(原題:The Green Mile)
1999年/アメリカ
上映時間:188分
監督:フランク・ダラボン
キャスト:トム・ハンクス/デヴィッド・モース/バリー・ペッパー/ジェフリー・デマン/ダグ・ハッチソン/ジェームズ・クロムウェル/マイケル・クラーク・ダンカン/他
モダン・ホラーの第一人者と評されるスティーブン・キング原作にして、「ショーシャンクの空に」の監督として一躍脚光を浴びたフランク・ダラボン監督によるSFヒューマン・ドラマ。
故・マイケル・クラーク・ダンカンの強烈な印象と、99%を本物が演じたとされるスーパーネズミが織りなす感動巨編作品です。
実際に上映時間は188分、3時間8分、、長い。
舞台は1935年のアメリカ。
凶悪な”死刑囚”たちと彼らを監視する看守たち、そしてやってくる死刑執行と電気椅子、、なんとも生々しく、正義や法の価値を考えさせられる、再確認させられるような作品です。
公開当時は筆者は高校生で、当時付き合ってた彼女の希望で観に行った記憶があります。
そして上映終了後、涙と鼻水と嗚咽でクッシャクシャになった彼女を見て引いてしまった若き筆者、、女性に完璧さを求め過ぎた青二才だった頃を思い出す青春の1ページです。
つまりそれくらい感動する作品だということです。
さっくりあらすじ
1935年、アメリカの刑務所で看守として勤務するポールの元に、双子の少女を強姦殺人した容疑でジョン・コーフィという大柄な黒人が送致されてきた。
大柄な体躯に似つかわしくない繊細で純粋な心の持ち主だったジョンだが、死刑囚として電気椅子への道(グリーンマイル)へと進むのをひたすら待ち続ける日々だった。
長年に渡り尿路感染症を患っていたポールだが、ある日ジョンがポールを捕まえ、不思議な力で彼の感染症を治癒してみせる。
”ミスター・ジングルス”と名付けられたネズミが叩かれ瀕死になった際も、不思議な力を使い命を救ったジョンに対し、彼の優しさに触れたポールは電気椅子送りにされるジョンの運命に疑問を持ち始めるのだが、、、
看守主任のポール
ジョンの人柄に触れ彼の罪を疑い始める
殺人容疑で収監されたジョン・コーフィ
不思議な力の持ち主
本作屈指のクズ・パーシー
冷酷で不注意なクズ
ザ・感動作
残酷でえげつないシーンがありながら、善良で優しい人間が誤解されてしまう切なさや、どうにもできない歯痒さがあります。
まさに涙なしでは観れない感動作と言えるでしょう。
しかし尺の長さもあり、娯楽映画ばかり観ていた高校生当時は「とにかく長い」の一言で終わらせていました。
しかし大人になって観なおしてみると、これは確かに感動作であり、生と死・善と悪・罪と罰、という3つのテーマを深く掘り下げた作品であることがよく分かります。
「悪人は罰するべし」殆どの方はそう思っているでしょう。
もちろん筆者もそう考えているし、そうあって欲しいと思うのですが、電気椅子というオブジェクトがもたらす恐怖と痛みを描くシーンはなかなかにグロく壮絶なシーンです。
「死刑が確定した人間を苦しませた上で殺す」ということが最も”悪”であるとも感じ取れます。
ジョン・コーフィは人が抱える病気や苦しみを吸い取り、外に吐き出す不思議な力持っています。
そんな力と優しさを併せ持つジョンが無実であると確信した看守たちは、どうにか彼を助けようと考えるものの、ジョン自身は世の中にはびこる苦しみに疲れ果て自ら極刑を望みます。
そしてやって来る死刑執行の日、善良な人間だと分かっているはずなのに、無実だと分かっているはずなのに、助けてあげられるはずなのに、、
法に生きる看守たちなので、自ら法を破ることができないのは理解できます。
しかし明らかに無実の人間を死刑執行してしまった彼らの罪はどれほどのものなのか?
時が経ち、死ねない体になったポールは「愛するものの元へ行けない」と嘆くほど、長寿な人生を送ることになります。
間接的にとはいえ、人を死刑にしてしまった罪。
周りの人間たちが亡くなっていき、孤独に生き残ってしまう罰。
捉え方は人それぞれだと思いますが、その解釈について話し合ってみるのも乙なものですな。
まとめ
冒頭で述べたように、とにかく長丁場な映画です。
特に明るいストーリーなわけでもなく、どちらかと言えば心にドシリと重くのしかかる作品でしょう。
生きている限り抱えなければいけない”人間の業”を感動的に描いた名作です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。