ストーカー


(原題:One Hour Photo)
2002年/アメリカ
上映時間:98分
監督:マーク・ロマネク
キャスト:ロビン・ウィリアムズ/コニー・ニールセン/マイケル・ヴァルタン/ディラン・スミス/ゲイリー・コール/他

 




写真現像店で働く男が、とある家族に憧れストーカーとなる様を描いたサスペンス・スリラー。

 

一時期に比べ最近ではあまり聞かなくなった”ストーカー”という言葉ですが、何だかんだで年間2500件(2017年)くらいの相談件数があるようです。

実際にストーカー規制法により警告を受けたのが500件弱、検挙されたのが150件弱くらいなので、まだまだ難しい問題なのだと思います。

公的に発表される数字なんて氷山の一角だしね。

 

 

 

さっくりあらすじ

大型スーパーの写真現像の職に就くサイは、真面目ではあるが孤独な男。

常連客であるヨーキン家の写真を現像する際にこっそりと焼き増しし、自分の部屋に貼りつめては自分が家族の一員であるように妄想するのを楽しんでいた。

そんなある日に写真を無断で焼き増ししていることが上司にバレてしまい、サイは解雇されてしまうのだが、、、

 

 

 

 

現像ショップで働くサイ
常連のニーナ

 

孤独な男は写真を焼き増して
妄想にふける

 

しかし上司にバレてしまい
会社をクビになり、、、

 

 

 

 

 

趣旨が違う

というか、邦題が全然違う。

他人の写真を勝手に焼き増しして、自宅に持ち帰るのはストーキング風な印象ではありますが、我々がイメージするストーカーとは隔たりがありますね。

 

写真の現像を生業とする中年男性・サイですが、彼自体に粘着質な気質が無く、孤独に妄想の世界で生きる変人という感じ。

直接的に他人に執着するでもなく、あくまで自分の考える”理想の家族”の一員になりたいと願うだけなんですな。

 

焼き増しは問題ではあるものの、無害と言えば無害。

せいぜい変質的な趣味のある小心者といったところでしょう。

その行動理念にはとても理解が及びませんが、彼なりの信念を持ち行動している節があり、また微かに漂う悲しい過去も匂わされます。

 

 

物語としてはそんな彼が理想とする家族が、そうでもなかった現実を知り、深く落胆し暴挙に走るという流れ。

演じるロビン・ウィリアムズの迫真の演技もあり、狂気的な妄想に寂しさを感じさせるような、妙な気分にさせられます。

あらゆる映画で優しく面白く、俳優として常にハイテンションを保ち続けたロビン氏の素顔とまでは言わなくとも、哀愁漂うサイの表情にはやるせなさを感じますね。

 

数か月の鬱病治療の末に自殺を選んでしまった事実があるだけに、ただただ積み重なる悲しさ、切なさが胸を打ちます。

だからこそ、これはストーカーの物語ではなく孤独な中年の物語だと言えるわけですが。。

 

 

人は群れて暮らす生き物であり、大なり小なり他者との共感を得ずして喜怒哀楽の感情は動きません。

また、動かし過ぎると反動も大きくなるもので、躁状態の後に鬱がやってくるのもそういう事なんだと思っております。

自己肯定ができない人や、自己愛に欠ける人は他社とのコミュニケーションに対するハードルが上がり気味な傾向があります。

 

孤独に身を包むということは少なからず自分の嫌な面にも目を向けることでもあり、それに疲れると人間の脳は妄想に入ってしまうわけですな。

誰一人構わず、自分自身ですら認めなかったアイデンティティを癒してくれる究極の世界とも言えるでしょう。

 

そしてその絶対領域は他者の侵入を許さず、それがまた孤独を生み出すという悪循環。

自己完結で楽しめる人生というのも悪くはないですが、やはり何事も分かち合える人がいてこその人生なんだと思いますよ。

まぁ、友達が1人しかいない筆者が言うのもなんですがね(泣)

 




 

 

まとめ

話しが大幅に逸れてしまいましたが、ぶっちゃけ面白い映画とは言い難いところです。

というか、ストーカーの恐怖や脅威を描いた作品ではない時点で、スリラーを期待した人には退屈な印象になってしまうことでしょう。

物理的に誰かが傷ついたりすることはなく、ただ孤独な男性の行動を描いただけなんですな。

 

極めて繊細で悲しい物語ではありますが、どうにもリアクションの取りづらい映画かなと思います。

やはりロビン・ウィリアムズから滲み出る哀愁が見所でしょうか。

 

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。



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