2002年/日本テレビ
上映時間:92分
監督:大原実
原作:モンキー・パンチ
キャスト:森山周一郎/咲野俊介/小杉十郎太/永井一郎/池田勝/大木民夫/他
正確にはTVスペシャルなので映画ではないんですが、個人的にお気に入りのルパンです。
泥棒家業に生きるルパン、次元、五右衛門、不二子ちゃん、ついでに銭型のとっつぁんまで、彼らがどう出会い邂逅したのかを描いた本作。
過去作からのファンには認められない点もありそうですが、ギリギリ詳しくない世代の筆者としては懐かしさと共に目新しさも感じさせる良いバランス。
普段はあまり掘り下げられることの無い各キャラを肉厚に掘り起こし、ハードボイルドタッチに描かれる彼らはカッコいいの一言です。
さっくりあらすじ
ある夜、次元は女性記者のエリナに自身とルパン三世との出会いを語り始める。
マフィアのボス、ガルベスの屋敷に保管されている錬金術の書”クラム・オブ・ヘルメス”を奪おうと試みたルパン。
しかし当時ガルベスの用心棒として雇われていた次元との激しい銃撃戦の末に失敗、二人は邂逅を果たす。
後にクラム・オブ・ヘルメスはルパンのライバル泥棒であるブラッドが奪取。
その際にルパンはブラッドのガールフレンドである不二子と出会い、まんまとクラム・オブ・ヘルメスを盗み出すのだが、、、
ルパンと次元
邂逅の瞬間
大人のルパン
まず演出面において、非常に静かで落ち着いた雰囲気に終始しているのが特徴的です。
ジャズがぴったりとハマるような、大人びた雰囲気と演出が非常に心地よく”魅せる”意識が非常に長けていると感じます。
戦闘シーンですら派手な演出は極力抑え、鮮やかな静止画も多用する徹底振りで、正に大人が観るルパンにふさわしい内容ではないでしょうか。
そこに肉厚なキャラクター性と濃厚な人間ドラマ、「静」を意識した演出が噛み合って非常に見応えのある物語となっております。
特に冒頭のルパンvs次元と中盤の次元vs五右衛門は歴史に残る名シーンです。
マジ痺れる。
満を持して銭形警部もヘタレ刑事と共に登場、お約束のコミカルな芸を披露しつつも、今回はすごく渋い。
人間味と刑事魂に溢れ、「警視庁をなめるなよ」と叫ぶ姿は日本男児そのものです。
基本的には次元が語る過去の話なので、自然と次元が狂言回しのポジションにつくわけですが、拳を交えた凄腕同士が最終的に互いを認め合う姿はただひたすらに熱い。
このハードボイルドっぷりにシビれないメンズがいたら男失格ですよ、マジで。
過去作との矛盾が多いような内容ではありますが、「次元が勝手に語っているだけ」という真実と虚構が曖昧にされた演出も非常に上手い。
一部声優さんが変わったことで否定的な意見も多いようですが、個人的にはそこまで気にならなかったかな。
そこまで詳しいわけじゃないし、こーゆーもんだと思えば全く問題ナシ!
まとめ
もう少し予算をかけて劇場版にしても良かったくらいの高い完成度。
大人びた空気感、BGM、演出はルパン作品の中では若干異色とも感じ取れますが、見せ方次第でこうも魅力的な大人向けのエンターテイメントになるものかと関心します。
結果的にこういったテイストは昨今のルパンには反映されないのが残念に思えるような秀作です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。