レザーフェイス-悪魔のいけにえ


(原題:Letherface)
2017年/アメリカ
上映時間:90分
監督:ジュリアン・モーリー
アレクサンドル・バスティロ
キャスト:サム・ストライク/サム・コールソン/スティーヴン・ドーフ/リリ・テイラー/ヴァネッサ・グラッセ/ジェシカ・マドセン/ジェームズ・ブルーア/他

 




 

 

1974年に公開された伝説のホラー映画「悪魔のいけにえ」に登場する殺人鬼”レザーフェイス”の誕生を描いたスプラッタ・ホラー。

当時監督を務めたトビー・フーバーが製作総指揮に加わり、奇しくも彼の最後のプロデュース作品となりました。

合掌。

 

恥ずかしながら一連のシリーズ作品には目を通したことがなく、唯一観たのがリブート作品「テキサス・チェーンソー」だけなんですよね。

そもそもスプラッタ系は特に好きでもなければ、得意でもないし。

 

ニッチな分野の作品に伴う愛好家の目は非常に厳しいものであり、ちょっとした設定の祖語から演出の妙まで、極めてハードルの高い世界だと思います。

ゆるい映画好きとしてはそれなりに満足な出来でしたが、マニア目線だとあまり評判は良くないみたいですな。

 

 

 

さっくりあらすじ

ソーヤー家の末弟・ジェディダイア(ジェド)は5歳の誕生日にプレゼントとしてチェーンソーが用意され、家畜泥棒の名目で監禁された男性を殺すように命じられた。

エンジンをかけるも恐怖に手が引きつり、結局手を下せないジェドを母は慰め、同時に曽祖父がハンマーで止めを刺した。

ある日、ソーヤー農場で保安官・ハートマンの娘・ベティの変死体が発見され、ジェドは更生施設へと収監されることに。

10年後、施設に入った患者達は人生をやり直すために名前を変えるルールがあり、息子を思いやる母・ヴァーナも誰が息子なのか確信が持てずにいた。

とにかくジェドに遭いたいヴァーナは入院患者達の暴動を焚き付け、凶悪犯が一斉に逃亡してしまうのだが、、、

 

 

 

 

 

誕生日を迎えたジェディダイア
プレゼントは、、

 

愛するジェドを奪われた母・ヴァーナ
息子を取り戻すため、あれこれ画策する

 

彼らを目の敵にする保安官・ハートマン
娘を殺され復讐を狙う

 

 

 

 

 

なるほど

あまり過去作に詳しくないので何とも言えませんが、コアなファンからするとあり得ない出来なんだそうな。

エピソードゼロというよりかは、リブート作品の方が近いみたいですよ。

 

筆者のようなにわかホラー好きからすると、数少ないレザーフェイスの情報を補完できるような内容であり、納得できる物語だったようには思います。

何せシリーズで唯一観た「テキサス・チェーンソー」もかなり前の話ですし、微妙に朧げな記憶もあって個人的にはすんなり受け入れられましたけどねぇ。

 

 

物語としては主に2つのパートに分かれ、ちょびちょびとグロな映像が差し込まれるといった構成です。

猟奇的家族から切り離された息子たちが施設で別の人生を与えられ、母がそれを取り戻そうとする前半。

そして病院から脱走し逃亡を続ける凶悪犯グループの内、誰が後のレザーフェイスなのかを描いた後半。

前半は静かなる狂気を感じさせる恐怖、後半はグロ満載で直接的な恐怖と、非常にスタンダードで分かりやすい展開かなと。

 

ただし、演出上で主人公ポジションとして誰にスポットが当たっているのかが明確なため、結果として誰がレザーフェイスなのかは容易に想像がつきます。

伝説的なホラー映画の起源を描くにしては、ストレート過ぎる脚本に加え、映像的なパンチ不足なのも否めないところ。

スプラッタな演出は個人的にはお腹いっぱいだけど、これもマニア的には物足りないかもしれません。

 

 

そんな中、イヤな輝きを放っている逃亡犯の1人、クラリスが非常に印象的。

妖艶な美しさを誇る純粋なサイコパスであり、性欲と暴力的衝動を持て余すビッチでもあり、これがなかなかに魅力的な存在感(病気)

異常な独占欲や腐乱死体を交えての性交癖など、明らかに常軌を逸した女性であり、個人的にはレザーフェイスよりも彼女の方がインパクトを感じます。

まぁレザーフェイス誕生の物語だけに、彼女の印象の方が強いのは映画として微妙な要素ですが。

 

 

あと作品を根本から否定する言い方になりますが、純粋な”悪”や”理不尽な暴力”という存在に理由付けは不要かもしれませんな。

非常識を通り越して完全にイカれている一家を描くにあたり、元々は良い子だったけど何かしらの原因で悪に染まるというのは”普通”の発想でトゲが無いんですよ。

一般的な倫理や常識を持つ我々の理解が及ばない精神構造だからこそソーヤー家の魅力が光るんであって、「なるほどね」と思ってしまえば恐ろしい存在に傷がつくと思うんですよね。

 

意味が分からず思考も読めず、ただただ追っかけ回されるからこそ怖い。

シンプルイズベスト。

いずれにせよ、こういった後付けな設定はオリジナルの魅力を際立たせるとは限らないかもしれません。

 




 

 

まとめ

素人でもギリギリ観れるであろう優しめなスプラッタ設定と、割とオーソドックスな物語の構成と、良くも悪くも初心者向けな印象かな。

個人的には割と面白かったけれど、マニア的には退屈だろうなとは思います。

そもそも純粋なスプラッタ・ホラーからは少し遠めな印象ですし、どちらかと言えばサスペンス・ホラーの方がしっくりきます。

 

まぁ続編は難しいものですしね、終わってみれば当たり障りない感じなのかなーという感じですかね。

観るにあたり、過去シリーズのどれか一つでも予習する必要はあると思います。

 

その上で、良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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