タイタンの戦い


(原題:Crash of the Titans)
2010年/アメリカ・イギリス
上映時間:106分
監督:ルイ・レテリエ
キャスト:サム・ワーシントン/リーアム・ニーソン/レイフ・ファインズ/ジェイソン・フレミング/ジェマ・アータートン/アレクサ・ダヴァロス/マッツ・ミケルセン/他

 




 

 

ギリシャ神話をモチーフに、1981年に公開された同名映画をリメイクしたファンタジー・アクション映画。

2D撮影で製作された作品を強引に3D変換したため評論家からは厳しい意見が相次いだようですが、好意的に捉えれば映像表現に拘りすぎて内容が薄っぺらいような仕上がりは回避できているかなと。

ちなみに監督のルイ・レテリエは「トランスポーター2」で単独監督デビュー(1は共同監督)を果たし、その後「インクレディブル・ハルク」でハリウッド・デビューを飾っております。

ちなみに「聖闘士星矢」オタクなんだとか。

総じてステレオタイプなファンタジーの雰囲気や、それを彩る実力派俳優たちの演技は一見の価値ありです。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

古代ギリシア時代、クロノス率いるタイタンの神々により世界は支配されていた。

しかし次第にゼウス、ポセイドン、ハデスらオリンポスの神々が台頭し、弟神・ゼウスは兄神ハデスに対し「クロノスを倒す怪物」の創造を頼み、ハデスは自身の肉体を削り、恐ろしい怪物「ケートス」を生み出した。

やがてクロノスを倒した神々は支配地を分け、ゼウスは天界に君臨し神々の王に、ポセイドンは海洋の王になり、兄でありながらゼウスに騙されたハデスは冥界の王になった。

神々は人間を創造し、彼らの慈愛と崇拝を源に不老不死となるが、傲慢な神々に対し人間は反旗を翻す。

そしてある日、とある漁師が海上で見つけた棺を引き上げ、死んだ母に抱きかかえられ泣き続ける赤ん坊を見つけるのだが、、、

 

 

 

神々の王・ゼウス

 

神と戦う男・ペルセウス
半神半人

 

共に旅に出る王の親衛隊
マッツ・ミケルセンが素敵

 

 

 

監督の蛇足

色々と勿体ないんですよね、この映画。

そもそも「神話」という人類史でもトップクラスの壮大な物語を映画の尺にする時点でそうとうな予算と時間が必要なわけですが、案の定本作では時間配分が歪でサクサク進む半面、神話としての重厚感に欠けています。

それを補うかのように気合の入った映像は素晴らしいものですが、神の鎧が輝いていたり(聖闘士星矢のオマージュだそうです)モンハン的な造形を感じさせる巨大サソリが出現したりと、悪い意味で監督の趣味が全面に出ている印象。

 

キャスティングは素晴らしい、映像も素晴らしい、でも演出が安っぽくてダメという、映画としては最も残念な形ですな。

厳しい意見ではありますが、こればかしは製作陣の力不足が否めません。

 

 

逆に物語を彩る俳優は本当に素晴らしく、「アバター」で有名なサム・ワーシントンを筆頭に、

「クワイ=ガン・ジン」ことリーアム・ニーソン。

「ヴォルデモート」ことレイフ・ファインズ。

「トランスポーター2」や「キック・アス」など数々の映画に出演する名脇役ジェイソン・フレミング。

アンコール」や「プリンス・オブ・ペルシャ」のジェマ・アータートン。

リディック」のアレクサ・ダヴァロス。

筆者大好き「キング・アーサー」や「ローグ・ワン」のマッツ・ミケルセン。

美女と野獣」のルーク・エヴァンス。

ウォーム・ボディーズ」や「マッド・マックス:怒りのデスロード」のニコラス・ホルト。

などなど、キャリアの長い演技派俳優から新進気鋭の若手俳優まで実に贅沢なキャスティング、これは本当に凄いですよ。

ただ足早に物語が進むせいか、キャラが立つ前にバンバン死んでいくのが勿体ないというか、贅沢というか、、

 

 

物語としてはファンタジーを背景にした壮大な物語あり、アクションあり、ちょっとしたロマンスありの王道なもの。

ただ整合性というか、物語の展開が非常に早く、掘り下げる間もなくグイグイ進むので注意が必要です。

迫力あるアクションも映像はすごいんだけど、スピードが速すぎてよく分からないところもチラホラ、もう少し”タメ”が欲しいですね。

巨大サソリに尺を使いすぎてクラーケンなんかはあっさりしてるし、バランスの悪さも気になりますし、せっかくの秀逸なクリーチャーCGが勿体ないし。

 

演出面でも”人間として戦う”意思を固めたせいか、半神半人のペルセウスも特別強いわけでもなく、終始逃げ回っていた印象しか残らず盛り上がりに欠けます。

CGを駆使し、”迫力”はあるけれども”怖さ”は感じない怪物たちも残念だし、辻褄合わせにしか見えないヒロイン・イオもサポート役・ジンの存在もなんだかねぇ。。

唯一笑いながら石になったマッツ・ミケルセンのシーンだけカッコよくて「おぉ!」となりましたが、全体を通じて印象に残ったのはそれくらいですかね。

 

 




 

 

まとめ

悪い部分が先行してしまいましたが、つまらない作品ではないです。

神話に相応しい迫力ある映像はなかなかのものですし、俳優陣の力によってそれなりの完成度にもなってますし、ファンタジーとしての雰囲気も良いと思います。

ただ、それをもってすらマイナスに感じるほどの脚本の未熟さ、自己満足すら感じてしまう監督の趣味を具現化した粗さ、偉大な神を描いているとは思えない軽さはやはり気になりますね。

 

特別オススメする要素も少ないですが、暇な時のポップコーンムービーとしては及第点かな。

よければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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