ジョジョの奇妙な冒険/ダイヤモンドは砕けない・第一章


2017年/日本
上映時間:118分
監督:三池崇史
キャスト:山崎賢人/神木隆之介/岡田将生/新田真剣佑/山田孝之/小松菜奈/国村隼/観月ありさ/伊勢谷友介/他

 




 

 

言わずと知れたアクの強い名作コミックの実写化であり、恐らく今年一番話題を呼んだであろう作品。

やはりジョジョ好きには届かなかったのか、いまいち興行成績は伸び悩んでいるようですが、恐らくは様子見しながら観に行くかどうかを悩んでいる人が大勢いるのだと解釈しております。

キャストが公開され、イメージ画像が公開されるに連れて8:2くらいで否定的な意見が相次いだ本作ですが、いざ公開されてみると6:4の否定的な意見にまで盛り返しているように感じますね。

筆者としては、そもそもコミックの実写化に否定的なスタンスですし、ましてそれが「ジョジョ」になると実際に残念な気分になりましたが、やはりいちジョジョファンとしては避けては通れない作品ですよね。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

豊かな自然に囲まれ”住んでみたい町ランキング”上位に認定された杜王町。

この町に越してきた高校生・広瀬康一は近隣の不良に絡まれたところを、目立つリーゼント頭が特徴の高校生・東方仗助に助けられる。

そんなある日、仗助はコンビニの強盗事件に遭遇する。

表面的には平和な杜王町では変死事件が相次ぎ、自身も「スタンド」と呼ばれる特殊能力の持ち主である仗助は一連の事件が「スタンド」によるものだと気付くのだが、、、

 

 

 

スタンド描写は思いのほか良い

 

個人的には億泰が好き

 

でも演技はまぁ、、ね。

 

 

 

 

”コレじゃない感”は大丈夫だよ

まず初めに、筆者は1部~6部まではコミック揃えてますし、特に3部~5部はモロにジャンプ世代ということもあって、本当に穴が開くほどに読み込んだファンの一人です。

それを踏まえた上で言いますが、コスプレの域を出ていないビジュアルや、イタリアのロケ地を日本風にした違和感は拭えませんが、それを差し引いても結構面白かったっすよ。

「悪くはない」ではなく「結構面白かった」ので、そこだけはハッキリと言っておきます。

 

そりゃツッコミどころなんて多岐に渡って挙げられますが、決して嫌悪感を抱くような不満点は無く、いち作品の感想としては及第点なものだなとは思いますよ。

とはいえ、前評判があまりにも悪すぎた故に、多少甘めに見てるところも否定はしませんが。

 

 

色々と惜しいなという部分も少なからずありまして、全体的にアクの強いキャラクターを演じるのはやはり難しそうですね。

見た目からして違和感を感じるのも仕方ないところではありますが、どの俳優も原作キャラクターの魅力を十分に発揮しているとは言い難く、「映画」を観ているというよりかは「規模の大きな学芸会」を観ている感覚に近いかも。

ただこれは俳優が悪いというよりは、大前提としてジョジョのキャラクターを演じること自体に無理があるのだと解釈しています。

 

本作に於いては観る人の数だけ好きなキャラ、拘りのキャラがいるはずなので多くは語りませんが、個人的には空条承太郎が一番無理があったかなぁ。。帽子が変だし。。

これは伊勢谷友介が悪いのではなく、ファッションも含め「空条承太郎」というキャラクターの魅力を放てる人は恐らくいないのだと思います。

やはり承太郎様は特別ですな。

逆に新田真剣佑が演じる虹村億泰はなかなか良かったように思います、一番原作に近いのではないでしょうか。

というか、これだけ大っぴらにコスプレ大会をすると、嫌でも役者としての地力の差が目立つのが俳優にとってはつらいところですね。

 

 

キャラクター造形はさておき、脚本と演出には少しだけ疑問が残ります。

続編を見据え、恐らくは3部作くらいになるのではと予想しますが、それに当たっては削るべくシナリオは削る作業が大切になります。

それを鑑みると、部分的に削るべくところを残し、割と大胆にファンが期待するシーンを削るような節がありますね。

 

現実的に考えて映像で表現しづらいものが多く、ある程度は仕方ないようにも思いますが、だったら峰岸由花子は削って良いんじゃないか?と。

本作に於いては物語上で必要不可欠な存在ではないですし、小松菜奈の紅一点に意味があるのかもしれませんが、彼女目当てにジョジョを観る人はいますかね?

 

全体を通して説明的な台詞も非常に多く、ジョジョファンに向けた作品としては蛇足とも言えるテンポの悪さも気になります。

そういった意味でコアなファンに向けたのか、それとも原作未読の層を狙ったのか、マーケティング的にターゲットをどこに絞ったのかが極めて曖昧であり、その曖昧さが映画としての完成度に深く関わってしまっているように感じました。

 

 

でもね、目玉となるスタンドですが、これはなかなか熱いですよ。

序盤のクレイジー・ダイヤモンドvsスター・プラチナなんかは思わず「おぉ!!」となるくらいのテンションになります。

ほんの一瞬ですが、実写で見る「スタンド」とはこういうものかと感心しますね。

 

アクア・ネックレスやバッド・カンパニーなど、良くも悪くも原作に忠実であり、ファンなら誰でもニヤリとするくらいのクオリティではあります。

特に個人的にはザ・ハンド戦が一番面白かったような、、やっぱり人型vs人型は盛り上がりますな。

強いて言えばもう少しダメージの描写をしっかりと描いてほしかったような。。

 

 

ただね、やはり昨今のハリウッド映画なんかと比べれば雲泥の差であり、あくまで「邦画としては良く出来ている」程度の評価であり、これは誉め言葉にはならないでしょう。

逆に言えばCG技術がもう少しレベルアップし、スタンドバトルの描写がパワーアップできるのであれば、それだけで十分に観るに値するコンテンツになり得るでしょう。

続編ではどういったスタンドの表現を見せてくれるのか?この点だけはワクワクが止まりません。

 




 

 

まとめ

日本に相応しいロケ地が見当たらないからイタリアにした。

登場人物はリアル路線に拘らず、衣装を含め無理のあるビジュアルでも原作に近づけた。

振り返ってみれば納得できるような判断であり、違和感は感じるけれども無茶苦茶ではない、そんな感じです。

 

終始漂うチープさをマイナスに感じさせないというか、そのチープさも含めて世界観に取り入れたというか、独特の雰囲気は決して悪い出来ではありません。

難しいコミックを原作に選んだ苦難なんぞ評価に値するものではないですが、「ジョジョの奇妙な冒険」に対する熱意は感じますし、なおかつそれなりに面白く仕上がったんだからこれは凄いことだと思います。

原作未読者はそもそも観ないでしょうし、かといって原作ファンにオススメできるほどの作品ではないですが、観ずに否定されるには勿体ない完成度だとは言っておきます。

 

正直フルプライス(¥1,800)は高いなとは感じますが、レンタル料金であればネタ的にも観て損は無いでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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