
(原題:Lone Surviver)
2013年/アメリカ
上映時間:121分
監督:ピーター・バーグ
キャスト:マーク・ウォールバーグ/テイラー・キッチュ/エミール・ハーシュ/ベン・フォスター/エリック・バナ/他
マーク・ウォールバーグ主演&ピーター・バーグ監督による伝記的戦争映画。
「バーニング・オーシャン」や「パトリオット・デイ」でもお馴染みのコンビであり、テーマは変われど内容もお馴染みな感じですな。
アメリカの特殊部隊ネイビー・シールズによる、タリバン幹部暗殺を狙った作戦を描く本作。
通称”オペレーション・レッド・ウィング”と呼ばれたこの作戦は結果的に失敗し、最終的に19名が戦死したそうな。
多数の戦死者を出したこの作戦は、ネイビー・シールズ創設以来で最悪の出来事だと言われているそうです。
さっくりあらすじ
2005年、アフガニスタンの武装集団を率いるタリバン幹部の暗殺を目的としたレッド・ウィング作戦のため、ネイビー・シールズの偵察チーム4名は山岳地帯へと降り立った。
主に偵察と無線での連絡を、可能であれば味方の攻撃の誘導と標的の殺害も視野に入れ、偵察チームは作戦を開始する。
しかし、作戦ポイントへの移動中に、思いがけず3人の現地民と接触してしまう。
咄嗟に3人を拘束したが電波状況の悪化で作戦本部と連絡が取れず、仕方なく作戦を中止し、リスクを承知の上で3人を解放したのだが、、、
冒頭に実際の訓練風景が流れる
超キツそう、ヤバい
そんな鬼畜訓練を突破し
偵察任務に就く精鋭たち
しかし100人以上の敵に囲まれ
追い詰められていく
必要なプロパガンダ
アメリカ産の戦争映画というのは、多少の例外こそあれ殆どが「アメリカ万歳」な内容なのは言うまでもないでしょう。
政治的なアメリカ賛美は思うところもありますが、現地で戦う兵士達の正義感は決して否定されるべきではないと思います。
本作ではちょっとした偶然と、一つの判断ミスで窮地に追い込まれ、壮絶な脱出劇に身を削った4名の兵士が描かれます。
結果論で言えば、実際に19名の精鋭が亡くなっているわけですから、これはもうシャレにならんくらいの大失敗と言っても良いのでしょう。
その極めて危険な状況から生き延びた人がいて、また危険を承知で助けてくれた人がいた。
この事実こそが大事なわけで、何かと誤解されやすい現代のイスラム教徒の真実の一端を垣間見ることができると思いますよ。
物語としては、作戦地域に潜入した偵察部隊4名の脱出劇が描かれます。
うっかり現地の人と逢ってしまい、拘束しても危険、でも開放するともっと危険という難しい状況に直面するわけですな。
結局は交戦規定により現地民を解放し、危険度が上がった為に作戦を中止するわけですが、予想通り武装勢力の攻撃を受ける羽目になります。
見通しの悪い森の中で、360度どこから来るか分からない敵の攻撃を躱すのは本当に怖いもので、この緊張感や圧迫感は凄く良く出来ていると思います。
もう手に汗握る感がハンパないっす。
マジで。
そもそも何人いるのかも判断できず、どこからともなく飛んでくる銃弾の雨に晒されるのを遥かに超える恐怖感がありますね。
もちろん彼らは厳しい訓練を受けた精鋭なので何人かは返り討ちにするものの、本当の意味で多勢に無勢、あっという間に窮地に追い込まれていくわけで。
敵の攻撃で文字通り身を削り、足場の悪い山岳地帯に思うように逃げられず、血に塗れていく痛々しい姿には思わず顔をしかめてしまいます。
そんな中でも仲間を見殺しにはしない絆の強さ、あくまで冷静に逃走経路を考えるタフさには感嘆の一言。
シャレにならんほどの鬼畜使用な訓練をクリアし、まさに精鋭と言えるレベルに鍛えられた彼らの強靭な精神力は恐れ入りますな。
だからこそ、こういう状況に陥ってしまうことが容易に想像できたからこそ、倫理に従って現地民を解放した彼らの勇気には考えさせられるものがあるんですな。
解放を選んだ判断は正解だったのかと。
見ようによってはやはりアメリカ万歳のプロパガンダだとも取れるでしょうが、決死の覚悟で挑んだ作戦は事実として残ります。
正解は誰にも分らないものでしょうが、彼らのモラルを貫いた正義感は”間違っていない”と信じたいところです。
まとめ
ひたすらに脱出劇を描いた作品なので、単調と言えば単調な作品だと思います。
ただし、これは娯楽映画ではないのであしからず。
命を懸けて、信じる正義を実行しようと考える男たちの物語ですよ。
オススメするような映画ではないかもしれませんが、一度は観てみる意味のある映画だとも思います。
個人的にはかなり面白かったです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
この人間性は本当に素晴らしい。
自分の信じる正義を貫く姿勢は本当に格好いいものですね。