと思います。

 

 

あとは正直、映画としての完成度は少々低めかなとは思います。

よく分からんエピソードが多く、物語の本質からは外れないものの、無くても良かったような蛇足はもう少し削れたかなと。

色々と強引な部分も少なくないので、無理して水増ししなくても良かったんじゃないかなぁ。。

 




 

まとめ

作品としての粗が多く、お世辞にも完成された映画とは言えませんが、それを踏まえた上でも面白い良作だと思います。

 

アクション映画はあくまでオマケ的な要素として、どちらかと言えばドラマ部分を噛みしめてほしいかな。

サモハンのファンはもちろん、それ以外の方でもそれなりに楽しめるのではないでしょうか?

 

一度は観て損の無い作品です。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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