レイルロード・タイガー


(原題:鉄道飛虎)
2016年/中国
上映時間:124分
監督:ディン・シェン
キャスト:ジャッキー・チェン/池内博之/ファン・ズータオ/ワン・カイ/ワン・ダールー/サン・ピン/ン・ウィンラン/他

 




 

1956年に公開された「鉄道遊撃隊」という映画のリメイクとなる、歴史的アクション・コメディ。

日中戦争下の中国にて、駐在する日本軍をやっつけるという喜劇的な反日映画でもあるようです。

中国では100億円を超える大ヒットを記録したようで、憎き日本人をコテンパンにやっつける物語は面白いものなのでしょう。

 

歴史に詳しくない筆者としては微妙に複雑な思いを抱えつつ、でも面白い映画だなと思ってしまいました。

戦争を交えた過去の遺恨は拭えないものだと思っていますが、こういった面白おかしい喜劇になることにネガティブな印象は感じません。

でも受け入れ難い人も少なくないでしょう。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

1941年の日中戦争の最中、日本軍の支配下にある町から列車が出発した。

マー・ユエン率いる、自称ゲリラ組織”レイルロード・タイガース”の面々は今日も列車に乗り込み、日本軍の物資を盗んでいた。

そしてある日、マーは日本軍に追われている中国軍兵士を匿うことになるが、兵士は日本軍の輸送列車を止めるために橋を爆破する任務に就いていた。

志半ばで銃弾に倒れた兵士の意思を継ぎ、マーは仲間と共に橋を爆破しようと考えるのだが、、、

 

 

 

 

 

タイガースを率いるマー・ユエン
みんなの兄貴分

 

日本軍の憲兵隊長・山口
ゲリラを目の敵にする

 

アクションはコメディ中心

 

 

 

 

 

 

一矢報いる痛快コメディ

歴史の勉強を覚えている中国人の視点で観れば、まさにそんな感想になるのだと思います。

 

とはいえ、やはり反日映画として、日本人としては素直に笑いづらいところもあるでしょう。

さらに言えばジャッキー映画だけに、超人アクションを期待するところもあるでしょう。

しかし、各々の国で解釈が異なる戦争の歴史を鑑みれば、それなりに深い内容もあると思います。

 

 

物語としては、日本軍に町を占領され、肩身の狭い思いをしている中国人が一矢報いるお話。

やはり反日なエッセンスが所々に感じられる内容ではあるものの、どちらかと言えばコミカルな構成であり、エンタメ作品であることは間違いないでしょう。

 

あくまで日本軍が使う橋の爆破が中心であり、日本軍を片っ端から殺しに行くようなものではありません。

映画としても、エンタメ性溢れる作品としても、映画人・ジャッキーとしての作風や気遣いは感じられるかなと。

若手を中心に面白おかしいスタントを披露してはくれますが、アクション性はジャッキー作品の中でも下の方なのであしからず。

 

 

全体的にお笑い中心なせいもあり、バリバリのアクションは皆無です。

やはりコミカルなエンタメを楽しむための映画だと言えるでしょう。

それに加え、やたらとオシャレな演出が目立ちます。

 

細かくエピソードを分ける構成はまぁ良いとして、ちょっと細かすぎてくどい印象。

スタイリッシュな映像を挟むこと自体は悪くはないものの、映画のノリを考えると少々滑っているようにも思います。

特に最初の30分は退屈かも。

 

その中で、群を抜いて目立つのが日本軍の憲兵隊長・山口を演じる池内博之の存在。

最近は日本で見かけることも少なくなっていたように思いますが、こんなところで活躍しているんですね。

ジャッキーを”善”と位置付けた場合、対照的な”悪”の権化といえるポジションになりますが、これが非常に魅力的。

 

傲慢で唯我独尊な憎き日本兵でありながら、微妙に間が抜けている愛すべきバカといった感じで、どこかコミカルなキャラクターとしての存在感が抜群ですよ。

むしろ彼がいなかったら、コメディとして成立しなかったと言っても過言ではありません。

ちなみに中国でも彼の演技はかなり肯定的に捉えられているそうで、あくまで”笑える”古典的作品の中軸として、歴史を取り扱いながらも殺伐とならないエッセンスとして、彼が演じた力量は褒めて然るべきだと思います。

 

どれだけ事務所のアシストがあろうと、ハリウッドでは全く相手にされない日本人俳優ですが、世界への足掛かりとしてアジア市場を狙うのは実に賢い選択だと言えるでしょう。

これからの活躍にも期待したいところですな。

 

 




 

 

まとめ

年齢を考えれば相変わらず無茶をするジャッキー・アクションに加え、中国なりのスタイリッシュな映像に、池内氏が醸し出すユーモア溢れる演出に。

中国以外での評価はあまり芳しくないようですが、個人的にはかなり楽しめた映画です。

やはり反日映画だけに、心から楽しめたと声を大にして言い辛いところではありますが、明るく楽しく歴史を学ぶエンターテイメントだと思えば、むしろ良作だと思います。

 

あとはね、何十年も映画に携わったジャッキーの円熟味溢れる演技もなかなかのもの。

派手なアクションは無くとも、珍しく髭を生やし、暗い影を背負った演技は実に奥深い味わいがありますよ。

ついでにエンドクレジット後の恒例NGシーンも面白いので、お見逃しなく。

 

超人技を求めないのであれば、それなりに楽しめるでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

おまけ

観てても全く気づきませんでしたが、ジャッキーの息子ジェイシー・チャンも出演しているようです。

親子共演は初めてだとか。

 

 

 



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