パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー


(原題:Patch Adams)
1998年/アメリカ
上映時間:115分
監督:トム・シャドヤック
キャスト:ロビン・ウィリアムズ/ダニエル・ロンドン/モニカ・ポッター/フィリップ・シーモア・ホフマン/ボブ・ガントン/他

 




 

実在する医師、パッチ・アダムスの半生を描いた伝記的ドラマ。

ロビン・ウィリアムス演じる医師が、臨床的に患者の心のケアに勤める物語ですな。

 

パッチ・アダムスことハンター・キャンベル・アダムス氏の思想はホスピタルクラウンやクリニクラウンと呼ばれ、1980年代後半には「クラウンドクター(臨床道化師)」という専門の医師の育成が始まったんだとか。

ちなみに先進国はオランダで正式な組織としてクリニクラウン財団が設立され、確立した医師の立場として各地に派遣されているそう。

日本でもクリニクラウン財団と連携し日本クリニクラウン協会が設立されたんだそうで、募金で得た人材育成に励み、2006年頃より正式な臨床道化師としての活動を開始しています。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

1969年のアメリカ、自殺未遂を起こしたアダムスは精神病院に入院し、そこで様々な患者と接することになった。

冷酷な医師を相手に困惑したアダムスは、むしろ患者たちとの交流で笑顔を取り戻し、笑うことで人生の質が上がるのだと確信する。

2年後、ヴァージニアの医科大に入学したアダムスは学部長の説く医師の心構えに納得がいかず、上級生のふりをして大学病院へと潜りこむのだが、、、

 

 

 

 

苦しく退屈な入院生活に
笑いを届け

 

心のケアと同時に
笑いで免疫を上げる

 

こちらはご本人
日本にも講演に来たんだとか

 

 

 

 

最強のコミュ力

自殺を図るほどにメンタルをやられた人間がメンタル系患者との触れ合いを経て、本当の意味で親身にケアするドクターを目指すと。

そして医局による様々なしがらみから抜け出し、医療ボランティアを経て無償のクリニックを開設すると。

ある意味で究極とも言える医療体制を理想とし、また1人の人間が体現できる理想を限りなく実現した人物として、まず頭が下がります。

 

いついかなる時も「パイオニア」という存在は奇人変人な人であり、荒唐無稽な思想が大きな波となり、最終的に人の心を変えるという流れは観ていて実に気持ちの良いものです。

「患者の心に寄り添う」という、誰もが望む医者の姿に共感を得る人もきっと多いことでしょう。

何よりも、相手が何者であれ仲良くなれるというコミュ力は見習うべきものが沢山ありますね。

 

ただ正直なところ、映画としては脚色されているであろう部分もチラホラと散見しますし、いかにも映画的な表現も少なくありません。

しかし、それを補って余りあるロビン・ウィリアムスの存在感がずば抜けており、むしろ彼のおかげで成功した作品と言っても過言ではないでしょう。

躁病かと思えるほどにテンションが高く、医者としては斜め上で異次元な考え方を持ち、またそれ故に降りかかる苦悩や災難など。

俳優としてもコメディアンとしても活躍するロビン・ウィリアムスこそが最適な演者であり、彼の豊かな表情や感性が訴える演技は真っすぐと心に響きます。

他の俳優には真似のできない、まさに彼独自の最高の演技と言って良いでしょう。

 

 

余談ですが、誰でも無償で安心の医療が受けられる社会は実に素晴らしいと感じる一方で、昨今の日本のように病院が高齢者で溢れかえるのは健全かどうか正直悩ましいところでもあります。

結果として医者も製薬会社もお薬をバラ撒いているのは周知の事実ですし、医療費が社会保障を圧迫しているのもまた事実でしょう。

誰もが平等に医療を受けられる理想のために、世代ごとに平等な社会保障は受けられないと。

人間社会は経済=お金で成り立っている以上、こればかりは避けようのない矛盾でもあり、解決し得ない難しい問題でもあるわけですな。

 

つまりパッチ・アダムス氏の思想が素晴らしいのは間違いないとしても、それでは全員が公平な社会になり得ない現実があり、一概に正しいと言えないのが歯痒いところです。

善意の寄付だけで医療を無償化することは到底無理なお話であり、つまりは人間の善意だけでは人は救えないということがハッキリしてしまうだけに、世知辛い世の中のリアルに気付かされますね。

 




 

 

まとめ

非常にハートフルで感動的で、なおかつ医療制度や医者の在り方まで考えさせられる、どう見ても名作と呼んで差し支えない映画でしょう。

個人的には綺麗ごとを主張することに対してのアレルギーがありますが(病気)、それを含めても素晴らしい映画であり、また誰もが触れるべき映画だと思います。

 

医者というよりかは人として、恥ずかしいほどに純粋なアダムスの考え方は、きっと胸に響くはずです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

おまけ

自殺願望を克服し、患者に寄り添う偉人となったハンター・アダムス。

そんな彼を卓越した演技力で面白おかしく表現したものの、後にうつ病となり命を絶ったロビン・ウィリアムス。

何の因果か、すごく良い映画にも関わらず個人的には一抹の悲しさが付きまといます。

改めて、ご冥福をお祈りいたします。

R.I.P

 



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