花宵道中


2014年/日本
上映時間:102分
監督:豊島圭介
キャスト:安達祐実/淵上泰史/小篠恵奈/三津谷葉子/多岐川華子/立花彩野/友近/高岡早紀/津田寛治/他

 




 

 

安達祐実が、あの安達祐実フルヌードでの演技に挑戦したということでにわかに話題を呼んだ古典的ラブストーリー。

元ネタは小説家・宮木あや子による同名小説であり、2009年には漫画化もされたんだそうな。

縁あって東京国際映画祭に招かれた際、主演の安達祐実さんをはじめ、出演した俳優さんたちのお顔を見る機会を頂けた思い出深い作品です。

あ、ちなみにR15です。

 

ほぼ同世代、まだSPEEDも安室奈美恵もいなかった当時は間違いなくアイドル的子役として君臨していた安達祐実さんですが、良くも悪くもビジュアル的には変わることなく、可愛く美人で本当に素敵なお方でした。

そんな安達祐実が演じた花魁の姿は極めて美しく、あまり邦画を観ない筆者も期待して映画が始まったわけですが、、、

 

 

 

さっくりあらすじ

江戸時代末期、吉原で遊女として働かされている朝霧はもうじき年季明け(引退)を迎え、常連客に面倒を見てもらうことになっている。

ある日、妹分の八津にせがまれ出店へと向かうも、雑多な人ごみの中でお気に入りの草履が脱げてしまい、必死に探すものの見つからない。

そんな中、精悍な顔立ちの男・半次郎に助けられ、半次郎は草履は自分が作ったものだと伝え、人ごみの中から草履を見つけ出してきてくれた。

しかし草履は壊れてしまっており、落ち込む朝霧を見て半次郎は明日直してきてやると約束をし、翌日には草履を修理した半次郎と再び会うことになる。

お礼を言いそのまま別れたものの、朝霧は半次郎に会いたくなり、再び出会った場所へと向かうのだが、、、

 

 

 

遊女として働く女性たち
文字通りの”籠の鳥”

 

偶然出会った朝霧と半次郎
徐々に距離を近づけていく

 

しかし半次郎の商売相手・吉田屋に感づかれ、、

 

 

 

 

もうちょい掘り下げても、、

102分という決して短くはない作品ですが、全体的にテンポが早急であり内容的には悪くはないものの、どこか雑な印象が残ります。

脚本自体はしっかりしていますし、日本映画特有の間延びしたカットの多用と、話題のベッドシーンをもう少し削れれば残りの部分に尺を使えたんじゃないかなぁと思ってしまいますね。

 

公開当時は話題になりましたが、安達祐実の脱ぎっぷりは潔くて「凄い」の一言。

かなり大人向けなアダルトシーンで、R15でもどうかと思うくらいの迫真(というか生々しい)の演技なので、これは讃えてあげないといけないところでしょう。

特に津田寛治演じる吉田屋が朝霧を手籠めにするシーンなんかは物語上でも重要なところであり、安達祐実も津田寛治も迫真の演技でそれに応えたのかなと。

 

問題なのはそれが長いこと

イチャイチャ→脱衣→愛撫→本番(暗転)までの流れって長くても20~30秒くらいかなと思っていましたが、本作のベッドシーンは異常に長いっす。

ただでさえ過激な演出なのに、それが長丁場になってしまうと観てる側としてもリアクションに困りますな。

映画として、物語を追っているんであって「そこはサクッと終わらせてよ!」という気持ちでいっぱいになります。

安達祐実の覚悟に応えたと言えば聞こえは良いですが、せっかくの切ない恋物語もここまで来るとちょいとしつこいというか、映画としての完成度を下げる一番の原因になってしまったのが残念なところ。

 

 

物語としては吉原で働く遊女が引退を迎え、その後の人生に自由を求めながらも空虚な気持ちに苛まれ、そこに現れた草履職人と恋に落ちるというもの。

調べれば調べるほどに胸が苦しくなるような遊女の生活ですが、至ってスタンダードな脚本でありながらも切なさや儚さを感じさせる雰囲気のある作品になっております。

 

吉原という狭い世界で生きていくことを余儀なくされ、そこで長く働いた”朝霧”という遊女。

明らかにつらく苦しい仕事ながらもプライドを持ち、後輩の面倒を見て、目的の無い今後の生活に思いを馳せる女性として安達祐実の演技力が光ります。

というか、もう本当に可愛いんすよね。

凛とした意志の強い眼差し、しかしどこか弱さを感じさせる表情、そして嬉しい時に溢れ出す笑顔。。

もし自分が当時の豪族に生まれたら迷わず求婚したくなるくらいに魅力が溢れています。

これがハマり役だとまでは思いませんが、芸歴30年のキャリアを十分に感じさせる素晴らしい存在感ですな。

 

もう一つ特筆すべきは商人・吉田屋を演じる津田寛治。

いやぁ、、卑猥でずる賢い役が似合うと言いますか、藤原竜也とはまた違うベクトルで悪人が似合う俳優ですな。

安達祐実のヌードばかりが取り沙汰されますが、津田寛治の変態プレイもなかなかに見応えがありますよ。

演技とはいえあそこまで振舞うのはなかなかできることではないでしょう。

 

 

ついでに終盤で披露される道中(引退の儀式)での衣装は本当に素晴らしいです。

何気に着物にはうるさい(着物・着付けの免許保持)筆者ですが、あの艶やかさ、華々しさ、着物はもちろん日本髪まで非常に完成度の高い、極めて美しいものだと言っておきます。

一見の価値ありです。

 

 




 

 

まとめ

面白いかどうかで判断すると微妙なところですが、観て損は無い作品だとは断言できます。

無駄を削ぎ落した脚本には好感が持てますし、様式美を感じさせる雰囲気ある映像は十分に観るに値するものだと思います。

ただ、切ないラブストーリーと見るか、エロ満載の恋物語と見るかで作品の価値が大きくブレるのは間違いないでしょう。

それだけに評価が難しいところですが、コミック原作の下らない作品よりかは遥かに価値のある作品です。

 

かつて本当に存在した文化を学ぶ意味でも観て欲しい作品です。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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