(原題:The Lion King)
2019年/アメリカ
上映時間:119分
監督:ジョン・ファブロー
キャスト:ドナルド・グローヴァー/ビヨンセ・ノウルズ=カーター/シャハディ・ライト・ジョセフ/ジェームズ・アール・ジョーンズ/他
ご存じディズニーの長編アニメーションをフルCGで仕立てたミュージカル・ドラマ。
「アベンジャーズ」や「ジャングルブック」など、俳優としても監督としても類稀なる実績を残すジョン・ファブローが監督を務めます。
劇団四季の異常なロングランもあり、誰でも名前は知っているであろうライオン・キング。
筆者も当然知ってはいたものの、何だかんだで触れたことのない作品だけに結構楽しみにしておりました。
観たことはなくとも「裏切者に父ちゃんを殺された子ライオンが、やり返して王国を取り戻す話っしょ?」みたいな感覚でいましたが、実際その通りでしたわ(笑)
さっくりあらすじ
王国・プライドランドの中央で多くの動物たちが集まり、ライオンの王・ムファサと王妃・サラビの間に生まれた未来の王・シンバの誕生を祝った。
姿を現さなかった弟・スカーの元を訪れたムファサは王の弟としての振舞い方を説くも、その一方で弟という関係から厳しくなれないでいた。
好奇心旺盛な子供に成長したシンバはスカーの「プライドランドの向こう側」の話を聞き、居ても立ってもいられなくなる。
ムファサからは決して外に出ないように言いつけられていたものの、シンバは親友のナラを連れて外へと出てしまうのだが、、、
未来の王・シンバ
シンバの父であり王でもあるムファサ
弟・スカーの素行の悪さに頭を悩ませる
スカーの歪んだ思想は膨らんでいき、、、
過保護
「超実写」と銘打たれるだけあって、極めて自然に歌い踊る動物たちの挙動は圧巻の一言。
さらには背景の自然も全てCGなんだそうで、ちょっと信じ難いほどに作りこまれた映像表現は「凄い」としか言いようがありません。
「ジャングルブック」の時も思いましたが、もう現実の自然の世界と比べても何の遜色も無い完成度であり、これは新たな映画ジャンルの誕生と言っても差し支えないでしょう。
元ネタが有名なだけに詳細は省きますが、初めて「ライオン・キング」に触れた筆者の感想は「親が過保護」の印象に尽きます。
いや、そういう映画じゃないってのは理解してますし、難癖に近いクレームだという自覚もあるんですけどね。
「外に出てはならぬ」の誓いを破り、危険な地域まで足を延ばしたシンバはハイエナの群れに絡まれ、追いかけ回されます。
そう、これは人間の文明社会ではなく弱肉強食の動物の世界であり、いくらディズニーがオブラートで包もうと捕食者と獲物という関係性が覆ることはありません。
そんなピンチを父・ムファサが救ってくれたは良いものの、明らかにナワバリに入ったシンバに非がありそうに見えますが、威厳(というか恫喝)たっぷりにハイエナを蹴散らせて帰路につくわけですな。
で、側近の鳥の忠告もほどほどに、きっちりと躾をすると言い放つムファサ。
「なるほど、王たるもの息子にすら厳しく接しなきゃいけない時もあるんだな、、」とか思ったのも束の間、お説教タイムはガチで1分で終了し、楽しそうにじゃれ合うライオン親子。
、、これがもう何より印象的で、しばらく開いた口が閉じませんでしたよ、マジで。
いやね、人様の躾の方針に口を出すつもりはないんですけどね、王様ライオンのあまりにも過保護な教育方針が衝撃的だったんです。
はぐれ者なハイエナのナワバリに、父の威を借る子ライオンが入り込む。
↓
どうやら過去に因縁もあり「やっちまえ!」と追い掛け回す。
↓
逆に親父(王)にシバかれる。
↓
その上「戦争するぞコラ」とキレられ、泣く泣く諦める。
↓
危険な行為に対するケジメを、、とか思ったら親子でじゃれ合う。
もうね、人間に置き換えたらイタいガキを抱えた半グレの人にも見えてきちゃってね、むしろハイエナの方が被害者じゃないのかと。
気高い動物の王というよりは、自分の権威を振りかざすクレーマー風な印象が頭から離れなかったんですな。
「強い者が弱き者を捕食する」のが父ライオンの訴える「生命の輪」なんじゃなかったのかよ、と。
一応補足しておきますが、もちろんコレはかなり間違った受け止め方であり、本来は血統と愛を描いた感動のストーリーなのは言うまでもありません。
むしろ、こんな風に見えてしまう筆者の目が曇っているのも言うまでもありません。
まとめ
全然映画の感想になっていませんが、至って普通に面白い作品だと思います。
優美で素晴らしい映像で描かれる、伝統的な愛と絆の物語は嫌いな人はいないでしょう。
これほどに完成された世界観、もっと言うのであれば動物ドキュメンタリーにファンタジーを吹き込んだような感覚は本当に新しい体験であり、「不可能」だったことを「可能」にしてしまう技術者の熱意と努力に頭が下がるばかりです。
家族で観ても、カップルで観ても、1人で誰でも楽しめる作品だと思います。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。