俺たちホームズ&ワトソン


(原題:Holmes & Watson)
2018年/アメリカ
上映時間:90分
監督:イータン・コーエン
キャスト:ウィル・フェレル/ジョン・C・ライリー/レベッカ・ホール/ロブ・ブライドン/ケリー・マクドナルド/他

 




 

名探偵シャーロック・ホームズをモチーフにしたコメディ・サスペンス。

2018年公開ですが、日本ではビデオスルーとなっております。

 

しかしね、久しぶりにひどい映画を観た気がします。

心底くだらないゲスい映画であり、実際にラジー賞(その年の最低映画賞)の4部門で受賞し、評論家からは「これ以上酷いシャーロック・ホームズは無い(意訳)」とキッパリ言われる始末。

まぁ、この「俺たち」シリーズは総じて酷い映画だと思いますが、本作は頭一つ飛び抜けているのかもしれません。

 

 

 

さっくりあらすじ

法廷に出廷した殺人犯が偽物であると暴き、今日も名探偵の名前をほしいままにしているシャーロック・ホームズ。

ある日、自身の誕生日会のためにバッキンガム宮殿に招かれたホームズだったが、用意されたケーキの中から遺体が発見される。

遺体と共に見つかったメモには、モリアーティ教授からの女王殺害予告が記されており、早速ホームズとワトソンは捜査を開始するのだが、、、

 

 

 

 

本当に超くだらない

 

本当に超くだry

 

ほんとry

 

 

 

 

斬新ではある

「俺たち」シリーズ全般に言えることではありますが、基本的に下品で下劣、テンション高めでくだらないと、一貫したコンセプトは本作でも健在です。

つまり、かなりアクが強い作品であり、ホームズ好きな人なら卒倒しかねない下世話な完成度となっているということです。

好きな人は好き、嫌いな人は反吐が出る程に嫌うであろう作風ですし、大目に見ても8:2くらいで嫌いな人が多いであろうことは容易に想像できます。

頭脳明晰ながらも傲慢でナルシストな名探偵ホームズ、対して全体的にバカっぽい相棒ワトソンと、既存のホームズ感をここまでブチ壊せるのは逆に凄いとも思いますが。

 

物語としては、アメリカへ逃亡したはずのモリアーティ教授がイギリスで殺人予告をするという流れ。

とりあえず場当たり的で強引な解決に終息するので、サスペンス性は期待しない方が良いでしょう。

そもそもサスペンス好きな人が選ぶ映画ではないですけどね。

 

そんなホームズ&ワトソンの捜査の合間にこれでもかと詰め込まれるギャグの数々と、ほんの少しだけエッセンス的に加わるロマンスが中心となります。

さりげないオマージュの数々は分かる人には分かる、ニヤリ系のユーモアが好印象ではあります。

しかし、ブラックユーモアは何ともリアクションの取りづらい面白さがあるんですが、これは倫理的に、もしくは政治的にアウト判定なものが多いのも特徴的か。

 

時代が時代だけに、悪ノリで描かれる男尊女卑な演出や、国際問題の火種になりそうな英国王室ギャグなど、人によってはマジギレしかねない危険性に溢れています。

不謹慎なジョークは面白いんだけどね、それにしてもタチが悪いというか、素直に笑えないというか。

何か「大笑いしてはいけない!」と心に引っ掛かる感じがするんですよね。

 

 

そんなしょーもない作品ではありますが、主演2人の俳優は堂々たる素晴らしい演技。

ホームズを演じるウィル・フェレルは「俺たち」シリーズが有名ですが、何気にトニー賞やゴールデン・グローブ賞にもノミネートされてたりと、演技力にも定評があります。

基本的にはコメディ色の強めな芸風ではありますが、それも表現者としての地力があるからに他なりません。

実際に観てみれば分かりますが、無茶苦茶な演出とは裏腹に「本当にホームズ感」が漂う演技は流石の一言です。

うるさくてバカっぽいけど茶目っ気のある天才と、いるようで中々いないキャラクターとしての愛らしさは認めてあげても良いのではないでしょうか。

 

その相棒となるワトソンを演じるジョン・C・ライリーも堂々たる体当たりな演技が素敵。

数々の映画で脇役ながらも独自の存在感を発揮するライリー氏ですが、本作で演じるワトソンはバカっぽいというか、バカそのもの。

落ち着きが無く単純で、原作が持つ知的な雰囲気は皆無ですし、完全なるコメディ・リリーフですな。

役柄が広いというか、器用というか、何でも演じ分けるスキルは素直に素晴らしいと思います。

 




 

 

まとめ

古典的サスペンスの名作をここまで汚せたのは感嘆の一言ですが、やはりオススメできるような映画ではないですかね。

バカ映画のひとつとして個人的には楽しめましたが、どう見ても万人受けするような作品ではないですし、嫌いな人の方が多いだろうと思います。

とはいえ、ウィル・フェレルとジョン・C・ライリーという稀有な才能が並ぶコメディとして、観て損はないだろうとも思いますが。

断言できるのは、付き合いたてのカップルが観ると変な空気になります、絶対。

 

結論として、バカ映画好き以外の人は見る必要の無い映画です。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 



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