(原題:Thor:Ragnarok)
2017年/アメリカ
上映時間:130分
監督:タイカ・ワイティティ
キャスト:クリス・ヘムズワース/トム・ヒドルストン/ケイト・ブランシェット/イドリス・エルバ/ジェフ・ゴールドブラム/テッサ・トンプソン/他
古の北欧言語「ラグナロク(=神々の運命=世界の終末)」をテーマにということで、ご存知MCUの17作目に当たるアクション・ファンタジー大作。
単体としては3作目となる「マイティ・ソー」の最新作です。
まず何より驚いたのは深夜のバルト9にて、推定40代くらいのおじさんが前席に脚を投げ出してふんぞり返っていたこと。
遅い上映回なので空いてはいたものの、今時あんなスタイルで映画鑑賞するとはある意味で驚嘆ものですな。
嫁さんと一緒なのでスルーしましたが、一人で観に行ってたら関節を逆に曲げてしまうところでしたよ。
空いていようが混んでいようが、常識的な鑑賞マナーは守りましょう。
約束だぞ。
以前の新作紹介の際に「バトルロイヤルはダサい」と言いましたが、やはり映画の内容としては「ラグナロク」で良かったのだと確信しております。
確かにFFシリーズを好む人以外に馴染みの無い言葉だとは思いますが、これを機に北欧神話に興味を持てるのであれば良いことですし、「マイティ・ソー」シリーズは多少なりとも神話を知っていた方が楽しめるはずです。
どのジャンルにも言えることですが、物語を通して多少の背景を知っていた方が映画は楽しいです。
今の時代ググればいくらでも情報は手に入るしね。
さっくりあらすじ
「エイジ・オブ・ウルトロン」から2年、ソーはアベンジャーズのメンバーから離れ、宇宙を駆け巡りながら”インフィニティ・ストーン”について調べていた。
その中で火の国・ムスペルヘイムにて”炎の巨人”スルトに囚われてしまうもののこれを撃退、”スルトの王冠”を手にアスガルドへと帰還した。
しかし”虹の橋”の番人であるヘイムダルは見当たらず、ソーは死んだと思っていたロキが父である主神・オーディンに化けてアスガルドを統治していることを看破し、ロキを連れてオーディンを迎えに行くことに。
Dr.ストレンジに導かれオーディンとの再会を果たすも、自らの寿命を悟ったオーディンは2人に対し、アスガルドに危機が迫っていること、そして2人にはヘラという姉がいることを伝える。
そしてオーディンは光となって消滅し、同時に”死の女神”であるヘラが解き放たれたのだが、、、
お馴染みの雷神様
今回は散々な目に遭う
ボスは死の女神・ヘラ
まさに唯我独尊なお方
新キャラ・ヴァルキリー
アル中、でも可愛い
異なる色合い
ムスペル(北欧神話の巨人族)を率いてアスガルドを襲撃し、世界を焼き尽くす存在とされる”炎の巨人”スルトとの戦いで幕を開ける本作ですが、のっけからコメディ色が全開です。
シリーズ作品の中でも最もコメディ寄りと言いますか、随所に見られるユーモアは面白いものの、正直なところ個人的にはもう少し真面目でも良かったかなという印象。
お馬鹿なノリは好きなんですが、悪ノリの仕方がGOGと若干被っているようにも感じます。
ただこれは好みの問題なので、作品としての優劣の話ではないですけどね。
主人公のソーをはじめ、ラスボスのヘラ、トリックスターな弟のロキ、そして久々に登場したハルクなど、本作の登場人物はどれも非常に人間臭く、良い意味で魅力的です。
特にソーとロキの関係性は相変わらずであり、豪快で面倒見の良い兄貴とヤンチャな弟といった感じで、もはや微笑ましくすら見えてきます。
数々の戦いを通して、愚直ながらも責任感が生まれた頼れる兄貴と、能天気に悪さを繰り返す弟のやり取りは観ててほっこりしますね。
で、ソー自身も今まではちょっと抜けてる強い神様という感じでしたが、本作では「英雄を目指す等身大の超人」といった感じであり、コミカルな演出もあいまってかなり親しみが湧いてきます。
「完全無欠の神様」から「3枚目なイケメン」にまでドレスダウンしたカジュアルさは予想外なキャラクター性であり、演じるクリス・ヘムズワースの演技も相まって新たな魅力と言えるでしょうか。
ハルクを見つけた時のはしゃぎっぷりといい、子供じみたリアクションを取る神様の姿はなかなかに萌えますな。
そしてその「バトルロイヤル」と銘打つ理由となったソーvsハルクは安定の迫力。
今回はどっちが強いのかが割とハッキリと決着してしまいましたが、物語の上でソーが一皮剥けるきっかけとなり、また久しぶりにハルクを観たロキのリアクションが笑えます。
というか今までもコメディ・リリーフ的な側面が見え隠れしていたものの、初登場のヴァルキリーの存在により本格的にロキの序列が下がっていくのが何とも面白いですな。
かつては地球を支配しようと企んでいたにも関わらずハルクにフルボッコされ、ゴミの街でセレブを気取っていたら窮地に追い込まれ、挙句ヴァルキリーと戦ってみればあっさりと捕まり、これぞトリックスター、、、なのか?
あとヴァルキリー役のテッサ・トンプソンが超可愛いっす。
飲んだくれの賞金稼ぎに落ちぶれたアウトローな存在ですが、元はオーディンに使える高潔な騎士であり、アウトローな装いも甲冑を着た姿もどっちも素敵。
個人的にはビッチ萌えなので賞金稼ぎモードで酒を飲む姿がキュンキュンしますが、誰か分かってくれないかな。。
ついでにゴミの街の支配者を演じるジェフ・ゴールドブラムの怪演も実に素晴らしい。
若い頃から何を演じさせても個性を感じる演技派でしたが、本作でもその演技力を存分に発揮し非常に印象的なキャラクターとなっております。
頭のおかしい億万長者というか、独特のどもったアクセントといい、残忍で支配欲が強い悪者ながらも憎めないキャラとして素晴らしい存在感でした。
あとはどうでも良いというか、まさに余興といったシーンですが、端役としてマット・デイモンと主演クリス・ヘムズワースの弟ルーク・ヘムズワース、そしてサム・ニールと、意味不明に豪華なキャスティングがウケました。
弟はともかくマット・デイモンとサム・ニールはよく出演してくれたなと、出たかったのか?
まとめ
やはりMCUは面白いね。
今回はギャグに寄り過ぎな印象でしたが、それを差し引いても十分に見応えのある内容であり、今からでもシリーズを振り返って観る価値はあると思います。
ちなみに恐らくは単体作品としては最後になるものだと思われます。
徐々にMCUが収束に向かっていくのは楽しみでもあり、寂しいものでもありますなぁ。。
マーベル作品に興味のある方は鉄板で観に行くべきでしょう、それ以外の方にも面白おかしいコメディとしてオススメできるかな。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。