アンコール!!

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(原題:Song for MARION)
2012年/イギリス
上映時間:94分
監督/脚本:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
キャスト:テレンス・スタンプ/ヴァネッサ・レッドグレイヴ/ジェマ・アータートン/クリストファー・エクルストン/他

Caution!

本日の「俺の映画が観れんのか!!」は
かなりの涙腺崩壊を促します。

用法、用量、鑑賞のタイミングには
ご注意くださいませ。

 

 




 

 

長年連れ添ったあ伴侶の死を乗り越え、新たに人生と向き合う男性を描いた感動のヒューマン・ドラマ。

妻が好きだった合唱団に参加することで、人との関係の在り方を見つめなおし、新たな人生のスタートを切るおじいちゃんのお話です。

つらく悲しいお話を、美しくも面白く描いた良作と呼べると思います。

 

上っ面だけでなく、もうじき死ぬ人のワガママや残る人への思いやりを、素直に描いたところに好感が持てました。

ヨボヨボだけどもクセの強い老人たちが集まって目標を持ち、残り少ない楽しみを大切にする姿勢は本当に素晴らしいもの。

老人達の先頭をきって舵取りをする若い女性教師の存在も、元気と優しさに溢れています。

 

ヒューマンドラマ寄りのコメディ映画という位置づけのようですが、こんなに泣きそうになった映画は本当に久しぶりです。
※筆者は映画で泣いたことがありません。

邦題はイマイチなので、原題「Song for MARION」-マリオンに捧ぐ歌-として観てください。

 

 

 

さっくりあらすじ

老人合唱団で歌を楽しむマリオンを、送り迎えする日々を送るアーサー。

人に好かれ、皆と仲良くできるマリオンとは対照的に、合唱団の輪に加わることはない。

いつも外で孤独にタバコをふかすアーサーは、偏屈で頑固な性格が災いし周囲から孤立し、実の息子からも距離を置かれてしまう。

そんな中、合唱コンクールの予選を目前に控えマリオンの癌が再発し余命いくばくもない状態になってしまう。

安静にしてなくてはいけないマリオンに代わり、練習に行かされるアーサーだが、、、

 

 

 

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落ち込む夫を励ます妻
個人的に最強の涙腺崩壊ポイント

 

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発表会でノリノリのジジババ

 

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音楽指導と指揮者のエリザベス
ジェマ・アータートンが素敵です

 

 

 

 

不器用な愛のかたち

死にゆく妻・マリオンを演じるヴァネッサ・レッドグレイヴと、頑固爺・アーサーを演じるテレンス・スタンプの熟年の演技はとにかく必見。

これだけでも観る価値があるんじゃないすかね。

 

まず余命幾ばくも無い末期の癌患者・マリオンのエネルギーが輝いています。

癌の再発で命のカウントダウンが始まったにも関わらず自分を見失うことなく、やりたいことに熱中する姿勢には笑みがこぼれますね。

その姿は女性の内面的な強さを表し、社交性に難がありながらも甲斐甲斐しく面倒を見てくれるアーサーの不器用な優しさを、更に上から包んでくれるような暖かさがあります。

 

冒頭にあるマリオンの「もう目覚めないかもしれないからキスして」というセリフが実に印象的、ロマンチックなものが苦手な筆者でも素敵な言葉だと思います。

合唱コンテストの予選で彼女が歌うTrue Colors(シンディ・ローパー)は涙腺崩壊ものです(1回目)

 

 

テレンス・スタンプ演じるアーサーもまた頭の固い頑固ジジイって感じで、とても良い味出してます。

不器用で表現が下手クソなんですが、ちょっとした仕草や表情で心から妻を大事にしているのがヒシヒシと伝わってくるんですな。

毎日のように妻を幸せにできない歯がゆさも、彼を気難しい性格にしている要因になっているのでしょう。

それはすなわち自分自身の無力感、また内なる優しさに他なりません。

弱っていく妻に向け、残される自分の弱さを素直に吐露するシーンは涙腺崩壊ものです(2回目)

 

合唱団メンバーとのやり取りや息子との確執など、頑固で偏屈だったアーサーは自分を変えようともがきますが、当然そんな簡単にことは運びません。

つらさと惨めさに打ち倒された時に励ましてくれるのは、若かりし頃の夫婦の写真や手紙。

大切な人がいなくなっても思い出は胸の奥に、アーサーを支えてくれるのはやはり妻のマリオンでした

 

 

そして最後のコンクールで歌うアーサー。

言葉に詰まり、歌い出しができないアーサーに孫娘が応援を叫び、亡き妻を想いながら歌を搾り出す姿に涙腺崩壊(3回目)

で、そんな人の涙が尾をひいてる内にいきなりぶっこまれるコメディ要素も面白かったです。

ひたすらに悲壮感を煽るでもなく、無理やりな笑いで作品を軽くするでもなく、このバランス感覚は本当に素晴らしいですね。

 

 




 

 

まとめ

涙溢れる最中に笑えてしまう、珍しい作品でもあります。

ヒューマンドラマを作る上で大切なのは、登場人物の等身大を描くことだと考えます。

何も足さない、何も引かない。

そんな某ウィスキーみたいなバランス感覚が、感動を呼ぶ映画には重要です。

 

よーく考えたらベタベタでよくある作品にも見えますが、短い時間ながらコンパクトにテンポよくまとまっている秀作です。

最近は異性に興味を持たない若者が増えているそうですが、誰か好きな人を見つけて永い時間を一緒に過ごせるのはけっこう素敵なことですよ。

当たり前のことですが、人生においてとても大事なことです。

人を愛する気持ちを知って欲しいので、恋愛の価値に思い悩む若者に観てほしいですね。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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