(原題:The King’s Speech)
2010年/イギリス/オーストラリア
上映時間:118分
監督:トム・フーバー
キャスト:コリン・ファース/ジェフリー・ラッシュ/ヘレナ・ボナム・カーター/ガイ・ピアース/ティモシー・スポール/デレク・ジャコビ/ジェニファー・イーリー/マイケル・ガンボン/他
イギリス王室に実在した人物を描いた、伝記的ヒューマン・ドラマ。
いやね、みんながあまりにも良い、良いって言うもんだから。
他に観たいのもたくさんあったし、歴史ものって主観的な偏りが出やすいしさーって何やかや理由をつけてはスルーしてたんですけど、、
「キングスマン」を観て以来、コリン・ファースの出演作は片っ端から観るようになり、今さらですが本作もやっと観ることができました。
当時は超タイトなスケジュールに忙殺されていて、映画館まで足を運ぶ機会が全く無かったんですわ。
アカデミー賞をいくつかの部門で獲得したことは知ってましたし、興味はあったんですけどね。
あれから約5年、何故にあのとき映画館で観なかったんだろうと、激しい後悔と怠惰な自分の自己嫌悪に襲われているところです。
(っω・`。)
つまり、めちゃくちゃ良い映画だったんですよ。
つーかコリン・ファースをはじめ、ジェフリー・ラッシュとヘレナ・ボナム・カーター。
さらにティモシー・スポール(ハリポタのネズミ男ね)やマイケル・ガンボン(ダンブルドア先生ね)
脇を固める俳優にスキが無いキャスティングで、凡作になるわけないじゃない。
映画はサボったらダメなんです、初心を思い出しましたよ。。
さっくりあらすじ
1934年、大英帝国博覧会にて、、
ヨーク公アルバート王子は演説を行うも吃音症でうまく喋ることができず、その姿に国民は落胆し下を向いた。
妻のエリザベス妃はアルバートを説得し、言語療法士のローグのもとを訪れる。
しかしローグは王族であるアルバートをあだ名で呼び、診療所では対等な立場だと主張。
みるみる不機嫌になるアルバートだったが、ローグは全く意に介さなかった。
さっそく治療の一環として、ヘッドホンで大音量のクラシックを聞きながらシェイクスピアを朗読させることに。
アルバートはもともと治療の効果に懐疑的だった上、王族である自分に無作法で接するローグに腹を立て、治療の途中で帰ってしまう。
そんなアルバートに対し、ローグは手土産と言って1枚のレコードを渡す。
屋敷に戻り受け取ったレコードを再生すると、聞こえてきたのはすらすらとシェイクスピアを読む自分の声だった。
王族の責務を果たすため、吃音症を治すためにアルバートは再びローグの診療所を尋ねるのだが、、、
まずはアゴの筋肉をほぐします
発声の基本は腹筋
王族の発声練習
本物の演技派俳優が集結
いやぁーコリン・ファースもジェフリー・ラッシュも、期待通りに完璧な演技が素晴らしい!!
王族のプレッシャーに負けぬように肩肘を張りながらも内心は繊細で、プライドとプレッシャーの狭間で悩める王子・アルバート。
そして「王室育ちの王子様」というアイデンティティを剥ぎ取り、一人の人間として扱うという信念を貫き、その上で彼を支えようとする言語療法士・ローグ。
もうこの二人以上の適役はいなかったんじゃないかと思います。
そしてヘレナ・ボナム・カーターも、、、何ですかね、この人。
決して美人とは思わないですが、不可思議な魅力を感じる貴重な女優さんですよね。
個性的な顔や雰囲気にも関わらず、何色にも染まれる柔軟な演技力は秀逸。
劇中での、品性を感じる振る舞いや仕草はまるで本物の王妃のようです。
王を慰め、励まし、献身的に支えようとする姿は美しく、女性の内なる強さを感じる素晴らしい演技でした。
本人が望まないままに王子から王になり、国民の期待と吃音症の重圧に潰されそうになるアルバート王子。
しかし誠実で勤勉な人柄は国民の感動を呼び、画面を通してその苦悩や努力を観ている僕らの没入感は半端じゃありません。
劇中最後のスピーチなんか「頑張れ!頑張れ!噛むな!!噛むなよ!!」とドキドキハラハラ。
本当に手に汗を握る、圧倒的な緊張感が張り巡らされます。
静かなるスピーチで、これほどの迫力を生む演出は素晴らしいものですな。
まとめ
多くは語りません。
久しぶりに文句なしの名作に出会いました。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
ジョージ6世(アルバート王子ね)写真が現存しているのですが、かなりのイケメン。
ドイツ空軍の爆撃にも逃げることなく、市街の宮殿に留まり続けたんだとか。
(実際に2発の爆弾がバッキンガム宮殿に着弾したそうな)
国民と同じ配給制限を受け、王としてイギリス国民と同じ危険と貧困を分かち合ったそうです。
陛下マジ陛下。