ゴジラ キング・オブ・モンスターズ


(原題:Godzilla:King of the Monsters)
2019年/アメリカ
上映時間:132分
監督:マイケル・ドハティ
キャスト:カイル・チャンドラー/ヴェラ・ファーミガ/ミリー・ボビー・ブラウン/ブラッドリー・ウィットフォード/渡辺謙/チャン・ツィィー/他

 




 

 

レジェンダリーピクチャーズが贈る「モンスターバース」シリーズ第3弾となる、怪獣たち全員集合を描くSFモンスター・パニック。

前作から5年が経過し、世界中に秘められた脅威と、人類の運命が壮大に描かれます。

予告の時点でゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドンの存在が示唆され、んもうゴジラ好きとしては堪らない映像の数々が話題になっておりました。

 

暴れまわるモンスターから、意思を持つ巨大生物へ。

人類の存続を脅かす怪物から、人類を護る神へ。

また新たなベクトルで昇華を続けるゴジラの存在は一見の価値ありです。

 

 

 

さっくりあらすじ

ゴジラとムートーの闘いから5年が経過し、怪獣の存在を隠し続けてきた秘密機関「モナーク」は政府や世論から責任を追及されていた。

そんな中、中国にあるモナーク基地の科学者・エマは孵化したばかりの怪獣”モスラ”との交信に成功するが、直後にテロリストの急襲を受ける。

怪獣との交信を可能にする装置”オルカ”を奪われた芹沢博士は、エマの元夫でオルカの開発者でもあるマークに協力を要請し、音波の発信源である南極へと向かうことに。

一方、テロリストを率いるアランは南極に眠る怪獣”モンスターゼロ”を目覚めさせようとするのだが、、、

 

 

 

 

ゴジラ
生態系の頂点に君臨する神

 

長い眠りから覚めたギドラ
最狂最悪の神

 

ゴジラに呼応して目覚めるモスラ
神々しい光を放つ「怪獣の女王」

 

 

 

大☆迫☆力

こりゃ凄いですよ、マジで。

もう画面狭しと動き回る怪獣の数々に、振動が伝わってくるかのような咆哮の数々に、脆くも崩れ去ってゆく建造物の数々に。

最初こそ「怪獣なんて駆逐した方が良いんじゃね?」くらいのノリで舐めプ全開の人類でしたが、想像を遥かに超える超生物の姿には圧倒されるばかり。

 

また、人類の主戦力である戦闘機やミサイルなど小型のラジコンや爆竹程度の意味しか持たず、何一つ遮られることもなく街並みを蹂躙する姿はまさに”神”そのもの。

何をどう考えても敵わないであろう怪獣の姿には、畏怖と美しさが混合した複雑な感情が巻き起こりますよ。

 

 

まずはギドラですが、天変地異を具現化したかのような存在感が秀逸です。

見た目は過去のイメージにかなり近い風貌ですが、やや西洋ドラゴンに寄った感もあるのかな。

雷を纏った金色の鱗が美しく、羽を広げた時の大きさは文字通り恐怖の象徴の様であり、作中では「生きる絶滅現象」と語られますが本当にそんな感じ。

飛んでいるだけで嵐を呼び起こす存在として、また圧倒的な力で他の怪獣を従属させる”王”として、もう抜群のインパクトを誇ります。

 

また、やたらと監督愛を感じさせるラドンも魅力的。

見たまんま大きなプテラノドンと言った感じではありますが、とにかく翼を広げた時の大きさや、その翼で飛ぶ際の躍動感が実に素晴らしい。

戦闘機や輸送機との追いかけっこは実に迫力溢れる、素晴らしい演出だと思います。

何かと扱いが悪く、微妙に影の薄かったラドンにここまでのスポットを当てるあたりに、マイケル・ドハティ監督の愛を感じますね。

 

そして、個人的に最も印象深かったモスラ。

神々しい光を放ち空を飛び、ゴジラに呼びかける姿は「怪獣の女王」と称されますが。本当にその通り。

今回は明確にゴジラと共生関係にあるとされていますが、ところどころでゴジラを助け、また自身より大きな相手にも臆することなく戦う姿に萌えを感じます。

というか怪獣は怪獣でも、どこか可愛らしいんですよね。

実際目の前にいたらパニックを起こすとは思いますが、一途にゴジラに味方する姿が最も感動したポイントです。

 

で、ゴジラですね。

今回は序盤から大暴れ、ギドラという好敵手を相手に最初からエンジン全開で暴れる姿を披露してくれます。

今回はゴジラの生態の秘密や、住処などにも触れられますが、どれも興味深く、また美しく演出されているようにも思います。

怪獣などではなく、あくまで地球にバランスをもたらす”神”として扱おうとする製作陣の熱意がよく伝わりますね。

終盤には明らかにゴジラvsデストロイアをオマージュしたようなシーンもあり、これもファンには堪らない作りになっていますよ。

 

 

そして何より、今回最もフォーカスしたいのがBGMなんですよ。

怪獣の咆哮(サウンド・エフェクト)もさることながら、良いシーンで流れるゴジラやモスラのテーマ曲が気分を盛り上げます。

これは本当に凄い、というか監督もツボを分かってらっしゃる。

ゴジラがテーマ曲と共に現れるシーンなんかはもう、前後の熱い展開もありマジで鳥肌モノですよ。

ゴジラの雄大さ、モスラの美しさ、そしてギドラの脅威を盛り立てる素晴らしい音楽の数々だと思います。

 

唯一の難点として、怪獣映画としては完璧に近いと思いますが、いちパニック映画作品としてはあまりにも粗が多い仕上がりになっています。

まぁこういった作品に整合性を求める方は少ないとは思いますが、かなりツッコミどころが多いのもまた事実。

しかし、それを補って余りあるほどの大迫力に異論は無いでしょう。

 

あと余談ですが、物語のきっかけとなる人間の罪がどうにも受け入れ難いという点と、罪滅ぼし的な行動が全く贖罪に足りてない点が非常に気になりました。

そもそも論ではありますが、元々はとても人間が住める環境ではなかった地球という惑星に対し「地球が滅びる」という考え方がナンセンスなんですよね。

長い地球の歴史から見れば人類史なんて瞬きする程度のものですし、人類が地球を守り、種を守るという考え方が人間の最も傲慢な部分なんでしょう。

 

 




 

 

まとめ

日本が生んだ「ゴジラ」というコンテンツを、よくもここまで大事に磨き上げてくれたなという感想ですね。

核と密接な関わりのある社会風刺なゴジラではなく、vs怪獣シリーズのゴジラの最高峰として、これはもう認めざるを得ないでしょう。

 

「核兵器がもたらす災害が生んだ怪物」以外のゴジラを認めない人であれば、不快で退屈な作品になるのでしょうが、現代のファンが待ち望んだゴジラはこっちが正解だとも思います。

何より、良い歳こいたおっさんが童心に帰れるワクワク感は、ここ最近の映画には無かったものだと思いますよ。

エンドクレジット後にもちょっとした匂わせシーンがありますが、今後の展開にも大いに期待したいところです。

 

ゴジラが嫌いな人以外は、誰でも観て損は無いでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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