(原題:Universal Soldier)
1992年/アメリカ
上映時間:102分
監督:ローランド・エメリッヒ
キャスト:ジャン=クロード・ヴァン・ダム/ドルフ・ラングレン/アリー・ウォーカー/ジョセフ・マローン/エド・オロス/他
ベルギーのアクション俳優であり、なおかつ空手家であり、キックボクシングのチャンピオンでもあるジャン=クロード・ヴァン・ダム主演のSFアクション映画。
ちなみに「インディペンデンス・デイ」や「デイ・アフター・トゥモロー」や、やっちまった方の「GODZILLA」などで有名なローランド・エメリッヒ監督のハリウッドデビュー作でもあります。
かつてのバンダム氏は、木曜洋画劇場や日曜洋画劇場でしょっちゅう上映される常連俳優だったんですよね。
その存在感はかなりのもので、80年代後半から90年代にかけてはマッシヴな肉体と卓越した格闘技術でアクション界を席巻。
シュワちゃんやスタローンと、並び称されるほどの人気を誇っていたと言っても過言ではありません。
ただ興行的な大作に恵まれず、アクションスターとしてはともかく俳優としては大成できなかった不運なお方とも言えます。
しかし「ヴァンダミング・アクション」とも称されたド直球なアクション性はB級映画との相性も良く、未だに根強いファンがいるのも事実であり、アクション好きとしては一度は観てみるべき作品だと思います。
さっくりあらすじ
1969年、ベトナム戦争の最中に錯乱したアンドリュー・スコット軍曹と、止めようとしたリュック・ドゥブロー二等兵は相打ちとなり死亡し、共に戦死した兵士10数名の遺体は軍によって回収された。
1990年、アメリカで人質を取られる事件が発生するも、ペリー大佐率いる謎の特殊部隊があっという間に人質を救出し、事件を解決させた。
その活躍を目の当たりにしたTVレポーターのベロニカは彼らが何者なのかを突き止めようと、彼らの後を追うのだが、、、
超人兵士・リュック
超人兵士・スコット
体温が上がると動けなくなるのです
平均的なB級アクション
アクション性はともかくとして、いち映画の完成度として観れば至って平均的なB級映画であり、退屈ではないけれど特別印象深いものもありません。
しかしそれでも記憶に残る、何か惹きつけるものがあるのも事実であり、それはヴァンダム&ラングレンという2大アクション俳優によるものだと思います。
誠実そうで常識的なリュック二等兵(ヴァンダム)
内なる狂気が全面に漂うスコット軍曹(ラングレン)
その光と闇の対比は鮮やか過ぎる程に浮き出ており、ベタベタながらも極めて魅力的です。
というかドルフ・ラングレン自体が悪役を演じるために生まれてきたかのような強面であり、当時はベビーフェイスだったヴァンダムの輝きを最大限に引き立てているわけですな。
本人はやはり主演&正義の味方をやりたがっていたようですが、やはり映画は適材適所。
彼以上に主人公を輝かせる脇役はそう多くはないと思います。
希薄なストーリー性を感じさせない肉弾アクションと、それを泥臭く彩る演出はエメリッヒ監督のセンスによるものでしょうか。
キャラクター数に乏しい作品であり、実質主人公&悪役&ヒロイン、あとはその他といった感じの潔いキャスティングも分かりやすいですしね。
で、特筆すべきはやはりジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレン、むしろ見どころはこの2人だけと言っても良いくらい。
正に筋骨隆々、強靭でしなやかな鍛え抜かれた肉体。。ふぅ。
それに加え速く、重く、美しさすら感じさせるほどのマーシャルアーツの数々。
小柄な男が大きな男を倒すという王道中の王道をいく演出と、先述したようにヴァンダムを引き立てるドルフ・ラングレンの狂気溢れる演技にも注目です。
物語としては特筆すべきものはなく、素直に大味で大迫力なアクションを楽しみましょう。
まとめ
残念ながら90年代後半あたりから作品にも恵まれず、B級アクション俳優のカテゴリからの脱却は叶わなかったヴァンダム氏。
独特の印象深いアクションを持ち味としながらも、大成できなかったのは残念な話ではあります。
それでも今なお彼のアクションを愛するマニアファンは少なからずいるものですが。
嘗てのアクションスターが残した数少ない傑作です。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。