シャザム!


(原題:Shazamu!)
2019年/アメリカ
上映時間:135分
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
キャスト:アッシャー・エンジェル/ザッカリー・リーヴァイ/マーク・ストロング/ジャック・ディラン・グレイザー/ジャイモン・フンスー/他

 




DCエクステンデッド・ユニバース7作目となる、ファンタジー・アクション。

マン・オブ・スティール」に始まった一連のDC作品ですが、作風が暗かったり明るかったり、未だ迷走中な雰囲気の中で公開されました。

スーパーマンやバットマンを中心とした「ジャスティス・リーグ」とは異なり、その存在自体が異色なヒーローであり、過去作とはまた違った色合いの仕上がりとなっております。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

1974年、父の運転する車に乗っていたシヴァナは突如として謎の宮殿”永遠の岩”に召喚されるが、シャザムと名乗る魔術師に勇者の資格は無いと判断され、現実の世界へと帰された。

現代、歳を重ねたシヴァナは永遠の岩の研究を重ねた結果とうとう宮殿へ行く方法を見つけ、魔物の封印を解いたことで強力な力を手にし、勇者の資格を持つ者を探し始める。

孤児のビリーは新たな里親が運営するグループホームへと入所し、共に住む少年少女たちに歓迎されるも馴染むことができず、孤立した日々を送っていた。

同居人のフレディが暴行されるところを助け、悪漢から逃げるために地下鉄へと逃げ込んだビリーも永遠の岩へと召喚されるのだが、、、

 

 

 

 

孤独で生意気な少年・ビリー

 

色々あってシャザムに変身

 

そんなシャザムを付け狙うシヴァナ

 

 

 

 

子供向け

コミカルな演出を中心に、殺伐とした雰囲気を感じさせない内容は子供向けな印象。

何だかんだでヒーローの在り方や存在価値を掘り下げてきたDCの作品の中では、特に異端に感じるほどに娯楽作品な仕上がりです。

というより、ヒーロー風に味付けしたコメディと言った方が近いかもしれません。

それ故に物語を支えるテーマ性やメッセージはボヤけにボヤけ、細かいところは投げっぱなしな印象で、真面目に観るにはちょっとつらいかなと。

 

物語としては、母と離れ離れになり、孤独に生きる少年が突如ヒーローに選ばれるという流れ。

純粋に善なる者しか認めないはずが、ちょっとグレ気味な少年を選んでるあたりからツッコミどころの宝庫となっております。

 

中身は子供、見た目はムキムキな青年というギャップは見た目通りユニークなものであり、これを活かしたユーモアの数々は素直に面白いもの。

相棒となる少年との漫才のようなやり取りや、変身した状態での何ともマヌケな雰囲気には思わず笑ってしまうことでしょう。

その上でそれなりに魅せるドラマ性も兼ね添え、友情や家族の絆という基本もそこそこに押さえてあると思います。

 

 

じゃ、何が問題なのか?

全く深みの感じられない脚本性と、マーク・ストロングの無駄遣い、この2点ですわ。

 

そもそも、何故にビリーがシャザムに選ばれたのかが良く分かりません。

警官を騙して個人情報を盗むような悪ガキ(というか犯罪者)ですし、母と離れ離れになった境遇を盾に反省の様子も感じられません。

根は優しい子なのは分からんでもないですが、ビリーこそが選ばれるような資質が全く見えてこないんですな。

 

後継者として得た力はATM強盗に使うわ、パフォーマンス(で事故が起きかける)に使うわで、正義のヒーローに目覚める前とはいえ、ちょうっとどうなのかなと。

結果的にヴィランと戦うことになるにしても、どうにもなし崩し的な印象が拭えません。

あと個人的には変身前と変身後のキャラ変に少々違和感を感じるんですよね、見た目以上に中身が変わっているような感じ。

 

 

対するヴィランのシヴァナもまた然り。

幼い頃に超人になり損ね、家族から疎まれるコンプレックスを炸裂させるのは良いとして、結局何がしたいのかは全く見えてこず。

 

家族に対する鬱憤を晴らし、その後は人類の統治なのか、抹殺なのか。

狙いが分からないだけに悪としての存在感も計れず、何とも宙ぶらりんなキャラ設定が微妙ですな。

何より稀有な個性派俳優であるマーク・ストロングの演技力が突出しているだけに、キャスティング的にもキャラ的にも浮きまくりで、使い方が実に勿体ないなぁと。

 

 

演出的には明るく、楽しく、その割にはディープな不幸を背負ったビリーの悲哀が浮き彫りになります。

親子の愛や仲間との絆を描く王道的な構成は文句無し、それなりに感動できる良いプロットです。

親の愛を求めた2人が光と闇として対峙するのも定番ではありますが、異色のヒーローを描くだけにベースはとことんスタンダードに寄せたのかもしれません。

 

 




 

まとめ

総じて薄っぺらく、何とも印象に残りづらい映画でした。

終盤の展開もあって日曜に放映されている戦隊ものみたいな感じですし、大人が観るには少々キツいかなというのが本音ですかね。

それを踏まえてもそこそこのドラマがあり、笑えるユーモアがあり、高校生くらいまでは素直に面白いんじゃないすかね。

 

DCの迷走っぷりが分かるような内容でしたが、シリーズの箸休め的な存在として、観て損は無いでしょう。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。



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