(原題:Gambit)
2012年イギリス/アメリカ
上映時間:89分
監督:マイケル・ホフマン
脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
キャスト:コリン・ファース/キャメロン・ディアス/アラン・リックマン/トム・コートネイ/スタンリー・トゥッチ/クロリス・リーチマン/伊川東吾
1966年に公開された「泥棒貴族」という映画のリメイクとなるクライム・コメディ。
先日「キングスマン」を観たら、あまりにもコリン・ファースが男前なもんだから、すっかりファンになっちゃいまして、彼にちなんだ映画のご紹介です。
パッケージを見て、コリン・ファース×キャメロン・ディアス×アラン・リックマンを混ぜると、一体どんな化学反応が起きるのか?
興味深すぎて即ジャケ買いしてしまいましたが、このアラン・リックマンは本当にカッコいいっすよねぇー。
セブルス・スネイプ先生と言えば殆どの方は分かるでしょう。
「ダイ・ハード」のハンス役の頃から個性を発揮していましたが、英国紳士的な品のある悪人面(褒め言葉)に独特の渋い声が魅力なナイスミドルです。
(残念ながら、2016年に亡くなりました、合掌)
あと出番は少なめですが、ピンポイントで挟まってくるスタンリー・トゥッチも良い味出してますね。
「ラブリーボーン」の猟奇的なおじさんとはとても思えない、素晴らしい個性と存在感を持つ万能俳優だと思います。
さっくりあらすじ
イギリスの大富豪ジャバンダーの下で働く、キュレーター(美術品の研究、鑑定を行う人の総称)のハリー。
絵画コレクターでもあるジャバンダーは、印象派の巨匠画家クロード・モネの作品を探し続けていた。
彼の横柄な態度や人間性にウンザリしていたハリーは、知人の退役軍人・ネルソン少佐が描きあげたモネの贋作を売りつけるために計画を練る。
現存していれば、本来の持ち主である可能性が最も高いアメリカのカウガール・JPを仲間に誘い準備万端。
いざ絵画詐欺を始めるために、ハリーはジャバンダーのオフィスを訪ねるが、、、
堅物のキュレーターと奔放なカウガール
二人とも共通してマヌケです
名俳優アラン・リックマン
文字通り丸裸な演技で魅せてくれます
さくっと観れるクライム・コメディ
観終わった感想としては何と言いますか、、、良い意味で期待を裏切ったというか「想像してたのと違うけど面白かったなぁ」という感じ。
ひねりにひねって、上手いこと着地した感じの作品です。
ただシュールな笑いは良いのですが、いちいち引っ張り過ぎてチョイと興ざめしてしまうのが玉にキズかな。
これが英国風なんですかね?
せっかくの大物俳優を3人も使ったのにも関わらず、それに相応しいユーモアを用意できなかったのもマイナスですね。
これは監督のセンスによるものか。
コリン・ファースとアラン・リックマンはさすがの存在感、良い演技で素晴らしいですね。
頼りなくせに頑固なハリーと、優秀な富豪で性格の悪いジャバンダー。
二人の役どころがハマりすぎてて面白かったです。
キャメロン・ディアスも相変わらず可愛いしスタイルも抜群。
強いて言えば物語の設定上、もう少し若いギャルの方がしっくりきたかなぁーと思います、ちょいともったいなかったすね。
ついでに冒頭の妄想シーンもいきなりスパッと終わるので、ちょいとビックリというかやや作りが荒いかなと。
ライオンのCGも今の時代だと完成度が低く、少し違和感を感じます。
随所に勿体ないと感じる演出が多く、もう少し丁寧に演出できれば非常に面白くなるであろうポテンシャルは秘めていると思います。
残念ながら、映画としての完成度はお世辞にも高いとは言えません。
端的に言えば俳優の技量に助けられている作品ですな。
まとめ
面白い映画だけに、完成度としてあとちょっと、もう少しだけ丁寧に作れればなぁと惜しい気持ちになります。
しかし、コリン・ファース、キャメロン・ディアス、特にアラン・リックマンの3者ともにサービスショットを完備。
その中にクスッと笑えるシュールな笑いを混ぜ込むプロットは及第点。
バカそうな日本人の描写が実は重大な意味を持っていたり、実はハリーはかなりの切れ者なんじゃないかと匂わせるような描写があったりと奥が深く、後々になってひねる構成はとても面白かったです。
この辺はやはりコーエン兄弟の脚本が色濃く生きたのかもしれません。
かなり濃いというか、89分の中で色々と内容の詰まった映画です。
さくさくっと観れる時間で、テンポ良く気楽に楽しめるクライム・コメディだと思えば悪くはないかな。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。