オンリー・ザ・ブレイブ


(原題:Only the Brave)
2017年/アメリカ
上映時間:134分
監督:ジョセフ・コシンスキー
キャスト:ジョシュ・ブローリン/マイルズ・テラー/ジェフ・ブリッジス/ジェームズ・バッジ・デール/テイラー・キッチュ/ジェニファー・コネリー/他

 




 

2013年にアメリカで起きた、大規模な山火事に立ち向かった消火隊の実話を描いたノンフィクション・ドラマ。

 

ビル火災や木造家屋の火災はそこまで珍しくもないですが、やはり我々日本人からすると山が燃えるという感覚はいまいちピンと来ませんよね。

毎年のようにオーストラリアや米カリフォルニアなどでは森林火災が多発していますが、枯葉の摩擦熱で火災が発生するという事実もにわかに信じがたいものです。

航空機やヘリコプターが上空から散水する映像はよく目にしますが、その足元、まさに火災の現場で戦う男たちの姿を描いた作品です。

 

知ってるようで知らない森林火災の現場。

熱き男たちが命を懸けて炎に挑む覚悟。

簡単に事実とは、現実に起きたことだとは信じられないような壮大な迫力に溢れています。

久々の名作ランクインですよ。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

アリゾナ州で森林消防隊員を率いる指揮官・マーシュは町に迫る火災を抑え込むために意見を申し出るが、農務省直属の精鋭部隊”ホットショット”に却下され、悔しい思いをしていた。

 

麻薬に溺れ、堕落した日々を送っているマクドナウは分かれた恋人が妊娠していたことを知り、彼女の元を訪れるも拒絶されてしまう。

苛立ちから窃盗を試みるもののすぐに逮捕され、とうとう母親に家から追い出され、森林消防隊の募集を目にしたマクドナウは面接を受けてみようと考えた。

そんなマクドナウを知る隊員は「あいつはダメだ」と意見し、実際に面接したマーシュもすぐに麻薬依存に気づく。

しかし「生まれた娘を幸せにしたい」と訴えるマクドナウの熱意を買い、訓練を始めるのだが、、、

 

 

 

 

 

エリック・マーシュ
森林消防隊を率いるリーダー
別の世界では半分にしたがる巨人だったり

 

ブレンダン・マクドナウ
元麻薬中毒の新人
イカれたドラマーだったことも

 

敵は”炎”
迫りくる火災の怖さが伝わります

 

 

 

 

 

 

誰もが抱えるジレンマ

基本的には森林火災に立ち向かう男たちの姿を描いた作品ではありますが、それ以上に考えさせられる深い物語があります。

 

火災に対する対処の仕方や訓練、実際に火災に立ち向かう際の行動、そして隊員たちが生むコミュニケーションや絆。

それと並行して、誰もが思い悩む”家庭との両立”も非常に現実的に描かれているのが特徴的です。

 

まぁノンフィクションなんで現実的なのは当たり前なんですが、幸せな家庭を守るために、また生まれてきた命を幸せに導くために命を懸ける姿には本当に深いドラマがあるわけで。

誰もが憧れるリーダーにも人並みの悩みがあり、人生をやり直すために努力をする新人にも人並みの悩みがあり。

火災を鎮圧するヒーローではなく、あくまで一人の男性としての姿を等身大に描いたことが本作の魅力の最大の要素だと言えるでしょう。

 

 

劇中では名前もハッキリしないような隊員一人ひとりにもフォーカスする瞬間があり、誰もが物語の中軸となる演出になっています。

その中でも、主人公格なのは隊長のマーシュと新人のマクドナウ。

 

子供を欲しがる妻と、危険な仕事との両立に頭を悩ませるマーシュは本作随一の漢。

頭が切れ、行動力があり、強いコネを持ち、まさに誰もが憧れる上司の姿です。

しかし彼もまた一人の男性として、夫としての振る舞いに頭を悩ませ、仕事と家庭との両立に疲れているような節が見え隠れしています。

 

対して、麻薬から抜け出し、かつての恋人や娘からの信頼を得ようとするマクドナウもまた漢。

最初こそどうしようもない純正クズでしたが、一念発起したあとの努力や忍耐力に誰もが彼を認め、最終的には無二の仲間となっていく様もまた美しいものです。

 

 

そしてね、とにかく消防隊員が全員良い奴らばっかなんですよね。

もう良い意味で中学生。

 

すぐそこで山が燃えてんのにくだらん下ネタは話すは、些細なことで喧嘩はするは、平均25~30歳くらいだと思いますが、もうそのまま運動部の中学生って感じ。

良くも悪くも男臭い集団がワチャワチャやってるんでね、これは女性から見ても呆れ笑いにはなるんじゃないかと。

 

しかし一転して危険が迫れば仲間同士がきっちり助け合い、指揮系統を乱すことなく動けるプロの顔もあり、消防隊員てかっこいいなと素直に思います。

ついでに言えば「ほほう、こうやって火を止めるのか」と、思わず唸ってしまうような勉強にもなります。

マーシュが語る美しい自然の景色=火災の原因となる燃料の塊、という考え方も良く分かりますし、火を消すことを生業にする覚悟を背負った彼らの職業には憧れを感じますね。

 

これだけの危険な仕事をこなしているんだし、無粋ながらお給料がいかほどかが非常に気になるところですが。

 




 

まとめ

実際に起きた物語をベースに作られています。

つまりは調べようと思えばいくらでもネタバレが手に入るわけですが、この映画だけは見ちゃダメ。

絶対。

約束だぞ?

 

久しぶりに良い映画を観た気がします。

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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