15時17分、パリ行き


(原題:The 15:17 to Paris)
2018年/アメリカ
上映時間:94分
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:スペンサー・ストーン(本人)/アンソニー・サドラー(本人)/アレク・スカラトス(本人)/他

 




2015年にオランダ~フランス間での高速鉄道内で発生した銃乱射事件と、その犯人に果敢に立ち向かった3人の若者を描いた物語。

監督は巨匠クリント・イーストウッドが務め、また彼のアイデアにより実際に事件の当事者となった3人を起用するという前代未聞のキャスティングが話題になりました。

 

渋谷の某ファッションブランド店にて警備員に対する暴行事件が話題になりましたが、暴力を以て我を押し通すような人に対して、どういう行動を取るべきなのかという問いに対する答えとなる作品だと思います。

散々ニュースで動画が流れておりましたが、スマホで撮影することと、実際に止めに入ることは雲泥の差がありますよね?

 

危険な暴力に遭遇した時に(特にメンズは)何をすべきなのか。

この映画、並びに事件の主人公となる3人が絶対的に正しいとまでは言いませんが、間違いの無い正義とはどういうものなのかが感じ取れる良い作品だと思います。

 

 

 

さっくりあらすじ

2015年8月21日、アメリカ人旅行者のアンソニー、スペンサー、アレクの幼馴染3人はパリへと向かうため、パリ行きへの高速鉄道に乗車した。

 

遡って2005年、カリフォルニア州サクラメントにて、スペンサーの母・ジュディとアレクの母・ジェナは学校から呼び出され、スペンサーもアレクも授業に集中できず、注意欠陥障害の疑いがあると通告される。

共にシングルマザーであるジュディとジェナに対し、担任の教師は統計上では片親の子供は問題を起こしやすいと告げ、憤慨した2人は子供たちを私立の学校へと編入させた。

幼馴染のスペンサーとアレクは堅苦しいキリスト系の学校に不自由さを感じ、ここでも問題児扱いされるが、同じく問題児扱いされている黒人のアンソニーと出会い、親友になった。

時が経ち、バラバラになった3人だったがアレクは軍人となり、アンソニーは大学へと通い、なりたいものが見つけられなかったスペンサーもとあるきっかけで軍人を目指すようになる。

きつい訓練や挫折にもめげずスペンサーも軍人となり、アフガニスタンに赴任していたアレクと学生生活を満喫していたアンソニーを誘い、ヨーロッパへの旅行に誘うのだが、、、

 

 

 

 

ひょんなことから仲良くなった3人組

 

大人になりそれぞれの道を歩む
でも仲良し

 

未曽有の危機を防いだ英雄として表彰される
※これは実際に起きた事件です

 

 

 

 

 

究極の再現VTR

幼い頃から仲の良かった男性たちが、旅行中に乗った列車でテロ騒ぎに遭遇し、それを食い止めた。

本作で描かれる内容は(多少の脚色はあるかもしれませんが)本当にそれだけです。

クリント・イーストウッドが描き、実際に事件を防いだ3人が”役者”として物語を彩る、これはつまり映画風の再現ドラマと言っても差し支えないのではと思います。

 

映画としては幼年期→青年期→現在といった感じで構成されています。

スペンサー・ストーン氏。

アンソニー・サドラー氏。

アレク・スカラトス氏。

という3人のそれぞれの人物象、並びに関係性が紐解かれていきます。

 

「問題児」として母をはじめ、教師や校長先生の手を煩わせていた悪ガキどもが訳あって離れ離れになり、それぞれの将来を見据えてからが映画の本番と言っても良いでしょう。

そういう意味ではやたら前振りが長い映画とも言えますが。

 

 

その中でも恐らくは主人公格であるスペンサー・ストーンの内面が最もフォーカスされ、彼の生い立ちや苦悩や挫折、努力しても報われなかった軍隊生活などが印象的に描かれます。

特別優等生というわけでもなさそうですし、軍人としては極めて平均的だと思われるストーン氏ではありますが、彼の正義感無しに防げない事件だったのは間違いないでしょう。

 

「銃で武装した暴漢」という、どうみても敵わないであろう相手に取った果敢な勇気(無謀さにも見えます)、自身も負傷し(特に親指)流血しながらも助けるべきを助けた献身的な勇気。

テロリストに立ち向かうのが正しいのかどうかは置いておいて、彼と2人の友人が取った勇気ある行動は称賛されて然るべきもの。

むしろこんなニュースを知らずに、のほほんと平和ボケしていた自分を恥じるほどのインパクトです。

 

繰り返しになりますが、咄嗟に悪を討ち、人を助ける勇気や優しさは誰もが備え持つべきものだと思っています。

暴力に立ち向かえと言っているのではなく、困っている人を動画で撮るくらいなら助けようと考える思考回路が最も大切なんじゃないかなと。

さすがにテロリストは無理ですが、渋谷の件みたいに暴漢たちが暴れているのであれば、飛び蹴りして逃げるくらいの勇気を持った大人にはなりたいですよね。

 

首をつっこむのが馬鹿とか、関わらないのが賢いとかではなく、それが正しいことだと信じたいからです。

むしろいつか自分に子供(メンズ)が生まれたら、そういう勇気と正義感を持ってほしいと心から願うからです。

珍しく真面目な話になってしまったので、そろそろ締めますね(苦笑)

 




 

まとめ

面白いかどうかは何とも言えません、一応付け加えれば「つまらなくはないよ」という映画です。

ただ本作に限って言えばエンタメ性を楽しむ映画ではなく、真摯な姿勢で鑑賞する作品だと言えます。

 

色々な利害や事象で眠ってしまっている「勇気」というエッセンス。

そのエッセンスを正しい方向に使い、誰かを助けられる、もしくは脅威を排除できる人が増えるような社会にしていきたいものですな。

個人的に宗教的なお話は苦手ではありますが、スペンサーが語る聖書的な独白は胸に残るものがありますね。

 

オススメとまでは言わないまでも、一度は観て欲しい作品です。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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