(原題:John Wick)
2014年/アメリカ
上映時間:101分
監督:チャド・スタエルスキ
キャスト:キアヌ・リーブス/ミカエル・ニクヴィスト/アルフィー・アレン/エイドリアンヌ・パリッキ/ブリジット・モイナハン/ディーン・ウィンタース/ウィレム・デフォー/他
「マトリックス」をはじめ、数々の映画でスタントを手掛けたチャド・スタエルスキの初監督作品にして、奇しくもキアヌ・リーブスが主役を務めたバイオレンス・アクション映画。
ちなみにR15指定です。
殺陣・マーシャルアーツ・カンフー・マカロニウェスタンなどなど、あらゆるスタントを取り入れた”ガンフー”と呼ばれるアクション演出が特徴的で、量産型アクション映画の中では興行的に大成功を収めた作品と言えます。
シュールでユニークな世界観の構築や、斬新なアクションなど、割と面白い良作だったかなと思います。
さっくりあらすじ
かつて闇社会で伝説的な暗殺者だったジョン・ウィックは最愛の女性・ヘレンと出会い殺し屋家業を引退するも、ヘレンは病気でこの世を去り、生きる希望を見失ってしまった。
しかしヘレンは生前に犬のプレゼントを手配しており、深い悲しみの中にいたジョンはヘレンが残してくれた犬に愛情を見出し始める。
そんな新たな生活が始まった矢先、ジョンの愛車・マスタングを狙った強盗団に襲われ、マスタングを奪われた挙句に犬まで殺されてしまう。
何よりも大切な犬を失ったジョンは怒りを胸に、復讐を決意するのだが、、、
元殺し屋のジョン・ウィック
妻が遺した犬に生きる希望を見出すが、、
ロシアンマフィアのボス・ヴィゴ
違う世界では新聞記者だったり
ジョンの盟友・マーカス
違う世界ではグリーン・ゴブリンだったり
久しぶりのキアヌ・リーブス無双
「スピード」や「マトリックス」や「コンスタンティン」など、多くのアクション映画で独特の存在感を放っていたキアヌ・リーブスも気づけば53歳(2018年現在)
相変わらずの端正な顔立ちに長身・細マッチョな肉体ではありますが、さすがに寄る年波を感じさせる今日この頃ではありました。
が、本作でのキレッキレなアクションを見ているとそんな杞憂も何のその、まだまだ現役でパワフルな姿は何とも嬉しい限りですね。
そんなキアヌ様が大事な犬を殺され、冷静と情熱の間でロシアンマフィアをぬっ殺していくのが大筋なわけですが、全面的に演出される”ガンフー”が非常に印象的です。
ほどよくスタイリッシュ、ほどよくリアルなアクションの数々はありそうで無かったニッチなスタントであり、個人的な感想としてはカンフー+総合格闘技+ガンアクション的な感じが一番しっくりきます。
映像事態も引き気味で長回し、昨今のB級アクションに溢れる細かなカット割りや手ブレに頼ることなく、スピード感と迫力を両立させてあるあたりはやはりチャド監督の手腕でしょうか。
必ず標的に対し2発以上被弾させる銃捌きといい、ご都合主義な主人公無双とはまた一味違う演出には迫力と説得力がありますね。
強いて言えば拳銃って鈍器にもなるし、無理に関節技を入れなくても良かったような気もしますが、アクション畑出身の監督としてあれこれ詰めたくなる気持ちも分からんでもないです。
アクション以外の面としても”犬を殺されたからマフィアを壊滅させる”という無茶苦茶な脚本を、無理なく推し進める映像表現は素晴らしいものがあります。
犬好きとしては自らも「あんのバカ息子をぬっ殺してやる!」とは思うものの、マフィアを潰そうなんて発想が出るわけもなく、作品の世界観としてシュールを飛び越えて滑稽にすらなり得るギリギリのラインだと思います。
しかし、その強引な理屈を納得させるだけの演技構成やキアヌ様の演技力は極めて秀逸だと言えますし、何より映画作品として綺麗にまとまっているあたりに演出の妙を感じますね。
あとはロシアンマフィアのボスを演じるミカエル・ニクヴィストも素敵。
作中ではロシア人設定ですが実際はスウェーデン人、演技派としてスウェーデンでは非常に有名な俳優です。
残念ながら2017年に亡くなってしまいましたが、善人も悪人も極めて自然に演じ分けることのできる稀有な俳優でした。
謹んでお祈りを申し上げます。合掌。
もう一人、忘れちゃいけないのがスナイパー暗殺者・マーカスを演じるウィレム・デフォー。
良作にこの人の影あり、と言わんばかりの名脇役っぷりは今作でも健在で、そのカッコよさと漢っぷりは今作随一ではないでしょうか?
主演のキアヌ・リーブスを支えるこの2人の役割は非常に大きなものですし、こういった大ベテランが起用されるバランス感覚は非常に素晴らしいものです。
まとめ
非常に爽快でスタイリッシュな復讐劇という矛盾した面白さがあります。
単純にキアヌ好きでもいいですし、既存のアクションに飽きた方にもオススメできます。
ただ序盤で犬が可哀そうなことになるので、度を越えた犬好きはテンション激下がりになりますのでご注意を。
アクションとしては久々の良作ですね。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。