(原題:What woman want)
2000年/アメリカ
上映時間:127分
監督/脚本:ナンシー・マイヤーズ
キャスト:メル・ギブソン/ヘレン・ハント/ローレン・ホリー/マリサ・トメイ/マーク・フォイアスタイン/アシュレー・ジョンソン/他
毎度お馴染み、映画天国で観たメル・ギブソン主演のロマンス・コメディ。
女性にだらしない男性が事故をきっかけに、心の声が聞こえるようになるというお話を面白おかしく描いた作品ですが、そのメッセージ性はなかなか考えさせられるものがあります。
当たり前のように同級生や会社の同僚に接し、いつしか恋をするのが人生というものです。
女性から見た男性の印象や、口説いた時の手応え、そんなもどかしい感覚をズバズバと切っていく内容はぜひ男性にオススメしたいところ。
2015年公開の「マイ・インターン」でメガホンを取ったナンシー・マイヤーズが監督・脚本を務めており、男性目線の物語でありながら女性視点の作品として、非常にユニークな映画だと思います。
さっくりあらすじ
ダンサーだった母親の影響か、プレイボーイを自覚し自信満々に女性を口説くニックは広告代理店に勤めている。
離婚した前妻が再婚することになり一時的に娘と一緒に暮らすことになるが、父親らしいことをしてきたことが無く、娘との付き合い方が分からずバカにされてしまう。
追い打ちをかけるように敏腕エージェントのダーシーがヘッドハントされ、ニックが狙っていたポジションを奪われた挙句に彼の上司になった。
女性目線での広告を求められ、女性の感性を身につけるために試行錯誤するニックだったが、、、
ニックの上司に収まったダーシー
ダーシーを蹴落とすために奮闘するニック
ワックス脱毛してみたり
ヨガしてみたり
ためになる
正に自由奔放、楽しそうに女性を口説き、好きな仕事で能力を発揮する。
そんなリア充生活を送るニックですが、当然のようにモテます。
やや強引ながらも女性に「イエス」と言わせる巧妙な口説き方、「結婚には向いてなかったけど、ものすごく魅力的だった」とする元妻のコメントなど。
いかに女性を愛し、また女性に愛されてきたのかが分かります。
そんな順風満帆の人生を送るニックですが、社長の鶴の一声で転職してきた敏腕エージェント・ダーシーに幹部の椅子を奪われ、その椅子を奪い返すために奮闘するのが大まかな流れ。
その中で元妻のハネムーン中に面倒を見ることになった娘との生活も上手くいかず、ヤケ気味に女性用品(ペディキュアとか脱毛とか)を試すニック。
そんな彼を事故が襲い、目が覚めると女性の声が聞こえてくるようになったというのが本作の軸になります。
で、ここからが個人的に興味深いところでして。
今まで当たり前の様に余裕を持って、接してきた女性達の”声”が思いのほか冷たいんです(笑)
案外悪口を言われていたり、仕事以外の人格的な評価でボロクソ言われていたり。
自身が女性を表面的に口説いていたように、女性たちも彼の表面的な部分しか見ていないことがよく分かります。
そこでニックは、聞こえてくる”声”を利用することを決意。
女性を口説き、憎きダーシーを追い抜くために奮闘するわけですが、結果的に女性に好かれるための努力が生まれてくるんです。
身の回りにいる女性が何を考え、何に悩み、何を求めているのか。
そんな気持ちを一つひとつ汲み取り叶えようとする彼の姿こそ、まさに女性が理想とする優しい男性の姿だと思います。
ベッドの中でまで聞こえてくる”声”は何とも生々しくて苦笑いでしたけどね(汗)
でもメンズは見て学んだ方が良いかもしれません。
前半はニックを中心にコミカルに、後半はロマンスが中心になる構成です。
男性がニック一人なのに対し様々な女性が出てくるので、そういう意味ではやや偏ったバランスな印象。
しかし上司や娘との軋轢を乗り越え、優しさや思いやりを覚えていくメル・ギブソンの名演技がとにかく素晴らしい。
コミカルな表現からハートフルな表現まで、やや厳つい顔つきながら子供のような笑顔に加え、ワイルドにもジェントルにもなり得る雰囲気は独特のものです。
対するヘレン・ハントの魅力もまた素敵。
知的で強いキャリアウーマンながらも愛らしい女性を演じ、”仕事のできる女傑”としての殻を割った際に現れるキュートさは相当なものです。
やっぱり可愛げのある女性は良いですなぁ。
あと地味ながら個人的にジュディ・グリアが印象的でした。
とにかく内気で陰鬱で、やんわり自殺願望まで抱えるヤバい女性ですが、終盤のニックとのやりとりは素晴らしいですね。
ぶっちゃけメインの展開よりも彼女とのエピソードと、最後に見せる彼女の笑顔の方が心に残りましたもん。
しかしスパイダーマン(ピーターのアパートの家主の娘)にも出演していましたが、幸薄い役が似合いますなぁ。。
まとめ
特異なアイデアを詰め込んだ映画であり、タイトな仕上がりの作品ではないですが、それ相応の面白さがあります。
コミカル、ユーモア、ハートフル、ロマンスのブレンド具合は非常に素晴らしく、良い時代のハリウッド映画の見本のようです。
「マッド・マックス」を代表するように、ハードボイルドなアクション俳優の面が強かったメル・ギブソンのドタバタっぷりは笑えますし、今までとは異なる形で彼の魅力を引き出していると言えます。
女性を理解するために、女性に好かれるために観て損は無い作品です。
下手な婚活勉強よりも役に立つんじゃないですかね?
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。