ギリーはしあわせになる


(原題:The Great Gilly Hopkins)
2016年/アメリカ
上映時間:98分
監督:スティーヴン・へレク
キャスト:ソフィー・ネリッセ/キャシー・ベイツ/ジュリア・スタイルズ/ビル・コップス/ビリー・マグヌッセン/他

 




 

里親を転々とする問題児の少女と、新たに里親となった女性を描くヒューマン・ドラマ。

アメリカの人気児童作家キャサリン・パターソンの「ガラスの家族」という小説の実写化だそうです。

少女が自分の居場所を見つける物語ではありますが、ネグレクトや里親制度をテーマに「家族」という概念を見直す良い機会になると思います。

 

主演のソフィー・ネリッセはもちろん、大御所女優キャシー・ベイツの存在感が実に印象的。

笑いあり、涙ありの素晴らしい映画ですな。

 

 

 

さっくりあらすじ

里親を転々とし、問題児として扱われていた少女・ギリーはメリーランド州に暮らす中年女性・メイムの元に預けられることになる。

既にウィリアムという少年を預かっているメイムは、今まで数多くの里子を受け入れてきた懐の深い女性だった。

サンフランシスコに住む母と暮らすことを切に願うギリーは、歓迎してくれたメイムにも反抗的で、心を開こうとはしないのだが、、、

 

 

 

 

里子のギリー
反抗的で攻撃的

 

里親のメイム
嘗ては最恐のサイコパスだった

 

ギリーの担任
賢く、我慢強い

 

 

 

 

素直であれ

やっぱり言うてもね、アレよね。

ワガママで反抗的な子供はクソガキに見えるし、賢く素直な子供は可愛く見えますよね。

母と暮らす夢が叶わず里親を転々としているギリーは前者でして、まぁ可愛げのないクソガキですよ。

 

撮影時の実年齢がいくつかは分かりませんが、演じるソフィー・ネリッセが明らかに周りよりも一回り以上大きく、まんまガキ大将って感じ。

何かと言えば反抗的で暴力的、嫌味や皮肉のオンパレードでどう見ても良い子ではありません。

またクセのある生意気顔も手伝って、良い意味で非常に憎たらしい女の子ですな。

 

そんな彼女がベテラン里親のメイムの家で世話になり、弟分ができ、しつこく付きまとう友達ができた辺りから心境に変化が表れます。

きっかけとなるのはズバリ、盗難。

家を出て母に会いに行くつもりのギリーは隣人の金を盗み、嘘を重ね、それでも受け入れようとしてくれる人々の親切に触れ、ようやく心を開き始めるわけです。

 

 

まぁ面倒臭いガキだなとか思って観ていましたが、心を開く=素直になるということで、ある程度言いつけを守る彼女を見ていると、何だか可愛らしく見えてくる不思議。

ようやく自分が居ても良いかもしれない場所を見つけ、そこに馴染もうと努力し、少しずつ優しさを身に着けていく成長の過程は本当に微笑ましいもので。

自分がついた嘘のために、自分で築いた居場所を無くし、泣き崩れる姿にこっちも泣きそうになるくらい。

馬鹿がバカなことをしただけなんだけど、どうにか庇ってあげたくなるような純粋な素直さがそこにはあります。

 

 

個人的にはギリーを受け持つことになった黒人の教師が結構お気に入り。

反抗的で孤立しているギリーの内なる賢さを見抜き、差別的な発言も笑ってあしらい、彼女の悪戯の裏をかいて翻弄するベテラン教師といった感じ。

演じるオクタヴィア・スペンサーの演技も相まって、知恵とエネルギーの使いかたを教える姿が良い先生だなと。

 

ラグビー好きな熱血教師とも、ロン毛なB組の先生ともまた異なるアプローチが新鮮でした。

彼女の教え「怒りを目的達成の手段にしなさい」はなかなかに名言だと思います。

 

 

主人公となるギリーはもちろんのこと、登場する人物全てに孤独の影がチラつきます。

里親であるメイムも。

メイムの下で暮らすウィリアムも。

盲目の隣人・ランドルフも。

ギリーの祖母・ノニーも。

 

皆がどこかに寂しさを抱え、身を寄せようとしているんですな。

ベタではありますが血の繋がりなどではなく、心の絆があってこその”家族”なんだと改めて知るわけですよ。

それを理解した上でギリーが囲む”家族”との夕食は非常に優しく、暖かく、全ての子供があるべき姿が描かれています。

 




 

まとめ

心が荒んでしまうのも、心が癒されるのも、きっかけは人間同士。

分かっていても素直になれないのもまた人間ですが、互いに心を開くことにデメリットは無いのかなと、ちょっとおセンチな気持ちになっちゃいますな(キモい)

分かりやすい展開のお涙系ドラマですが、予想以上に心温まる良作だと思います。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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