2002年/日本
上映時間:114分
監督:曽利文彦
キャスト:窪塚洋介/ARATA/中村獅童/サム・リー/大倉孝二/夏木マリ/竹中直人/他
原作は松本大洋、脚本を「クドカン」こと工藤官九郎が努めた、世界一カッコいい卓球活劇。
特に同名漫画である「ピンポン」は超がつくほどの名作なので、未読の方はぜひ一度読んでみましょう。
卓球というスポーツを通した深い人間ドラマは非常に見応えがあり、これ以上の卓球漫画は二度と現れないと本気で思っております。
もはや漫画ではなく人生の教科書と言ってもいいくらい。
迫力溢れる卓球シーンはフルCGで構成されており、後に初のフル3Dライブアニメ作品となった「アップルシード」にて監督とプロデューサーを務めた、曽利文彦氏と荒巻伸志氏という2大映像クリエイターの手腕が発揮されています。
「アイキャンフラアアァァァイ!!」と窪塚洋介氏がマンションから桟橋から飛び降りるところから映画は始まりますが、個性の強い俳優陣たちが非常に良い味を出していて、原作の雰囲気作りが秀逸です。
さっくりあらすじ
片瀬高校1年の星野、通称ペコは卓球で世界の頂点に立つ夢を抱えながらも才能にかまけ、練習をサボってばかりいる。
そんな彼の幼馴染である月本、通称スマイルはペコに憧れ卓球を始めるが、彼もまた類稀なる卓球の才能を秘めていた。
卓球部の顧問である小泉は秘めた才能を持つスマイルを鍛え上げようとするも、「卓球は暇つぶし」と断言し、闘争心に欠けるスマイルに手を焼く日々を送る。
そして始まる夏のインターハイ地区予選。
卓球の名門・海王学園でレギュラーに抜擢された佐久間、通称アクマと対戦することになったペコだが、、、
ペコ、天才肌で自惚れ屋
ストイックな最強選手、風間
ギャグみたいだけどカッコいいんです
アスリートが背負うもの
スポーツにおけるヒーローとは当たり前ですが勝者を指します。
原作漫画が名作と言われる所以は勝者と敗者、両方のドラマをきっちりと描写しているからで、誰が勝っても誰が負けても、それぞれ手に汗握る魅力があります。
どの登場人物も勝ちを手にするための努力や執念、勝たなければいけない背景があり、それが熱さを伴うわけです。
その上でスポーツに懸ける者につきまとう残酷さ、とりわけ努力を怠れば負けること、全てをつぎ込んでも才能に欠ければ負けること、そんな直視せざるを得ない現実の厳しさもリアルに描かれています。
その対比が非常に素晴らしく、面白く、そして切なく、観てる人間の心をガンガンに揺さぶってきます。
俳優陣は皆良い演技をしていますが、個人的に推したいのがアクマを演じる大倉孝二さん。
役作り、演技、共に申し分なく非常に原作の再現性に富んでいます。
あと顔が似てます(失礼か?)
終盤のペコvsドラゴンはメチャクチャ熱いです。
中村獅童さんも鬼気迫る役作りで魅せてくれますし、所狭しと飛び回り、派手にスマッシュをバチバチと決めていくペコは躍動感に溢れ最高にカッコいいです。
もはや卓球ではないですけどね。
まとめ
ちょいエレクトロ寄りなサウンドが演出にマッチしていて、独特の洒落た雰囲気を作るのに一役買っています。
やはり映画というコンテンツなので約2時間という制限があり、省略されている部分も多々あるわけですが「ピンポン」という世界観、雰囲気は存分に味わえるのではないでしょうか。
卓球に興味の無い人でも楽しめる作品です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。