(原題:The Last Emperor)
1987年/イタリア/中国/イギリス
上映時間:219分
監督/脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
キャスト:ジョン・ローン/ジョアン・チェン/ピーター・オトゥール/英若誠/ヴィクター・ウォン/デニス・ダン/坂本龍一/マギー・ハン/リック・ヤング/ウー・ジュンメイ/他・多数
清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の生涯を描いた歴史的ドラマ。
最近はお気楽な娯楽映画を中心に観ることが増えたため、久しく目にしていないのが正直なところなんですが、様々な面で存在意義のある映画でしょう。
面白いかどうかは置いておいて、一度は観て欲しい映画です。
まぁ、紹介するまでもなく歴史的名作として有名なんですけどね。
筆者が幼い頃に観て感銘を覚えた映画ですが、名前は知ってるけど観たことはないよって人、多いんじゃないでしょうか?
今思えば子供が理解できるような作品ではないし、そもそもどこで観たのかすら覚えていませんが(汗)
中国最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の波乱万丈な人生を描いた作品で、1987年のゴールデングローブ賞ならびにアカデミー賞で9部門を受賞した歴史的な名作です。
芸術性が非常に高く映像や演出もさることながら、映画の喜怒哀楽を表現する音楽も高い評価を得ています。
ちなみに、アカデミー作曲賞を受賞したのは音楽家の坂本龍一氏(日本人初)ついでに本編にも重要人物として出演しています。
紫禁城(世界遺産)を貸しきって撮影された皇帝即位のシーン。
何万という人間が膝まづく、壮大な演出は歴史に残る名シーンではないでしょうか。
さっくりあらすじ
1908年、光武帝が崩御し事実上の権力者だった西太后は幼い溥儀を皇帝にたてる。
清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀は紫禁城の紅い壁に囲まれ、外の世界とは隔離されて暮らしていた。
皇后や側室を得て、更に不正を働く宦官を粛清した溥儀だったが、軍によるクーデターにより奇しくも紫禁城から外に出ることになる。
行く当ての無い溥儀たち、そんな彼らに大日本帝国が手を差し伸べる。
そして1934年、溥儀は日本が建国した満州国の皇帝となるのだが、、、
皇帝として即位する溥儀
当時2歳と10ヶ月
「皇帝」ではなくなり「戦犯」として
尋問を受ける
晩年、かつて自分の席だった椅子に座る溥儀
号泣必至
これ以上はしょれない
壮大なる長編映画
約3時間半と非常に長い映画です。
ですが中国最後の皇帝とその歴史をたった3時間半で説明し、なおかつ一級の歴史エンターテイメントに仕上げるのは超人技ですよ、実際。
時代の区切りごとに戦犯として尋問を受ける溥儀の姿と、彼が思い出す回想シーンを交互に挟んで物語は進んでいきます。
その過去と現在のコントラストが非常に印象深く、演出の妙が際立ちます。
幼子から少年に、青年に、そして大人になっていく溥儀の姿。
成人後を演じるジョン・ローンの好演も相まってグングンと物語に引き込まれていきます。
あと登場する日本の軍人が傲慢で不愉快ですね。
とはいえ決して悪い意味で捉えていません。
ただ、美談に走る昨今の日本の戦争映画とは軍人の描写が全く異なります。
どちらの描写が正しいのか?
もしくは視点が異なるだけで、どちらもただしいのか?
判定が非常に難しいところではありますが、歴史の端にはこういった人間も少なからずいたのだろう、と解釈してます。
まとめ
「時代」という不可抗力に翻弄され、光を浴びることを許されずに終えた一人の人間の悲劇。
それを壮大に、濃厚に描いた本作は30年近くを経た現在でも色褪せずに輝き、脚色はしてあるようですがドキュメンタリータッチで描かれた物語は深く心に響きます。
「シンドラーのリスト」のように後世に残すべく映画の一つだと思っています。
教科書で読むと眠くなるような歴史のお話ですが、一度でも目を通してほしい作品です。
長い映画なので、前後編に分けて観るのも良いでしょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。