96時間


(原題:Taken)
2008年/フランス
上映時間:93分
監督:ピエール・モレル
キャスト:リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/リーランド・オーサー/ジョン・グリース/他

 




 

拉致された娘を取り返すため、元CIAの父親が容赦なく悪を討つサスペンス・アクション。

プロデューサーは巨匠リュック・ベッソンが務め、その秘蔵っ子であるピエール・モレルが監督を務めます。

 

抜きんでた個性は無いものの、わずか93分というスピーディーでテンポの良い構成が実に印象的。

また、中年男性が巨悪を討つという構成上、主演を務めるリーアム・ニーソンのアクション性を確立した作品と言っても良いかもしれません。

撮影当時50代中盤だったリーアム・ニーソンのアクション性にも注目です。

 

サクッと観れる良作ではありますが、性的に不快な演出がチラホラとあり、女性目線では少々キツめな雰囲気になるかもしれないのでご注意を。

 

 

 

さっくりあらすじ

元CIAエージェントのブライアンは離婚し離れて暮らす愛娘のキムと良好な関係を築こうとするも、元妻のレノーアに阻まれ、気落ちする日々を送っていた。

ボディガードの仕事で人気歌手との関係を築いたブライアンは早速キムに教えようとするが、キムは友達のアマンダと2人でパリ旅行をしたいと申し出る。

渋々ながら旅行を認めたブライアンには内緒で、人気バンドのコンサートツアーに行くつもりだったキムとアマンダはパリに到着。

爽やかな若い男性とタクシーを相乗りし、アマンダのいとこのアパートに入るのだが、、、

 

 

 

 

元CIAのブライアン
現在は友人とボディガードを務める

 

愛する娘との関係は良好
でも元妻とはギクシャク

 

楽しいはずのフランス旅行
しかしトラブルに巻き込まれ、、

 

 

 

 

パパ無双

要はアメリカから遠く離れたフランスで、呑気にバンドの追っかけをするつもりだった娘が誘拐され、怒りに燃えるパパが単身救出に向かう物語ですな。

非常に単純明快、余計なものを削ぎ落とし、演者の存在感と迫力の演出に焦点を絞った仕上がりは中々のものです。

 

CIA時代は仕事人間過ぎて、危険を伴う任務の連続に疲れた元妻とは諍いが絶えず、大いに反省したブライアンが退職した後も関係は綻んだまま。

それ故に愛する娘とだけは良好な関係を築こうと頑張る父の姿には一抹の寂しさが見え、仲の良い友人に囲まれ孤独ではないものの、どこか心に穴が開いているような印象。

演じるリーアム・ニーソンは流石の演技力で、悲しくはあるけど失くしたものが戻らないことも理解している中年男性を上手く表現しています。

こういった繊細な感情って画面映えしないから難しいんですけどね、彫りの深い顔立ちとくたびれた雰囲気に説得力がありますね。

 

そして、事件に巻き込まれる娘・キムを演じるマギー・グレイスも堂々たる存在感。

元妻の再婚相手が裕福だからか、規模の大きい誕生日パーティーにパリ旅行に、どう見ても苦労を知らないお花畑系お嬢様といった雰囲気が馴染んでますね。

大げさにはしゃぐ仕草や、事件に巻き込まれて金切り声で叫ぶシーンなど、まさに迫真の演技が実に素晴らしい。

17歳の高校生という設定ながら、撮影当時は推定26歳前後であり、何の違和感も持たせない幼稚さや未熟さの表現は一級品の演技ですよ。

 

特筆すべきはタイムリミットが近づく焦燥感と、娘が無事かどうかがハッキリしない緊張感。

もうキムが襲われる時からして秀逸でしたが、状況をいち速く判断し「お前はこれから誘拐されるから、犯人の特徴を叫べ」と冷静に伝えるというアイデアは初めて観ましたよ。

そして即座に犯罪組織を特定し、緻密に実行犯を探し回る姿は実に知的で冷静。

溢れ出そうな憤怒を内に抑え、今か今かと爆発を待つようなワクワク感に駆られますな。

 

愛娘の安全を第一に考えているのは理解できますが、その手段は全く問わないブチギレっぷりが最大の見所と言えるでしょうか。

どんなピンチも冷静に乗り越え、全くもって容赦の無い攻撃で敵を蹴散らす姿は頼もしいやら、恐ろしいやら。

現実的に考えれば速攻で強制送還or刑務所収監になりそうではありますが、そこはご愛敬。

怒りのボルテージを上げ続け、無双っぷりを発揮するパパの雄姿を目に焼き付けましょう。

 

後は余談ですけどね、ヨーロッパの人身売買って本当にありそうで怖いですよね。

劇中で描かれる一連の誘拐事件が妙にリアルろいうか、かなりパンチのある演出が多いだけに、たかが映画と見過ごせない生々しさがあります。

まぁこれはヨーロッパに限らず、どこの国でもあるような話だとは思いますが、良くも悪くも親であれば非常にタメになる映画だとも思います。

未成年の子供だけの旅行なんてダメ、絶対。




 

 

まとめ

短い尺でありながらも、密度の濃い良作だと思います。

テンポ良くドキドキハラハラのサスペンス性、そして爽快感溢れるアクション性と、どちらもバランスよく仕上がっております。

シンプルな作品だけに、コチラも何も考えずシンプルに楽しみましょう。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 



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