マネー・ショート 華麗なる大逆転


(原題:The Big Short)
2015年/アメリカ
上映時間:130分
監督:アダム・マッケイ
キャスト:クリスチャン・ベイル/ブラッド・ピット/ジョン・マガロ/ライアン・ゴズリング/フィン・ウィットロック/他

 




 

サブプライム住宅ローン危機とリーマンショックを背景に、バブル崩壊の兆しをいち早く掴み取った男たちを描いた伝記的ドラマ。

アメリカのノンフィクション作家のエッセイが原作ということで、限りなくノンフィクションに近いと言っても良いでしょう。

2020年はコロナショックにより世界的に経済が低迷しておりますが、2007~2009年に起きたリーマンショックはどのようにして起きたのか。

また、どう結末し、どういった被害をもたらしたのか。

アベノミクスという幻と限りなく近い、嘘で塗り固められた真実は一見の価値ありです。

 

 

さっくりあらすじ

2005年、ヘッジファンドを経営するマイケル・バーリはアメリカの住宅市場が不安定になっていることを見抜き、周囲の反対を押し切りサブプライムローンに保険をかけることにした。

銀行員のジャレットはこの保険の話を聞きつけ、マーク・バウムが運営するヘッジファンドに持ち込むと同時に、独自にサブプライムローンについて調査を始める。

新鋭の投資家であるジェイミーとチャーリーは住宅バブル崩壊の兆しに気付き、元銀行家のベン・リカードに連絡を試みる。

それぞれが大きな賭けに出て、アメリカ経済の崩壊を待つことになるのだが、、、

 

 

 

 

変人トレーダーのマイケル
住宅ローン市場の危機を見つける

 

投資会社社長のマーク
曲がったことが大嫌い

 

銀行員のジャレット
本作の狂言回し

 

 

 

 

初心者お断り

まずは物語をさらっと要約すると、

イカれた天才トレーダーが住宅ローン市場の綻びを見つけ、先んじてCDS(債務不履行に対する保険のようなもの)を仕掛ける。

そんな噂を野心的な銀行員が聞きつけ、ヘッジファンドへと持っていく。

たまたまその資料に目を通した若手トレーダーが元銀行員に協力を持ちかける。

という流れ。

 

全体を通して極めて専門性が高く、相当に金融&投資に詳しいひとでないと恐らく半分も理解できないと思われます。

実際にFX歴5年の筆者から見ても、正直あまり分からなかったというか、金融商品を含む専門用語(しかも似た名前)なのが何度も繰り返されるため、より難解な雰囲気になってますね。

 

実際に日本で過ごしてる人の大半はリーマンショックですら「アメリカで大変なことがあったんでしょ?」くらいのものでしょう。

そんな話を注釈無しに理解する方が無理ってもんですよね。

かと言って分からないから退屈ということもなく、何となく肌で理解できる程度に噛み砕いた親切な演出には好感が持てます。

実際に起きた大規模な金融危機の物語だけにゴールは見えてるしね、個人的にはこの初心者お断りな映画の雰囲気は結構好きですよ。

 

 

で、そんな6人程の関係者による一世一代の大博打が群像劇風に描かれていくわけですが、やはり見所は「何故リーマンショックが起きたのか」の一点に尽きます。

筆者なりの解釈で、できるだけ分かりやすく書いたつもりなのでツッコミは止めてね。

 

サブプライム層(経済的信用度の低い層)をを対象とした住宅ローンであるサブプライム・ローン。

国民に対し住宅を安定供給するために、端的に言えば誰でも自宅を購入できるようにするために複数の連邦公庫が住宅ローンの債権を証券化したんですな。

これはバブル的な発想、言い換えれば「住宅の価値は上昇し続ける」からこそ成り立つわけですが、実際には購入した家を取り上げられてもまだ借金が残る不良債権へと変身したわけで。

当然のように証券としての住宅ローンの利回りは低下し、また新規の購入者も激減したと。

で、下落した不良債権を大量に抱えた金融機関やファンドはシャレにならない大赤字を叩き出し、それに伴って連鎖的に世界恐慌が訪れましたとさ。。

 

劇中ではイカれたトレーダー・マイケルがCDSを仕掛ける際、関係者の誰もが嘲笑し、あるいは激高し、いずれにせよ「コイツ頭おかしいんちゃう!?」な雰囲気を隠そうともせず馬鹿にしています。

つまりは住宅ローンが崩壊するなど微塵も考えず、誰もが「当たり前」の雰囲気に使っているということですな。

 

実際のところはどうなのか知る由もありませんが、劇中では暴落寸前の金融危機を銀行や公庫が下支えしていたような描写があります。

つまりは「好景気は今日も明日も続きますよ」と言わんばかりの風潮は、詐欺まがいの「嘘」から連鎖的に巻き起こり、歴史に残るレベルの金融危機になったわけですね。

量的緩和やマイナス金利、果ては年金を株価に突っ込んで株高を支える資産運用などなど、現在の日本の経済対策にも近しいものを感じるのは筆者だけでしょうか。

 

 




 

 

まとめ

言うてもね、ローンを組むのも、資産運用をするのも個人の自由であり、また自己責任になってしまうのが投資の世界の常識です。

現実に超がつくほどの大金を稼いだ人もいたわけで、大多数の屍の上に一握りの資産が成り立つのが格差社会の現実だと思います。

「緩やかに上向いている」なんてふざけた希望的観測が、いかに怖いものなのかが良く分かりますよ。

 

難しいジャンルの映画ではありますが、ユニークでアイデアに富む演出もあり、わりとサラっと観れた印象です。

資産運用を考えている方、経済の仕組みを知りたい方、投資のリスクを知りたい方への入門編としては素晴らしい作品だと思います。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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