(原題:Prometheus)
2012年/アメリカ
上映時間:123分
監督:リドリー・スコット
キャスト:ノオミ・ラパス/ルーシー・ハッチンソン/シャーリーズ・セロン/イドリス・エルバ/マイケル・ファスベンダー/ガイ・ピアース/他
シリーズの産みの親リドリー・スコット監督が自らメガホンを取り、製作された「エイリアン」の前日譚を描いたとされるSFホラー。
日本公開に向け「人類誕生の秘密」と銘打たれ、その後に「エイリアンに繋がる作品」とされ、その後に「リブート作品でありシリーズとの関連性は低い」とされ、結局よく分からんまま公開された印象が強く残っております。
それ故か日本では否定的な意見が多く、ツッコミどころの多さも相まって厳しめな批判が相次いだ模様ですな。
謎が謎を呼ぶと言えば聞こえは良いですが、説明不足で意味不明な印象の方が強めです。
さっくりあらすじ
岩山や激流の川に囲まれた太古の惑星。
上空にやって来た円盤から降り立った人型の生物は黒い液体を飲み干すと、その体は分解されDNAは惑星中に拡散された。
2089年、考古学者のエリザベス・ショウとチャーリー・ホロウェイは新たな古代遺跡を発見し、35000年以上昔に作られた壁画を元に「種の起源」にまつわる未知の惑星の存在を知る。
未知の惑星と生命体に興味を示したウェイランド・コーポレーションはスポンサーとして科学者を中心に調査チームを編成し、宇宙探査船・プロメテウスは太陽系を目指し、乗組員は冷凍睡眠に入った。
そして2093年、地球から遥かに離れた目的地・LV-223へと到着するのだが、、、
分解された異星人
考古学者エリザベス・ショウ
宇宙探査船・プロメテウス
新たな世界観への挑戦
冒頭で意味不明と述べましたが、正確にはコアなファンを除いた層に意味不明と言った方が分かりやすいでしょう。
1作目となる「エイリアン」への整合性が取れているかは微妙なところですが、シリーズを何度も観た人ならかろうじて理解できる許容範囲となり、さらっと観た程度の人では難解に、未見の人は意味不明となるでしょう。
そもそも”エイリアン”の冠名を取っ払ったオリジナル作品という位置づけですし、エイリアンの土台ありきで考える方が間違っているとも言えます。
「種の起源」と大層なテーマを掲げた割にはそこは重要な扱いではなく肩透かし気味、ただ宇宙や惑星の神秘を感じさせるような映像美はお見事。
やはりエイリアンらしさは感じづらいところですが、新たな造形の宇宙生物もコレはコレで魅力的かなと。
ただ壮大な映像美に圧倒されるも、前日譚のはずなのに1作目を凌駕する科学技術の描写は少々残念かな、現代のCG技術を使うにしてもレトロ感は欲しかった気がします。
ついでに言えば謎だらけのストーリーに終始する脚本も少々受け入れ難く、続編ありきとしての流れが見え隠れし、映画としての完成度にも疑問が残ります。
とはいえ、冒頭から理解が及ばぬ世界観に置いてけぼりにされながらも、それを超えたエンターテイメント性はさすがの一言。
未知の世界に何が存在するのか?
どんなことが起きるのか?
そういったワクワク感をくすぐる内容は誉めて然るべきかなと思います。
まとめ
テンポの良さを重視した上での編集だとは思いますが、やはり考察しづらいような謎の数々は消化不良でスッキリはしませんね。
でも何より問題なのは、皆が一番気に入らないのは「人類の起源を紐解く」としておきながら実は「エイリアン序章」だったというマーケティングの形なんでしょうね。
お金を払って観る以上、こういった強引なミスリードはあまり関心しませんな。
個人的には「ラ・ラ・ランド」の時にも感じましたが、CMや広告と本編に差異が感じられるのはちょいと悪質だなと、お客さんに対するリスペクトが足りんなと。
作る側も、観る側も、互いにもう少しフェアであってほしいなと感じる今日この頃です。
話が大幅に逸れましたが、秀逸な映像と、グロくも美しい神秘的な世界観は一見の価値ありだと思います。
「エイリアン:コヴェナント」を観るに当たっては恐らく必須の予習となるでしょう。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。