(原題:Primal Fear)
1996年/アメリカ
上映時間:130分
監督:グレゴリー・ホブリット
キャスト:リチャード・ギア/エドワード・ノートン/ローラ・リニー/フランシス・マクドーマンド/アルフレ・ウッダード/ジョン・マホーニー
“オランジーナ”のCMの寅さんでお馴染み、若かりしリチャード・ギア主演の法廷サスペンス。
しかし彼はカッコいいというか渋いというか、”色男”という表現がぴったりのエロオヤジですよね。
そしてこの作品で映画デビューした、エドワード・ノートンは筆者の格付け「四皇」に入る最高の俳優の1人です。
圧倒的な演技力、表現力、存在感で共演者の影を薄くしてしまうトナーのようなお方です。
そんなエドワード氏は、本作での2000人を超えるオーディションの中で大抜擢されます。
そしていきなりゴールデングローブ助演男優賞を獲得。
加えてアカデミー賞にもノミネートされるなど、デビュー作にして一気にスターダムを駆け上がったすごい人なんですよ。
基本的に社会派な作品や、シリアスで内容の深い脚本を好む傾向が強い俳優でもあります。
近年は監督業や製作にも参加しており、娯楽的な映画ではあまりお目にかかることはありません。
何のことかな?
さっくりあらすじ
アメリカ、シカゴの教会にて。
大司教が指を切り落とされ、目をえぐられ、何十回も刺されるという凄惨な遺体が発見された。
聖歌隊の一員として、教会の手伝いをしていた青年・アーロンは逃亡を図るも、第一容疑者として逮捕される。
この一連の事件をTVで見ていた敏腕弁護士・マーティンはこの事件の弁護をすれば注目され、チャンスだと決断。
急いでアーロンの弁護を買って出るのだが、、、
敏腕弁護士・マーティン
計算高く、腹黒い
容疑者の青年・アーロンの弁護をすることに
狙い通りマスコミも注目
明るい好青年のアーロン
殺人容疑の行方は、、、
新星エドワード・ノートン
とにかくエドワード・ノートンの演技、それに尽きます。
この人マジで多重人格なんじゃないかと、心配になるほどの迫真の演技は秀逸ですな。
気弱で大人しそうな男性かと思えば、どこか節々に感じる不穏な空気。
何をしでかすか分からない不気味さを感じさせる演技は本当に素晴らしく、非常に強い印象を与えます。
対するリチャード・ギアもまた素晴らしい。
普段はマフィアな人たちの弁護をしているような、半グレ弁護士です。
しかしスジ者のコネがあったり、”推定無罪の原則”を盾にロジックを語る姿は、なかなかに渋くてカッコいいです。
弁護士としての常識は備えているものの、彼の信念はあくまでクライアントを守るのが仕事であって、正義の味方とは言えないグレーな雰囲気もまた魅力的。
彼が語る「真実は陪審員の頭の中にある=事実よりも印象や無罪のイメージが大事」というセリフはまさに敏腕弁護士という感じですね。
皮肉にもこの言葉がどんでん返しのキーワードにもなっているわけですが、、
そしてマーティンの後輩にあたり、マーティンと闘うことになる女性検事・ジャネットを演じるローラ・リニーもまた素晴らしい。
勝気で可愛げのない女性ですが、観ているうちにどんどん可愛く見えてくる不思議。
追い詰められても、困難に陥っても歯を食いしばって前を向く彼女の強さは、むしろ見習いたいくらいです。
物語としてはカトリック司教の殺害容疑で逮捕された19歳の青年に対し、売名目的で弁護を引き受けた弁護士のお話。
悪徳弁護士、売名、正義、記憶喪失など、様々な思惑が交差する展開は見応えがありますよ。
まとめ
今となってはそんなに珍しくもない定番な法廷サスペンスですが、練りこまれたストーリーを抜群に輝かせる俳優陣。
脚本的にはずば抜けた印象はありませんが、それを補って余りある演技の数々に注目です。
ただサスペンスものって2回は観ないんだよね。
良くできた秀作です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。